電気設備の知識と技術 > 電気の基礎知識 > 冷蔵庫・冷凍庫の仕組み
冷蔵庫は主に食品を長期保存するため「凍結しない程度」の低温空間を作り出し、生鮮食品の低温保存が必要な物品を収容する電化製品のひとつである。冷蔵庫は0~10℃の範囲で凍結しない温度とされており、対して庫内温度を食品が凍結する温度まで低下させて保存するものは冷凍庫として区分される。JISでは-12℃以下まで温度を下げるよう設定でき、通常-18℃前後で運用することが多い。
冷蔵庫には通常の冷蔵室、冷蔵室に付随して、凍結する寸前の低い温度で保冷されているチルド室、比較的高めの温度の野菜室が組み合わされており、そのサイズや位置、扉の形状などでメーカーごとに特徴がある。冷凍庫室は温度が違うために専用空間が確保されているが、温かい食材をそのまま凍結できる専用室や、製氷機が組み合わされている場合もある。
日本の温度環境は、夏季で35℃前後、冬季で氷点下となることもある寒暖差の激しい気候である。夏季に肉類や野菜類、乳製品の生鮮食品を常温で保存するのは不可能だが、冷蔵庫や冷凍庫に保存すれば、長期間に渡り鮮度が保持される。冷蔵庫は生活必需家電として極めて幅広く普及している。ここでは、冷蔵庫や冷凍庫の仕組みのほか、電気代の算出方法、節電に効果的な収蔵方法、安全な取り扱い方を解説する。
冷蔵庫はエアコンに非常に似通った構造となっており、主要機器は「圧縮機」「凝縮器」「膨張弁」「蒸発器」の4つである。これらを用いて冷気を作り出し、庫内に放出するという仕組みで冷却が行われている。
エアコンの冷房部分を冷蔵庫内に作り出し、暖気部分を庫外に放出するのは、エアコンの室内機が冷気を放出し、室外機が暖気を放出するのと似ている。温度差を作り出し、冷却側を有効利用しているのが冷蔵庫や冷凍庫の仕組みである。エアコンとの違いは、熱を利用する必要が無い為、発生する熱は全て不要という点にある。
冷蔵庫の冷却サイクルは、エアコンとほぼ同じである。電気エネルギーで駆動する「圧縮機(コンプレッサー)」で、冷蔵庫内に収容された気体冷媒を圧縮する。圧縮により高温高圧となった冷媒ガスは「凝縮器」を通ることで液化する。
液化した冷媒は「膨張弁」を抜け、圧力が急激に低下し沸点が下がる。沸点の低下した液体冷媒を「蒸発器」に通し、冷媒を気化する。この「液体が気体に変化」する瞬間、気化により大きく熱を奪う特性がある。この「蒸発器」の部分を冷蔵庫内に配置することで、冷蔵庫内を冷却し、低温空間を維持できる。
蒸発器を通過した気化冷媒は、再度「圧縮機(コンプレッサー)」に通され、冷却サイクルが継続する。この一連の流れを電気エネルギーで行うのが、通常販売されている冷蔵庫や冷凍庫の仕組みであり、このフローはエアコンと大きく違いはない。
冷蔵庫の冷却サイクルにある「圧縮」の工程で、コンプレッサーから熱が放出される。これが冷蔵庫内部に侵入しないよう背面から放出させているが、適切な放熱スペースがなければ熱が逃げず、冷却サイクルの効率が悪化する。
酷暑時にエアコンの冷房能力が低下するように、冷蔵庫や冷凍庫の排熱が不良となれば、冷却効率が低下する。さらに、換気や放熱によって熱を取り除かなければ、冷蔵庫背面の温度が50~60℃と極めて高温になってしまい、故障や発火・発煙の事故につながるので、設置場所にも注意が必要である。
吸収式の冷蔵庫は圧縮式の冷蔵庫と違い、冷媒となる「アンモニア」と吸収液となる「水」が、同じく密閉された別系統の配管に充填されている。主要機器は「吸収器」「再生器」「分離器」「凝縮器」「蒸発器」の5つである。
吸収器によってアンモニアガスと水が混合し「アンモニア水溶液」を作り出す。アンモニア水溶液は、電気エネルギーまたはガスエネルギーによるヒーターを内蔵した「再生器」で加熱される。
加熱によりアンモニア水溶液は水より先にガス化し「分離器」によって「水」とアンモニアガスに分離する。水は吸収器に戻り、アンモニアガスは「凝縮器」に進む。
「凝縮器」に到達したアンモニアガスは液化し、液化したアンモニアは「蒸発器」を抜けて蒸発し気化する。圧縮式冷蔵庫と同様、蒸発器の部分では気化熱の特性により、気化の瞬間に大きく熱を奪うため、この部分が冷蔵庫内に配置される。
蒸発器を通過したアンモニアは吸収器に戻り、再度水と混合してアンモニア水溶液になり、以降継続的に冷却サイクルが繰り返される。
吸収式冷蔵庫はコンプレッサーを持っておらず、圧縮式冷蔵庫と比べて非常に静音という利点により、ホテルの寝室や病院など静音を求める用途に適している。一般家庭用としてはあまり普及しておらず、ほとんどが圧縮式冷蔵庫となる。
直流電流を流すことで片面が吸熱し、もう片面が発熱とするという「ペルチェ素子」を活用した冷蔵庫である。冷媒やコンプレッサー、吸収器といった機器を使用しないため、騒音や振動が発生しない小型冷蔵庫を製作できるという特徴がある。
ペルチェ式冷蔵庫は、吸収式冷蔵庫と同様、ホテルや病院など静音性を求める場所に適した冷蔵庫である。小型冷蔵庫のほか、冷却機能の付いたワインセラーにも活用されている。
欠点として、ペルチェ素子はエネルギー効率が悪いため消費電力が大きくなり、かつ庫内温度を低下させるための排熱が大きいという特性がある。放熱を十分に行わないとペルチェ素子が破損してしまうおそれがあり、大容量の冷蔵庫を製作するのは排熱ファンが過大になるため合理的ではない。
ペルチェ素子そのものは騒音や振動を発生させないが、排熱ファンが運転するため完全無音ともならない。冷却効率が悪いため、頻繁に開け閉めするような使い方には適していないため、長時間開放すると庫内温度がすぐに上昇し、温度管理が大変難しい。
各社メーカーの販売ラインナップは小規模な製品に限られており、20~50Lを上限とする小型冷蔵庫が一般的である。
冷蔵庫は、キッチン家電の中で比較すると、電子レンジやIHヒーターのように瞬間的な高い電気容量を必要としないが、24時間常に通電しているという特性から、消費電力に比べ、消費電力量が多い電化製品である。
各社メーカーは、冷媒や冷却サイクルの効率化を図り、十数年前に発売された冷蔵庫に比べ大きな省エネルギーを実現しているが、それでも家庭内で使用する電気エネルギーの多くを占めている。
総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会 電気冷蔵庫等判断基準小委員会 最終取りまとめによれば、2005年度に出荷された電気冷蔵庫の実績値から算出したエネルギー消費効率は、約572[kWh/年]とされている。
世帯あたりの年間消費電力は2009年度時点で約 4,618[kWh/年] であり、電気冷蔵庫は14.2%を占める電力を消費する電気機器とされている。4,618[kWh/年] × 0.142 = 655.8[kWh/年] であり、大きく乖離はしていない。
同様に2014年の消費電力の状況であるが、年間消費電力量の目安は 210[kWh/年] であり、大きな省エネルギーが図られている。しかしながら、2006年からの大きな省エネに比べ、2010年からのエネルギーの低減率はわずかであり、今後さらに大きな省エネルギー効果を期待することは困難と思われる。
2014年販売の各社メーカーにおける冷蔵庫の消費電力は概ね一律であり、その数値の目安は下記の通りである。なお家庭用冷蔵庫は冷蔵室と冷凍室が一体となっているものがほとんどで、冷蔵庫と冷凍庫を同時に冷却する「冷蔵冷凍庫」を参照している。
霜取り運転機能を持っている機種では、さらにヒーター分の消費電力が加算される。20~40Lクラスの小型冷蔵庫は、ペルチェ式冷蔵庫は家庭用の圧縮式冷蔵庫より効率が悪く、定格消費電力50~70Wと大きくなっているのが一般的である。
400Lクラスで90Wの冷蔵庫において、月当たりの消費電力量を考える。定格電力が24時間すべて掛かるとすると 90[Wh/日] × 24h = 2,140[W/日] → 2.14[kW/日] となり、年間約 780[kWh] と、平均値の3倍以上の数値となる。
冷蔵庫は庫内温度が設定値以下に冷却されると、コンプレッサーの運転を止めて省エネルギーを図るため、1日当たりの消費電力を算出する場合、単純に24時間を加算できない。
JIS C 9801(2006)では、冷蔵庫の消費電力計算の使用条件や周囲条件を、下記のように詳細に規定している。
これらの測定条件を考慮し、メーカーは自社製品の年間消費電力量を算出し表示している。冷蔵庫の消費電力は上記の条件に近ければ近いほど、メーカーによって表示された消費電力に近づく。対して、十分な隙間の幅が確保されておらず放熱が阻害されていたり、扉の開閉頻度が多く冷蔵室や冷凍室の温度が上がってしまった場合など、温度条件を悪化させると消費電力は大きくなる。
冷蔵庫はエアコン同様、温度環境に大きく依存する電気機器であり、「運転時間×消費電力」といった簡易計算では誤差を生じることになる。
冷蔵庫は、長期使用製品安全表示制度に規定された、製造年、設計上標準使用期間、注意喚起文の記載義務がないため、明確な寿命設定はなされていない。安全表示制度では「扇風機」「換気扇」「電気冷房機」「電気洗濯機および電気脱水機」「テレビジョン受信機」の5品目のみ規定されており、冷蔵庫の設計使用期間の記載義務はない。
電気冷蔵庫の仕組みは電気冷房機、いわゆるエアコンに似た特性を持っているため、これに準拠すると考えれば設計寿命は10年程度と予測される。しかし明確な期間の指定はされておらず、何年以上使ってはならないという規定もないため「冷気が弱くなり冷蔵・冷凍ができない」「異音や振動が発生している」「故障修理を依頼しても修理部品がない」といった事案があれば、それを寿命とするということもできる。
冷蔵庫の故障として多いのは、コンプレッサーやファンからの異音、ドアラッチやトレイの破損、リレーやタイマーの動作不良、着氷・着霜による冷却不良などが考えられ、部品交換で解消されることも多い。交換部品が供給されなくなった時期を寿命と考えるのも一案である。
頻繁に開け閉めを行う使い方や、庫内に数多くの食品を保管する要な場合、庫内温度の変動や不安定状態が続くためコンプレッサーの稼働時間が長くなり、機器への負担が大きくなるため故障原因となりやすい。また、壁に接触して配置したり、周囲に荷物などを積載して放熱が不十分な状態が続けば、電装部品に異常な発熱が影響して故障につながることも考えられる。
直射日光が当たる場所や、暖房器具が近くに配置されている場所というのも、コンプレッサーの稼働時間が頻繁に発生し、故障につながりやすい。
家庭用冷蔵庫は家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の対象製品であり、粗大ごみなどで廃棄することは禁止されている。ゴミとしてではなく、リサイクル品として回収することが義務付けられているため、その再商品化を行うための費用や、収集運搬費用が廃棄時に必要となる。
冷蔵庫を構成している金属部分、ガラス部分、プラスチック部分などをすべて再生利用し、材料として使用することで、資源の有効利用につなげている。
冷蔵庫や冷凍庫は、使い方によって大きく節電を図ることができる。動作原理はエアコンと同様であり、熱交換の量が少なければ少ないほど電力を使う必要がない。電力を低減するための方法を紹介する。
冷蔵庫、冷凍庫の庫内温度が低いほど、庫外周囲の温度との差が大きくなる。温度差が大きいほど、温度を下げるために冷媒を活発に動かす必要があり、圧縮機に大きな電力を供給しなければならない。冷蔵庫本体は熱の移動を最小限にするために断熱されているが、いくら断熱されているとはいえ、自然放熱はゼロにはならず庫内温度が上昇するので、温度を低下させるために圧縮機を定期的に運転させる必要がある。
頻繁な開け閉めをすると暖気が冷蔵庫内に侵入するため、温度を下げるためにコンプレッサーが運転し電力が消費される。庫内に温かいものを入れたり、冷蔵室を過密にするといったことでも、冷気が十分に循環せずコンプレッサーの運転時間が長くなり、同様に電力を多く消費してしまう。
冷蔵庫は庫内温度を設定できる製品がほとんどであり、庫内温度を高く設定することで消費電力は低くなる。必要以上に低い温度に設定せず、弱~中運転とすることで節電となる。例えば冷蔵庫の周囲温度が低く、5~10℃という寒い環境の場合、中設定であっても庫内に凍結が発生するほど冷やされることもある。周囲温度が低い場合は、弱設定でも足りることがあるので、適宜調整すると良い。
冷蔵庫や冷凍庫は、メーカーが推奨する壁面離隔の距離がある。背面や側面に一定のスペースを確保し、放熱の蓄積を避けることが節電につながる。背面や側面が壁に近すぎると、圧縮機から放出される熱が外部に逃げず、内部機器の周囲温度が上昇し熱交換不良となる。
熱交換の効率が悪化すると、圧縮機はより大きな電力を必要としてしまうばかりか、内部機器が長時間高温にさらされることで故障を誘発する可能性もある。壁面から一定距離を確保し、冷蔵庫・冷凍庫からの放熱が妨げられないよう注意を要する。
冷蔵庫上部は非常に熱くなる部分であり、上部にダンボール箱などを積むと放熱が妨げられて効率が悪化する。地震などで落下するおそれもあるので、冷蔵庫上部には何も置かないようにすべきである。
冷蔵庫本体を、直射日光が当たるような場所に設置するのは避けるべきである。本体は断熱されているが、太陽からの日射は熱量が大きく、内部に与える熱の影響は無視できない。「よく冷えない」「電気代が高い」といった問題が発生するだけでなく、開け閉め時に直射日光が庫内に入ると、熱によって冷気が失われる原因にもなる。
直射日光だけでなく暖房器具が付近にある場合も、同様に内部に対する熱影響が考えられるので、エアコンやヒーターの熱影響のない場所に設置することが望ましい。
熱いままの食品を冷蔵庫や冷凍庫にそのまま収容すると、熱い食品からの放熱で庫内温度が著しく高くなってしまい、これを冷却するために電力を大きく消費する。通常の冷蔵室は急速冷却できないため、長時間に渡って高い温度を保ってしまい、庫内の他の食品を温めてしまう可能性がある。
最近の冷蔵庫では、熱い食品をそのまま冷却できる専用ストッカーを用意している製品があるので、これを利用するのが良い。
冷蔵室は、庫内の空間を冷やして低温を保っている。庫内に食品等が詰め込まれすぎていると、冷風が庫内に循環せず、冷却のために圧縮機が過剰に運転してしまう。庫内に収容するものは、一定間隔を空けて保管することで、冷却効率が向上し節電となる。
冷凍室については逆で、凍結した食品を詰め込むことで節電となる。凍結した食品そのものが保冷材のような役割を持ち、冷却に必要な電力を抑えられる。空間を大きくあけてしまうと、空間を冷却するために大きく電力を使うため、できるだけ詰め込むように調節すると良い。
ドア開閉時は、内部の冷気が外に漏れ出す。内部の温度が高くなると、冷却のため圧縮機を動かさなくてはならず、大きく電力を使用する。ドア開閉回数を少なく、開閉時間を短くすることで節電を図ることができる。節電アイテムとしての「冷蔵庫カーテン」を取り付けるという方法は、カーテンによりドアポケット側への冷却効果が失われるため、庫内温度のムラを引き起こすおそれがある。
庫内に温度ムラが発生すると、内部温度が設定温度に到達したかを測定するセンサーの誤動作が多くなり「庫内温度が低くなっているのに冷却を続ける」といった不具合につながり、余分に電力を使ってしまうおそれがある。
冷蔵庫カーテンは、常に冷蔵部分がオープンとなっている「コンビニ」や「スーパーマーケット」の冷蔵ストッカーに適した冷却方式である。一般家庭用の冷蔵庫では効果が得られず、逆効果となる可能性も高いので、適合するか十分に検討しなければならない。
冷蔵庫は水を扱う製品として分類されるため、漏電遮断器で保護された回路から電源供給しなければならない。住宅用の電気回路であれば、メインブレーカーが漏電遮断器となっているので問題ないが、接地(アース)を接続しなければ漏電遮断器が適正動作しないため注意する。
漏電遮断器は、大地に漏洩した電流を検知して動作する。冷蔵庫にアースを接続した状態で冷蔵庫から漏電が発生した場合、漏洩電流がアースを伝わって大地に流れるため、安全装置が確実に働く。
もしアースを接続せずに冷蔵庫を使用していると、人体が漏電した冷蔵庫に触れた際、人体を通じて大地に漏洩電流が流れてしまい大変危険である。
冷蔵庫のアース線は、冷蔵庫背面に設けられた専用のコンセント回路に冷蔵庫を接続するのが重要で、もしアースのないコンセントしか設けられていない場合は、専門工事店に依頼してアース工事を行わなければならない。
水道管やガス管からアースが得られるというのは過去の話で、これらに接続しても近年は鋼管ではなくポリエチレン管を使用することが多いため、アースとしての機能を果たさない。
通信用や避雷設備用のアースに接続すると、落雷時に雷電流を室内に引き込んでしまい、機器から出火・爆発といった大事故につながるため、これも避けなければならない。適正な保安用アースを接続し、安全な冷蔵庫の使用が望まれる。
冷蔵庫の取扱説明書に記載されていることがほとんどだが、取扱い上の注意点があるので紹介する。詳細は購入した冷蔵庫や冷凍庫の説明書を読むべきであるが、重要な内容をいくつか紹介する。
冷蔵庫の電源は専用とし、単独で使用するのが原則である。冷蔵庫用のコンセントは、ほこり溜まりにならず、コンセントの状況がすぐわかるように、床から1,800~2000mmの高い位置に配置され、アース線が接続できるようにアースターミナルが設けられているのが一般的である。
冷蔵庫本体の消費電力は小さいため、他のコンセント機器と共用できそうなものであるが、コンプレッサーが頻繁にオンオフするため回路電圧が安定しないことや、他のキッチン家電を動かした際の過負荷で停電を引き起こすおそれがある。
冷蔵庫の停電は、冷蔵庫内部の温度上昇により食品が傷んだり、コンプレッサー本体の故障を引き起こすのリスクが高いため、コンセントの共用は推奨されない。
圧縮機が内蔵されている冷蔵庫は、電源を突然失うと圧縮機も稼働時のままの状態で停止してしまい、これがすぐに復旧すると内部機器に無理がかかり故障の原因となる。メーカーによって数分の差があるが、概ね7~10分以上の時間をおいてから電源を入れることを推奨している。
冷蔵庫は立てて運搬するのが原則の電気機器で、傾けるのは搬入据付時にドアをくぐる際など、最小限に留める必要がある。車両運搬をする場合、横に寝かせると振動や衝撃で圧縮機に悪影響を及ぼし、電源接続時に冷えないといった故障につながる可能性がある。
家庭用冷蔵庫はコンプレッサーが内蔵された圧縮式であり、冷媒管の内部には冷媒ガスが充填されている。古い冷蔵庫で顕著であるが、冷蔵庫運搬の振動や衝撃によって内部冷媒が撹拌され、不安定になっている状態ですぐに電源を入れてしまうと、適正な冷却サイクルが始まらないといった不具合が起きる。
近年の冷蔵庫では、冷媒の撹拌による悪影響はほとんど発生しないとされており、すぐに電源を入れて良いと取扱説明書で明示している製品もある。
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