白熱電球の種類と特徴 | 発光原理と寿命・構造

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電球とは、電球の定義

白熱電球は、フィラメントや放電素子を内蔵した電気光源の一種である。昔から住宅用の照明として白熱電球が広く使用されており、店舗の業務用施設では、ミニクリプトン電球やハロゲン電球が使用されてきた。

暖かみのある赤い光は演色性が良く、照射対象の本来の色を再現し、かつ調光が可能なため、明るさを変化させることで様々なシーンに適合する。安定器など複雑な点灯回路を構築することなく、100V電源を供給するだけで点灯させることが可能で、ランプ本体も安価である。

しかし白熱電球には、消費電力が高くCO2発生量が大きいという欠点がある。省エネルギー化を図るため、シリカ電球やクリア電球など、LEDで同等の光を再現できると判断された電球は、LEDに置き換える動きがある。現に一部の照明メーカーでは、白熱電球の生産を中止している。

ハロゲン電球やミニクリプトン電球は、LEDで同様の光を再現できないため、まだ生産が続いている。しかし今後、LEDによって同等の光を再現できるようになれば、順次生産中止を進めていくとされる。

白熱電球の構造

家庭でも電球型蛍光灯やLED照明が、白熱電球に替わって普及しており、昔ながらの白熱電球の光は少ない。照明のデザインを重視している家庭では、ミニハロゲン電球によるスポットライトやダウンライトを使用し、さながら商業施設のような装飾を行っている所もある。

白熱電球は、その寿命の短さと発熱の大きさがエネルギーを無駄にしているとされる。寿命が長く発熱の少ない蛍光灯器具は省エネルギーの観点から有利である。しかし、演色性能の高さは、蛍光灯・LED照明共に白熱電球に及ばず、照射対象を綺麗に見せる効果については、白熱電球に替えられない。白熱電球のきらめき感が好きで使用したいという方もいる。

しかし経済産業省の方針として2012年までに白熱電球を全面的に生産中止とし、電球型蛍光灯に切り替えていくことが決まっている。生産中止となるのは一般白熱電球であるクリア電球やシリカ電球などが主体で、まだ代替が利かないクリプトン電球やハロゲン電球は、まだ生産中止にはならないが、いずれ代替製品が開発されれば生産中止となっていくことが予想される。

白熱電球の仕組みと特徴

白熱電球は、バルブと呼ばれるガラス体の内部に不活性ガスを充填し、発光体であるフィラメントが内部に取り付けられている。不活性ガスを充填することにより、バルブ内部のフィラメントの蒸発速度を抑え、一定時間の寿命を保つことができる。

フィラメントはタングステンという金属をコイル化しており、フィラメントに電流を流すことで発熱、発光して、光束を確保できる。熱と光を同時に発生させるため、バルブやランプ周囲に熱が伝わり、温度が上昇する。白熱電球内部のフィラメントは3,000℃程度の高温になっているため、バルブへの熱の伝達により、バルブのガラス面は100~200℃の高温になっているため、触ってはならない。

内部に充填しているガスの種類によって寿命が左右され、アルゴンと窒素の混合ガスが封入されている「シリカ電球・クリア電球」では、約1,000時間程度の寿命を確保しているのに対し、クリプトンガスを充填している「クリプトン電球」では、2,000時間程度の寿命が確保されている。

白熱電球の長寿命化

白熱電球は、定格電圧100Vの電球の場合で、1,000時間程度の寿命しかない。白熱電球を毎日5時間使用すれば半年も経過しないうちにフィラメントが切れてしまう。この電球を110V定格のものに交換するという方法が挙げられる。こうすることで1,500~2,000時間の寿命を確保できる。

さらに寿命を延ばしたい場合は、白熱電球の制御に調光器を使用する。調光器によって90V~85V程度まで供給電圧を下げ、フィラメントへの負担を抑えるという方法である。電圧を下げることにより発熱が抑えられるため、光束が減少し部屋が暗くなるが、蛍光灯同等の10,000時間近い寿命を確保できる。

白熱電球の点灯の際、調光器によってゆっくりと照度を高めるようにすれば、フィラメントへの突入電流を小さくでき、フィラメント断線の可能性を低く抑えられるためさらなる長寿命化を図ることができる。

業務用施設の計画においては、シリカ電球やクリア電球を使用することはまずないが、ハロゲン電球はまだ主流である。これらの照明器具では「ロングライフトランス」という機器が付属する。これはハロゲン電球が白熱電球系であることから、電圧の調整で寿命を操作し、光束と寿命を3段階程度で設定できる。寿命を長くすれば光束が小さくなるため、照明計画の際には注意が必要であるが、蛍光灯やHIDが使用できない場合には重宝される。

最近では演色AAAの蛍光灯や演色性重視型LED照明の製造が進んでいるため、シリカ電球やクリア電球系の白熱電球の立場はもうほとんどないと言っても良いと考えられる。しかしミニハロゲン電球やクリプトン電球はまだまだ現役であり、完全に代替できるLED照明が開発されないかぎり、これからも生産され続けることと考えられる。しかし、白熱電球のエネルギーの損失が大きいことは事実なので、少しでも省エネルギーを考慮した設計を行うのが重要である。

白熱電球の温度による劣化

白熱電球は、周囲温度によっても寿命が変化する。基本的に、温度が低くなっても寿命には影響しないが、周囲温度が高くなることで、電球の寿命が短くなる傾向がある。周囲温度60℃以下であれば寿命の変化はないが、60℃を超えると、ガラス球や口金に付けられた接着剤が劣化するおそれがあり、口金からランプが外れてしまうなど、事故の原因となる。

周囲温度が80~100℃になると、無点灯状態でも電球の劣化が進むので、白熱電球を設置する場合、周囲温度が60℃を超えないように注意を要する。電球だけでなく、電球に接続するケーブルの許容電流が低減するなど、温度が電球以外の設備にも影響を及ぼしていることにも配慮が必要である。

白熱電球の種類と使用場所

シリカ電球・クリア電球

コンビニでも販売されている簡易な仕組みの白熱電球である。シリカ電球はくもりガラス仕上げとなっており、クリア電球は透明な仕上げである。クリア電球は輝度が極めて高いため、きらめき感による演出をしたい場合に採用される。住宅の照明用途としては、まぶしさが不快グレアとなることが懸念されるため、シリカ電球を使用するのが良い場合がある。寿命は1,000時間前後でありかなり短い。

クリア電球の写真

ボール電球

シリカ電球やクリア電球と同様の特性があるが、その形状が丸型になる。落ち着いた雰囲気を出すための演出照明として使用される。シリカ電球、クリア電球、ボール電球は、生産を終了する白熱電球として代表的なものである。今後は電球型蛍光灯やLED照明に代替されていくことになる。

点灯したポール電球の写真

ミニ電球

シリカ電球やクリア電球と同様の特性を持つ小型の白熱電球である。口金はE17という小さなものを使用しており、シャンデリアやブラケットに使用されている。寿命が短いためランプ交換頻度が多くなるため、設置場所には注意が必要である。高所のシャンデリアや構造が複雑なブラケット照明に用いると、ランプ交換が煩わしくなる原因となる。

クリプトン電球

クリプトンガスを電球内に封入使用し、シリカ電球やクリア電球よりも長寿命化・効率向上を行った白熱電球である。一般電球よりも2倍の長寿命で、消費電力を約10%低減できる。クリプトンガスは、アルゴンガスよりも熱を伝えにくいため、熱損失が小さいため寿命が長くなり、発光効率も改善される。

ミニクリプトン電球は、シリカ電球やクリア電球よりも長寿命(約2,000時間)な白熱電球で、形状が非常に小さく抑えられている。ダウンライト等のベース照明のほか、スタンド照明やブラケット照明に使用されている。電球サイズが小さいことにより、照明器具本体を小さく製作できるうえ、輝度を高く設計できるので、パウダーコーナーやトイレ用のブラケットなどでの使用例が数多くある。

ミニクリプトン電球の写真

小丸電球(ナツメ球)

小型で長寿命な白熱電球である。常夜灯や残置灯として使用されるため長寿命であることが必須条件であり、約5,000時間の寿命を確保している。白熱電球の特性上消費電力が高く、5W程度が一般的で、長時間使用するには若干大きめである。最近は消費電力が小さいLED球による代替品も販売されているため、これを採用すれば寿命も4~8倍延長できる。

置かれたナツメ電球の写真

レフ電球

内部に反射板を取付け、光に指向性を持たせた白熱電球である。スポットライトやディスプレー照明として使用されている。クリプトン電球と同様の特性となっているため、約2,000時間の寿命を持っている。

レフ電球の写真

シャンデリア電球

炎の形を模したバルブ形状を持つ白熱電球で、きらびやかな演出が可能である。シャンデリア器具だけでなく、ペンダント照明やブラケット照明でも、シャンデリア電球を採用した製品がある。

一般電球と同様、ホワイトバルブとクリアバルブが存在する。近年は、シャンデリア専用のLED照明が普及しており、超小型のLEDをフィラメントと似た形状に配置し、その外側をガラスグローブで覆った「LEDシャンデリア電球」が販売されており、意匠性を維持したままに、長寿命化と省電力化が進んでいる。

chandelierに取り付けられた専用電球の写真
 
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