電気ポットの構造と仕組み

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電気ポットとは

電気ポットは水を沸騰させ、長時間保存していつでも使えるように工夫された電気機器である。一定温度を維持するための保温機能を持っており、100℃近い熱湯だけでなく、90℃・80℃というように、温度を下げた湯を作るための温度設定機能を持つのが一般的である。

電力をわずかに使用するだけで、長時間に渡って高温を維持する「魔法瓶」としての機能を持たせているのが特徴である。

電気ケトルの普及と電気ポットとの関係

最近では、電気ポットよりも簡単に湯を沸かせる「電気ケトル」が普及しており、電気ポットよりも少ない湯を。短時間で沸かす手軽さが一人暮らしの世帯などで好まれている。電気ケトルは湯の「使い切り」が基本であり、本体に保温機能を持たない製品がほとんどである。

コンセントに接続して数分で湯が沸くので、ガスコンロを使ってやかんで湯を沸かすよりも手軽であり、一人暮らしでの生活に適している。

電気ポットは長時間に渡って湯を供給するのが目的であり、沸かす湯量が多くなりがちで、一人暮らしでは使い切ることが難しく手軽さがない。

長時間に渡って水を保存するのは、衛生上良いことではないため、電気ケトルなど1リットルに満たない湯量で湯を利用するスタイルが好まれている。日本ではお茶やコーヒーを飲む習慣があるため、常に熱湯を保持することが合理的ともいえる。個々の生活スタイルにあわせて選択することが大切である。

電気ポットの構造

電気ポットは、長時間に渡って高い水温を保つ必要があるので、ふた部分や、本体側面に高性能断熱材を配置するなど、加熱後の湯の熱を外に逃がさないような工夫が施してある。

従来から販売されている電気ポットは、ポット本体の上部に押しポンプが付いており、ポットの内圧を高めて湯を押し出す方式が主流であるが、現在では電動ポンプを内蔵することで、スイッチひとつで湯を排出する仕組みを持つ電気ポットが主流である。

電気ポットであっても、上部の手押しポンプが内蔵されている製品も多く販売されている。電気ポットのコードを外し、別の場所で使用する場合、電源がなければ湯が出せないということがないように配慮されている。

電気ポットには、点灯時の溢水を防止するなど、多くの安全装置が搭載されている。電気ポットとコンセントをつなぐ電源コードに足や物を引っ掛けてしまうと転倒のおそれがあるが、電気ポットは転倒を防止するため、接続部がマグネット式となっており、張力によって外れることで安全性を保っている。

子供が給湯ボタンを押して湯が出てしまう、というのも危険であり、給湯するためにはまずロックを外してから給湯ボタンを押すという「2アクション」が一般的である。簡単に操作できないよう、より強固なチャイルドロック機能を搭載していたりと、数多くの安全装置によって事故防止が図られている。

長時間に渡って熱湯が保存されるという特性上、やけど事故の原因となりやすいため、これら安全装置は非常に重要である。

電気ポットの構造と仕組み

電気ポットは、沸騰させた水の温度を、高温のままに長時間維持することが求められる。外部に熱が移動しないよう、湯と接触する内部容器を断熱して、容器の外への熱の移動を阻害している。

「魔法瓶」と呼ばれる「保温性能の高い容器」で製造されたポットは、長時間に渡って高い温度を維持できる。100℃に加熱された湯を10時間以上保存しても、その温度を70℃まで保つことができるのが魔法瓶の特徴である。

24時間もの保存であっても50℃以上の温度が維持されるなど、魔法瓶は高い保温性能があるので、電気ポットにこれを応用すれば、わずかな電力を与え続けるだけで、高い温度を長時間保つのも容易である。

ポットは容器が二重構造となっており、外装と内部容器の間に真空断熱材を充填することで、保温時の消費電力を削減するという手法が用いられている。

熱をできる限り逃がすことなく省エネルギーを図り、保温時の消費電力が小さく抑えられ、節電につながっている。真空断熱材を充填しているポットは、重量が重くなり持ち運びには不便であるが、電気代の節約という観点からは推奨される。

電気ポットの汚れと洗浄の重要性

電気ポットを長期間使用すると、水の中に含まれているカルシウムのミネラル成分が湯垢となり、容器の内側に付着する。これは電気ポットの排出口にあるフィルターにも堆積して不衛生となるため、定期的な洗浄が必要である。ポット内側に白い湯垢が堆積しているのは見た目にも不衛生である。

電気ポットの洗浄には、ポット洗浄用に開発されているクエン酸の薬剤を投入し、長時間放置することで湯垢を落とす方法が一般的である。

電動ポンプ内部を同時に洗浄するため、直接廃棄するのではなく、電動ポンプを動作させて排出口から水を捨てれば、パイプの内部まで洗浄できる。クエン酸の臭気が気になる場合、薬剤による洗浄が完了した後、湯を沸かして電動ポンプから排出すれば、効果的に臭気が除去される。

酸類による洗浄ができない電気ポット

ポットの洗浄薬剤は、酸が用いられているのが一般的である。内部容器がステンレスやガラス製、またはフッ素コートされている電気ポットは、薬剤による洗浄が可能である。鉄や銅、真ちゅうなど、酸によって腐食されるおそれがある製品は、これら薬剤で洗浄できない。酸によって内部容器が変色するので、使用できるか確認しなければならない。

電気ポットと電気ケトルの違い

電気ポットの目的は「長時間に渡って保温する」「多い湯量を貯蔵する」「本体を置いたまま利用する」という3つを原則としているため、本体サイズが大きく、重くて安定した作りになる。

「長時間に渡って保温」という前提から、熱が内部容器から逃げにくい作りになる。熱が逃げにくいということは、保温に必要な電力が少なくて済むということであり、長時間保温しても消費電力は抑えられる。

電気ケトルと電気ポットの相対する機能

電気ケトルの場合「保温しない」「少ない水量」「本体を持ち運んで利用する」という、電気ポットと相反する使用方法が基本である。電気ケトルは本体サイズが小さく、軽く持ち運びやすい作りになっており、手軽さが重要視されている。

湯を長期間保温するような使い方は想定されていないため、保温機能がないものがほとんどである。一部に保温機能のある製品でも、保温のための消費電力は電気ポットよりも大きく、約3倍~4倍程度大きくなる。

低温の湯作りの優位性

電気ケトルの場合、60℃、70℃など比較的低い温度の湯をつくり、その温度のまま保温するといった使い方ができない。乳幼児などがいる家庭は、粉ミルクを溶かすための湯を作ることがもあり、低い温度で抽出するお茶に入れる湯が必要というシーンも考えられる。

場合、電気ケトルは適しておらず、電気ポットの方が使い勝手が良くなる。電気ケトルは、100℃近い熱湯を、より短時間で効率良く作ることと割りきって使用するのが良い。電気ポットであれは、低い温度を指定しての昇温や保温が可能である。

電気ポットでやってはいけないこと

電気ポットは「水を加熱して貯蔵する」という使用方法が原則であり、食材を加熱することは禁止されている。取扱説明書で禁止されている使い方をすると、やけど事故や、本体の故障につながるおそれがあり危険である。

水以外の食材を入れて加熱する

真空保存の食材を電気ポットに入れて加熱するのは、明確に禁止された使い方である。ポット内部に水以外のものを入れた場合、食材などが蒸気口を塞いで内部圧力が異常に高くなって熱湯が噴出する。

食材のパッケージが膨張して体積が増え、排出口から熱湯が溢れ出すおそれも考えられる。水量以上の水を沸騰させた場合に、勝手に湯が漏れることがあるが、これと同じような状態を引き起こす。

水以外を保温する可能性があるものとして、牛乳、コーヒー、酒などが考えられるが、容器の変色、異物の詰まり、焦げ付きなどが発生する。これらを沸騰・保温させて故障した場合、メーカー保証の対象外である。

水の汚れを取る「備長炭」といった水質改善材や、添加ミネラルなども電気ポットの故障原因になるため、入れてはならない。

ミネラルウォーターを使用する

ミネラルウォーターは水道水と成分が違い、ミネラル分が多いためポット内部の汚れの付着が加速される。クエン酸による洗浄を頻繁に行う。汚れを放置した場合、ポンプが湯垢で詰まってしまい、湯が出にくくなるの不具合が発生する。

ミネラルウォーターを使用してはならない、というわけではないが、故障につながりやすいという点には注意が必要である。

空焚き防止機能を過信しない

電気ポットの安全装置として、空焚き防止機能がある。水か入っていない状態で放置しても、自動的に通電を停止させ、異常加熱を防ぐ機能である。電気ポットに電源を入れたまま留守にしたり、旅行に出かけたりした場合でも、自動的に通電が遮断されるため安全性を保てる。

安全装置は電気的な機構であり、万が一機能しなかった場合、最後の安全装置として、電気ポット内部の温度ヒューズを溶断し、通電を強制的に切るという手法が取られる。本体内部のヒューズ切れは、ユーザーによる交換ができないため、メーカーによる修理が必要となる。留守にする場合は電気ポットの電源を抜き、かつ水を抜いておくと良い。

テーブルタップに接続する

電気ケトルは瞬間的に湯を沸かすため、消費電力が電子レンジ並みに大きくなる。コンセントに複数の負荷が接続されていると、沸騰時にブレーカーが落ちることがあるので、電気ケトルを接続するコンセントは、単独とすることが望まれる。電気ケトルは、電子レンジやヘアードライヤーを使うのと同じくらいの消費電力があるため、ブレーカーが落ちないように、使い方には十分注意を要する。

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