保護等級・IPコード | 防水・防塵性能の基準と選定方法

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電気機器の防水・防塵性能

電気機器を設置する場合、設置場所に応じた耐候性を持った製品を選定するのが原則である。湿気が多い場所、極度に低温の場所、粉塵や塩分が多い場所、腐食性ガスが発生する場所など、腐食の原因となるような空気環境の場所には、器具の腐食が著しく進む。

特殊環境に耐える性能がない電気機器を設置すると、器具や部品の腐食・劣化による脱落、絶縁性能の劣化、短期間での発錆など、電気機器の故障につながる。

IP(Ingress Protection:侵入への保護)規格に基づく性能は、電気機器の防塵性能と防水性能を規定している。身近な分野では携帯電話やデジタルカメラといった機器類で見る事が多く「雨の日でも使用できるか」といった判断基準としてIP性能が記載されている。

IP規格による保護等級の設定で保証された性能以上に、過酷な環境で電気機器を使用すると、機器内部に水分や粉塵が侵入し、絶縁性能が劣化するなど故障につながるので注意を要する。

床面に取り付けられた防水性能を持つ照明器具

電気機器の使用環境と性能

電気機器を設置する場合、その周囲環境に応じた性能を満足する製品を選定する。照明器具は多種多様な場所に設置する可能性があるので、その性能も多岐に渡る。事下記のような設置場所と必要性能が考えられる。

これら電気機器が必要な性能のうち、防塵性能と防水性能については「IP」と呼ばれる保護等級指標で数値化されている。浴室はシャワーによる直接的な噴流を受ける可能性があるので、噴流に対する防水性能が求められる。

軒下の天井面に設ける照明器具は、吹き込んだ雨に対する防水や防湿性能が必要である。ここでは、防水性能と防塵性能に関する保護等級の概要と、数値による性能の違いについて解説する。

保護等級とは

電気機器を設置する環境について、汎用的に使用される指標として「防水性能」と「防塵性能」がある。屋外に設置する電気機器は雨や湿気に対しての耐久性がなければ、内部に水分が進入して絶縁性能が劣化し、地絡や漏電事故につながる。

粉塵の多い場所において、防塵性のない「隙間の多い」電気機器を設置すると、駆動部に粉塵が付着するなど、動作不良を引き起こすおそれがある。駆動部に対して隙間が大きいと、粉塵の進入だけでなく、指先などが接触し事故を引き起こすおそれがあるため、適切な保護が必要である。

砂埃やごみなど、粉塵が機器内部に侵入するおそれがある場所や、内部に水が浸入するような環境に電気機器を設置する場合、粉塵や水が電気機器内部に侵入しないように、密閉された器具を選定しなければならない。どれだけ細かな粉塵に対応できるか、またどれだけ過酷な水の影響に耐えられるかを等級として示した指針を「IP(保護等級)」と呼んでいる。

住宅や事務所内は、有害な粉塵や水分が付着するおそれのない「清浄な空間」と判断される。清浄な場所に設置する電気機器には、防水性能や防塵性能は不要である。

屋外に設置する場合であれば、水中に沈めても良いほどの防水性能は不要で、雨や湿気に対して抵抗できる防水性能があれば十分である。保護等級性能が高いほど密閉度を高めなければならず、機器のコストは高価である。設置場所に応じた保護等級の設定を行い、過剰な設定をしないことが重要である。場所に応じた防水・防塵性能を持つ器具を選定することは経済設計につながる。

防塵性能の事例

防塵性能として「IP2X」について解説する。IP2Xは「防塵等級2、防水等級なし」を示すが、これは「フィンガープロテクション」とも呼ばれ、人の指が入らない程度の保護等級になる。安全対策として指を挿入できないよう規定しているが、水に対してはまったく抵抗がないため、屋外で使用できない。

さらに、防水性能として「IPX6」について解説する。防塵性能についての規定はなく、防水に対して規定している。直接勢いのある水を噴射して清掃するような、食品工場などで使用する照明器具に使用されている。

防塵性能のIP等級は、数値が大きくなるほど高性能となる。下記はその数値毎に規定された性能である。

防塵性能の等級一覧(0~6)

防水性能の試験方法と等級一覧

防水等級は数値「1」~「8」で規定され、滴下水から水没までの性能を規定している。携帯電話などは一時的な水没に対しても耐えられるよう作られていることも多いが、継続的に水没させると破損する。

これら防水試験は、水道水など「真水」を用いた試験のため、入浴剤を入れた浴槽、温泉、海水など、本来故障が起きると考えられる事故パターンに対して対応できていないものがほとんどである。完全な防水性能があると判断するのではなく、手を滑らせて落としてしまっても、確実に壊れることだけは避けられる保険的なものと認識するのが妥当である。

携帯電話やスマートフォンで多い事例であるが、充電ケーブルやデータ用ケーブルの差込口キャップが開いている状態で水が掛かった場合、防水性能を発揮できないため注意が必要である。

それぞれの数値が規定している性能については、下記の通りである。防塵性能については規定なしとして「IPX1」~「IPX8」と表現して解説していく。

IPX1(防滴Ⅰ形)

IPX1は、滴下する水に対する保護を規定している。滴水試験装置で1[mm/min]の水の鉛直滴下を10分間実施し、機器への浸水がないことを確認する。防水性能を規定した電気機器においては、もっとも簡易な防水性能である。

IPX2(防滴Ⅱ形)

IPX2は、15°傾斜した時落下する水に対する保護を規定している。滴水試験装置で3[mm/min]の水の滴下を、電気機器を15°傾けて実施する。各方向から2.5分間ずつ、計10分間の散水試験を行う。

IPX3(防雨形)

IPX3は、噴霧水に対する保護を規定している。オシレーティングチューブまたは散水ノズルを用いた散水装置で、各散水口あたり0.07L/minの水量をもって、鉛直方向から両側60°までの角度で10分間散水を行い、浸水がないことを確認する。

200mmのオシレーティングチューブで散水孔が8つ、0.07L/minの散水能力であれば、1分あたり0.56Lの放水が可能である。

IPX4(防沫形)

IPX4は、飛沫に対する保護を規定している。同様の散水装置を用い、各散水口あたり0.07L/minの水量で、あらゆる角度からの散水を行い、最低5分間の散水で浸水がないことを確認する。

IPX5(防噴流形)

IPX5は、噴流水に対する保護を規定している。φ6.3の放水ノズルから放出される12.5L/minの水流を、あらゆる方向から、外皮表面積1㎡あたり1分間、延べ3分間以上の散水を行い、浸水がないことを確認する。

IPX6(耐水形)

IPX6は、波浪に対する保護を規定している。φ12.5の放水ノズルから放出される100L/minの水流を、あらゆる方向から、外皮表面積1㎡あたり1分間、延べ3分間以上の散水を行い、浸水がないことを確認する。

IPX7(防浸形)

IPX7は、水中への浸漬に対する保護を規定している。水深1mの水槽に、電気機器を30分間没し、浸水がないことを確認する。

防水仕様の携帯電話など、一時的な水没に対して保護されている電気機器は、IPX7以上の性能を持たせている。常時水没する場所でIPX7の性能は不足のため、IPX8または特殊機能が必要となる。

IPX8(水中形)

IPX8は、水没に対する保護を規定している。水没した電気機器が何分に渡りどれだけの水圧に耐えるかについては、メーカーと機器使用者が協議により取り決めた試験方法による。連続的に水中に置かれる場合に浸水しない性能が必要で、完全密閉構造が原則となる。

IP等級に示されない特殊な機能

防水性能は、湿度に対する保護を兼ねられない。IPによる防水性能が高い器具であっても、高湿度に対しての保護は保障されない。IPX3で示される防雨形の器具は、鉛直60度以内の噴霧水によって有害な悪影響を及ぼさないよう設計されるが、湿度100%というような飽和状態では内部に水が浸入することがあるため、サウナ室や浴室では使用できない。

高湿度環境に器具を設置する場合は、防湿形の器具を選定することが重要である。防湿形の器具は、相対湿度90%以上の湿気がある環境でも有害な影響を受けないよう設計されている。浴室内などで使用する器具は、防湿形の器具を選定することに注意が必要である。なお防湿形はIP規格の特性文字で表示されず、特別な機能として特記される。

IP規格・保護等級の事例

IP65の電気機器

IP65の電気機器は、防塵性能「6」のため、粉塵が内部に侵入することがない。防水性能「5」は噴流水に対して有害な影響を受けない性能がある。しかし、12.5L/minは家庭用シャワーによる水流で侵入しない程度の性能であり、台風の強い風雨で使用すると、浸水するおそれがある。

IP67の電気機器

IP67の電気機器は、防塵性能「6」のため、粉塵が内部に侵入することがない。防水性能「7」は水中への浸漬に対して有害な影響を受けない性能があるので、一時的に水中で使用する事が可能である。しかし、水深1mを超えるような高い水圧に長時間さらされる場合は浸水のおそれがある。

生活防水と完全防水

時計などでよく表記されている「生活防水」「完全防水」といった仕様は、メーカーによって防水性能がまちまちであり、一般には「IPX1~IPX4が生活防水」「IPX5~IPX8が完全防水」という区分であるとされる。完全防水という表記があっても、IPX5は「噴流水に対する保護」しかないため、水中に浸漬すれば有害な影響を及ぼす。

防水性能がIP規格で明確に表記されていない場合は、メーカーが保証している防水性能で確認することが望まれる。

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