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電気設備の知識と技術 > 電気の基礎知識 > 電気代・電気料金の計算方法(定額電灯)

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定額電灯における電気代の計算方法

電気代・電気料金の計算は通常「基本料金」「従量料金」の合算で求められるが、電気料金が常に一定となる「定額電灯」という契約がある。

共同アパートの通路に取り付けられている照明は、個別の住戸内からの電気代で支払うことはせず、共用部専用の契約が行われる。共用部に管理室や共用施設が備わっているような規模の大きいマンションなどであれば、共用部への個別契約に違和感がないが、電灯が数台取り付けられているのみであれば、従量契約は不合理である。

電気供給の契約は「使った分だけを支払う」という契約が基本であるが、ごく小規模かつ負荷が限定的な需要家であれば、高い基本料金を支払う従量契約を結ばず、定額制のプランが推奨される。

需要家に対して合理性のあるプランを提供するため「常に同じ料金で電気を使用できる」という契約方式が用意されている。ここでは、小規模な需要家にのみ適用できる「定額電灯契約」について解説する。

計算機とノートの写真

定額電灯契約とは

ビルの屋上サイン看板や、アパートの共用照明など、極めて小さく限定的な電灯にのみ電気を供給できる契約として、定額電灯契約がある。アパートでは、建物の主となる電力消費は住戸であり、共用部は廊下の照明のみという事が多々あり、中廊下方式のアパートでは日が差さないことから、一日中照明器具が点灯していることも考えられる。

このような環境であれば、定額電灯契約を結び、常に同じ電気代とするのが合理的である。従来は、蛍光灯を用いた防犯灯やブラケット照明が一般的であるが、LED照明の普及により、照明器具の消費電力が小さく、かつ長時間点灯に耐えられるようになった。定額電灯契約も、LED防犯灯に特化した契約が結べるようになり、よりコストを抑えた契約が可能である。

定額電灯は、1契約あたり100円未満の安価な料金体系で、かつ電灯1灯あたりの金額が設定される。10W未満の小型電灯であれば、灯数に応じた金額も100円未満となり、200円に満たない金額で照明を使用できる。

定額電灯の適用範囲

定額電灯の適用範囲は、負荷設備容量400VAまでの小規模範囲に限られ、標準電圧は100Vまたは200Vである。定額料金のため、24時間どれだけ電気を使用しても料金が変わることがないが、点灯時間が短い場合は、料金が逆に高くなる場合がある。

照明や小型電気機器の負荷設備容量は、ランプや付属機器を一括した入力容量で計算する。力率が悪く、入力が大きくでも出力が小さい機器であれば、入力値が大きくなってしまい、高い電気料金の契約である。

定額電灯契約の料金計算

契約する需要家は基本料金として「52.5円」に合わせ、下記の電灯料金が1灯毎に加算される。金額は東京電力の設定を参考にしている。

さらに、電灯以外の小型機器は、1機器につき料金が合算される。

32W蛍光灯1本の看板照明を設置し、定額電灯で契約した場合を考える。Hf蛍光灯の消費電力を32Wと仮定すると、20Wを超え40Wまでという欄が適用されるので、52.5 + 196.31 = 248.81円が月々の電気料金となる。

定額電灯と、従量電灯Aのどちらが得になるかを考えてみる。32Wの電力が必要な蛍光灯は、一時間あたり0.032kWhの電力量となる。従量電灯A契約は基本料金「216.3円」従量料金「17.87円/kWh」であり、248.81 - 216.3 = 32.51円 が、定額電灯と従量電灯Aの差となる。

32.51円の従量料金は、1.819kWhの電力量に相当する。消費電力が1.819kWhを上回るようであれば、定額電灯が得になると考えられるが、従量料金Aは最初の8kWhまでは定額料金なので、1.819 + 8 = 9.819kWhを超える電力量を使用するようであれば、定額電灯契約が得となる。逆に点灯時間が短く9.819kWhを下回るようであれば、従量電灯A契約が得である。

9.819kWhの電力量を発生させるには、32Wの蛍光灯1本では、306.8時間の点灯時間が必要である。24時間点灯であれば13日で超過するが、17時~22時までの5時間点灯を毎日行うとすれば、30日連続点灯でも150時間にしかならないため、従量電灯の方が得である。

消費電力の計算



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