待機電力の節電方法と実例の紹介 | 家電の消費電力一覧・待機電力の削減による電気料金の計算

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待機電力とは

待機電力とは、コンセントに接続され通電されている電気機器、微小な電力消費が発生している状態である。正式名称は「待機時消費電力」と呼ぶ。

家電製品の多くは待機電力が発生する機器であり、代表的なものには「給湯器」「時計機能を持つ録画機器」などがある。録画予約や、テレビのリモコン待ち状態による受信機への通電状態も、待機電力が必要な機能である。

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待機電力のカットと生活利便性

待機電力は無駄な電力として扱われるが、電気機器をすぐに使用できるよう、スタンバイ状態とするために使用されている電力である。待機電力のカットにより生活利便性が損なわれる場合があるため、待機電力のカットを優先しすぎると、生活利便性を損なうおそれがある。

録画予約ができない

録画装置やゲーム機など、映像や音響機器の待機電力は比較的大きいが、待機電力削減のため主電源をカットすると、タイマー予約やリモコンが使用できない。待機中にテレビ番組表のデータ通信を行う機種の場合は、最新情報のデータ取得ができなかったり、予約録画ができないといった不具合が発生する。

時計機能が狂う

通電することで内部電池を充電する機種の場合は、電池が消耗状態になってしまい時計を狂わせる原因となる。電源を常に入れた状態にしなければ、時計機能が使えない。

インターネットが使えない

モデムやルーターなども待機電力が大きな機器のひとつとして挙げられるが、常時接続で使用しているモデムやルーターの電源をカットすると、インターネットを利用するたびにモデムやルーターの電源をオンにしなければならず現実的ではない。

モデムやルーターは通電した瞬間に使用できる機器ではなく、通信回線の認識などで数分間の時間を要するため、ネットワーク接続が確立するまでの間の通信ができないという不具合がある。

IP電話の契約をしている場合、モデムやルーターが電話機を構成する機器のひとつとして機能するので、常時電源を入れておかなければ着信を受けられない。待機電力のカットによる節電を考える場合、常時通電が不必要な電気機器に限り対応するのが重要である。

待機電力の計算例

テレビ・パソコン・エアコン・ビデオレコーダーなど、一般家庭でよく使用される電気機器の待機電力を集計すると、一般的に20W~30W程度とされる。旧式のブラウン管テレビやプラズマテレビの場合は、さらに待機電力が大きくなる傾向にある。

電気機器のACアダプターは交流電源を直流電源に変換する装置であるが、コンセントに接続するだけでアダプター本体が発熱し、微小な消費電力が発生する。機器が接続されていないACアダプターを取り外すことで、節電を図ることができる。

1時間あたり20Wの待機電力を計算すると年間では P = 20W × 24h × 365[日] = 175,200[Wh] → 175.2[kWh]にもなる。

1kWhあたりの単価を32円で換算すると、175.2[kWh] × 32円/kWh = 5,606円 が待機電力による年間の電気代となる。これは1ヶ月分の消費電力にもなり、インパクトが大きい。

待機電力によって発生する電気代はこのように大きいため、生活利便性を悪化させない範囲で待機電力をカットし、電気代の節約を図るのが望まれる。

待機電力の削減方法と注意点

テレビやビデオデッキのコンセントは、ほとんどの場合、本体背面など、コンセントに手が届きにくい場所からの電力供給であり、場所から電源供給されているコンセントを頻繁に抜き差しするのは難しく、無理にコンセントを抜き差しするとプラグやコードを損傷するおそれがある。毎日の生活に、コンセントの抜き差しを組み入れるのは少々無理がある。

機器の電源を無理なくオンオフする方法として、個別スイッチ付テーブルタップを購入する方法がある。テーブルタップのコンセント毎にスイッチが設けられており、不要なコンセントをスイッチ一つでオフにできるので、プラグを抜き差しの必要がなく手軽に待機電力の節約が図ることができる。

スイッチ付のテーブルタップは定価1,000円以上の製品が多く、待機電力節約のために高価なテーブルタップを購入し、その原価が償却できないということになりかねない。毎日のオンオフを日課とすると、万が一電源の切り忘れがあったとき、それを気にしてしまうことが精神的負担となるため、無理のない範囲での対応が望まれる。

近年販売されている家電製品は、政府が推進している「省エネルギー」の観点から、待機電力を極めて小さく設計した製品が多いため、毎日テーブルタップでオンオフをしても大きな節電にはならない。神経質になりすぎず、効果的な家電製品を見極めることも大切である。

日本国内の世帯数と待機電力

総務省の統計情報を見ると、国内の世帯数は5,570万世帯となっている(令和2年・国勢調査)。待機時消費電力量は年間約300[kWh/年・世帯]も発生しているとされ、単純な合算による計算をすると、5,570万[世帯] × 300[kWh/年・世帯] = [kWh/年](約167.1億kWh)の電力が、待機電力として消費されている。

この大きな待機時消費電力の低減を図ることは、電気代の節約だけでなくCO2の削減、化石燃料の消費低減など、自然環境への配慮という点からも有用である。

代表的な家電の待機電力一覧表

家電機器名称 待機電力(W) 家電機器名称 待機電力(W)
ガス式床暖付給湯器 11.0 DVD再生専用機 1.2
石油式給湯器 8.2 電話機子機 1.1
モデム 6.6 炊飯器 1.1
LAN機器 4.6 除湿機 1.1
HDDレコーダー 3.4 オーブンレンジ 1.1
FAX付電話機 3.4 電気マッサージ機 1.1
TVブースター 2.9 ブラウン管テレビ 0.9
電話機 2.8 加湿器 0.9
温水暖房便座 2.4 充電用歯ブラシ 0.8
冷暖エアコン 2.4 食洗機 0.7
デスクトップPC 2.4 布団乾燥機 0.8
IHクッキングヒーター 2.0 電子ピアノ 0.6
空気清浄機 1.7 扇風機 0.5
TVゲーム機 1.4 液晶テレビ 0.4
液晶モニター 1.3 電気スタンド 0.1
複合プリンタ 1.2 オーブントースター 0.1

大きな待機電力が発生するのは、ガス湯沸器のコントローラーである。ガス給湯器のコントローラーには時計機能や、給湯器に対する流水を検出する制御部などが組み込まれているため、大きな待機電力が必要である。床暖房付のガス給湯器など多機能な製品では、10Wを超える待機電力が発生する。

24時間通電されていれば、一日あたり240Whの消費電力が必要となり、年間では87,600[Wh](87.6[kWh])もの大きな電力となる。

87.6kWhの消費電力を家庭の電気料金32円/kWhで換算すると、約2,800円ともなる。お湯を使うとき、暖房を使うときだけコントローラー電源を入れるようにすれば、節電を図られる。ただし、電源を入れ忘れて長時間水を流してしまったりすると、水道代が無駄になることに注意が必要である。

エアコンの待機電力削減に対する注意点

エアコンの主電源を着ることで待機電力削減を図るのも一案であるが、これには注意が必要である。

ルームエアコンは、ワイヤレスリモコンからの操作を受信するため、リモコン待機状態で電力を使用する。冷暖房兼用のルームエアコンでは、約2.4Wの待機電力が発生している。エアコンのコンセントを抜くことにより待機電力が削減され節電を図ることができるが、常時通電しないことによる不具合のおそれがある。

冷媒余熱機能が失われる

ルームエアコンには冷媒ガスを充填した配管が接続されており、コンセントからの通電により、室外機のコンプレッサーなどを介して「充填されている冷媒を余熱する」という動作をしている。

シーズンオフ時期など、節約のためエアコンに長期間通電しなかった場合、コンセントを差し込んですぐに運転開始すると室外機のコンプレッサーを傷める原因になる。

空調機メーカーによると、業務用ではない家庭用ルームエアコンにおいても、長期間電源を抜いていた場合は冷媒が寝た状態、いわゆる「冷媒寝込み状態」になるため、通電状態のまま4~8時間は運転せず冷媒を温めるのが良いという回答であった。待機電力を気にするあまり、空調機を壊してしまっては節電の意味がない。

冷媒余熱の仕組み

エアコンプラグをコンセントに挿入すると、コンプレッサーに電力が送られ冷媒の余熱が始まる。外気温が低くなっても冷媒が一定温度以上に保たれ、常に一定の流量・流速で冷媒が流れる。

外気温が30℃を下回ると、冷媒寝込みの可能性があるとされている。コンセントを長時間抜いていたエアコンに通電するのであれば、冷媒が十分温まるまで運転しないのが望まれる。何時間コンセントを挿すのが良いか、外気温度に影響するため明確ではない。

メーカーの空調機カタログの「注意事項」を見ると「シーズン中(冬季)はコンセントを入れたままにしないと、暖房の効きが悪くなる。」と記載されている。エアコンを使用しない中間期はコンセントを抜いて節電し、エアコンを頻繁に使用する夏季や冬季は、コンセントを差し込んだままにするのが現実的と考えられる。

 
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