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電気設備の知識と技術 > 電気の基礎知識 > 加湿器の種類と選び方

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加湿器の機能

加湿器は、室内の湿度を高めるための装置である。家庭用途の加湿器は、冬季など空気が乾燥する時期に、湿度調整のために使用するのがほとんどである。換装する時期に加湿器を使用すれば、ウイルスの活動を抑制するので「風邪をひきにくくなる」という効果がある。ほかにも「肌の乾燥を防ぐ」といった効果も期待される。

加湿器には、水分を蒸気に変える方法に「気化式加湿器(ヒーターレス)」「蒸気式加湿器(スチーム)」「ハイブリッド式加湿器(気化 + 蒸気)」「超音波式加湿器」の4種類に分けられ、加湿の仕組みや能力、季節による効果の違いがある。

ここでは、数多く存在する加湿器の特徴と仕組みについて、技術的な内容を含めて解説していく。それぞれ加湿器の種類により「夏の加湿に適している」「冬の加湿に適している」「室温上昇を伴う」など、特徴に大きな違いがあり、用途に応じて使い分けがされている。

加湿器の写真

加湿器の効果

加湿器は、室内の湿度を上昇させるために使用する。室内の湿度を上昇させることで多くの利点があるが、湿度の上げ過ぎによる不具合も発生するおそれがある。湿度を適切にコントロールしなければならない。

冬季は、湿度20~30%と低くなるため、湿度を40%程度まで上昇させると、ウイルスの活動を抑制し、乾燥も防げる。冒頭に記載したように「風をひくにくくなる」という利点もあるので、湿度を適切に管理するのが望まれる。

加湿のし過ぎによる不具合

外気温が低い冬場など、室内が暖かく、室外が寒い環境で湿度を高くしすぎると、窓面に多量の結露が発生する。温度が高い空間は、より多くの水分を空気中に含めるが、温度が低いと含める水分量が減少する。

夏期の暑い時期では、冷えたコップやペットボトルの表面に、多くの水滴が付着する。これが窓面や壁面でも同じように発生して、水滴による汚損につながる。

窓面は外気によって冷やされており、室内と室外では大きな温度差がある。室内側で含まれている空気中の水分は、窓の付近で冷やされるため、含みきれなくなった分が水滴に変化して窓面に付着する。室内で結露すると、水分によって汚れが広がり、カビの発生につながり不衛生である。

結露は、窓だけでなく壁で発生することもある。断熱が不十分な外壁では、窓のように外気によって冷やされると、その付近の空気に含める水分量が減少してしまい水滴となって現れる。壁の内側で結露が発生すると、空気の流通が悪いことも重なって、カビの発生を促進してしまうことがある。

夏季と冬季の湿度設定の違い

夏季と冬季では、快適に過ごせる湿度に違いがある。夏季では湿度を60%など高めに設定しても問題ないが、冬季に高い湿度を維持すると、外気と接している窓や給気口との温度差で、結露が発生するので、60%という湿度とするのは現実的ではない。

夏季は外気温が高く、外気の湿度も高く維持されているため、室内側の温度が低いというのが一般的である。室内の温湿度は「26℃ - 60%」程度に維持するのが適正である。

対して冬季は、室内の方が温度と湿度が高いため、室内側の湿度が高すぎるとすぐに結露する。室温、湿度ともに高くし過ぎず「20℃ - 40%」程度の室内環境を維持するのが良い。

冬季では、50%以上の湿度となると、窓面や壁面に結露が発生しやすくなる。「20℃ - 40%」程度の温湿度設定であれば、外気温や窓の断熱性能にもよるが、結露による問題も発生しにくくなる。

不快指数と温湿度の関係

高すぎる湿度は、結露によるカビの発生の問題のほか、人体への不快感にもつながる。人体の表面は日常的に乾燥しており、運動後の汗や雨によって濡れた状態になると、不快感が増大する。

高い湿度は、人体の表面乾燥を妨げることによって不快感が継続するので、湿度が高過ぎることが問題となる。

室環境が快適か、そうでないかを示す指標として「不快指数」という値がある。不快指数は下記の計算式で表現する。

不快指数で表す数値は、下記のように区分される。

数値を見てわかるように、数値が小さいほど「寒」くなり、大きいほど「暑」くなる。不快指数が70を超えると、不快と感じる人が出始めるといわれ、不快指数70前後の数値となるように空気環境を調整するのが望まれる。

本来、室環境が不快か、不快でないかは個人差がある。かつ「風を感じるか」という指標が追加されると、より大きく変化する。不快指数で表す数値は、温度と湿度のみで判断しているため、この数値のみを環境の指数として頼ると、大きな誤差を生じる。

前述した「冬季 24℃ - 40%」という室環境を不快指数で表する。

経産の結果、不快指数は「69.5」となり「快適」の中でも平均的な数値内になった。気流などを考慮しない計算上は「適正な空気環境である」と判断できる。

気化式(ヒーターレス)加湿器の特徴

気化式の加湿器は、水をフィルターに透過させ、ファンの風を当てて水を気化することで加湿する方式である。熱を加えずに水を蒸気に変えているため、室温が上昇することはない。

フィルターに風が当たることにより水が気化して熱が奪われる、気化熱の現象により、室温よりも温度の低い高湿度の風が放出される。気化式加湿器を使用することで室内空気が冷やされ、室温が若干低下する。

気化式加湿器は、加熱用ヒーターを内蔵しない方式で稼働するので、電力はファンの運転だけに使用される。加熱装置がないため電気代を低く抑えられ、経済的な運転が可能である。

しかし、ファンの風と水分との接触によって気化させているため、大空間を加湿する場合、より多くの水分を気化させる必要がある。大風量を得られるファンが必要である。大空間を加湿するなど、大きな加湿能力を求める場合、加熱装置で強制的に水を蒸気に変える蒸気式加湿器を使用するのが効果的である。

気化式加湿器の電気代

気化式の加湿器は、電熱装置などを内蔵しておらず、ファンの運転だけが消費電力となる。ファンの運転は、20W~50W程度と小さく、一日中運転していても、大きな電気代が掛かることはない。30Wの消費電力を持つ気化式加湿器を1時間運転した場合、電気料金単価を32円/kWh、ファンの消費電力を50Wとすると1.6円、10時間運転させた場合は16円の電気代となる。

気化式加湿器は清掃が重要

気化式加湿器は、フィルターに水を透過させ、ファンの風で気化させる方式である。フィルターに付着した水によって雑菌が繁殖すると、運転を開始した瞬間、いわゆる雑巾臭が発生する。腐敗臭を発生させる細菌の繁殖が主な原因であり、気化式加湿器を使用する場合、臭気対策のための清掃が重要である。繁殖した雑菌がファンの風に乗って飛散することも懸念されるため、清掃を怠らないように注意を要する。

細菌飛散を防止する観点からすれば、加熱式が最も優れているが、定期的に清掃できる環境にあれば、気化式を選定することに問題はない。対して、定期的清掃ができないような環境では、気化式の加湿器を選択するのは避けるのが良い。

室温と加湿の関係

気化式加湿器は、水分にファンの風を当てているため、室温が高く乾燥した部屋で使用すると、ファンから発生する風は、乾燥していて温度が高い。フィルター部で水分が良く蒸発するため、湿度を上昇させるのに効果的である。しかし、湿度が上昇するにつれて、ファンが当てる風の湿度も高くなるため、フィルターで蒸発する水分量が少ない。60~70%の湿度を境に、湿度上昇は限界となる。

夏季の湿度は60%、冬季の湿度は50%程度を維持するのが健康的数値といわれるので、気化式加湿器によって健康を維持できる湿度に調整することは容易である。極端に高い湿度を要求する場合や、急激に湿度を上昇させたい場合は、加湿の構造上、限界がある。スチーム式よりも加湿能力が低いといわれる所以でもある。

湿度70%~80%など、部屋を過加湿状態にしたい場合、蒸気式やハイブリッド式など、水分を強制的に蒸発させられるヒーターを持つ加湿器が必要である。たとえ気化式の加湿器を数台用意しても、一台あたりの気化量が減ってしまうため、絶対的な水蒸気量を増加させられない。

蒸気式(スチーム)加湿器の特徴

蒸気式の加湿器は、名前のとおり水を蒸気に変えて加湿する方式である。加湿器内部に電熱装置が内蔵されており、水を蒸発させて強制加湿する。ファンを内蔵している場合は、スチームファン式加湿器と呼ばれる。加熱された蒸気は上部へ向かうため、エアコンの送風モードやシーリングファン(上向送風)などを併用し、熱と湿気を部屋中に循環させるのが効率的である。ファン内蔵の蒸気式加湿器であれば、一定の向きを持った加湿が可能である。

蒸気式加湿器の電気代

蒸気式の加湿器は、電熱装置を内蔵しているため消費電力が高くなり、電気代が高くなる傾向がある。300W~500W程度の消費電力を持つ製品がある。300Wの消費電力を持つ加湿器を1時間運転した場合、電気料金単価を32円/kWhとすると、1時間あたり9.6円、10時間運転させた場合96円の電気代となる。

蒸気式加湿器は、気化式加湿器と比べると十倍から十数倍の電気代が発生する。思いがけず電気代が大きくなるので、運転時間に注意を要する。

蒸気式加湿器はクリーン加湿が可能

蒸気式の加湿器は、水を100℃以上の電熱装置で加熱し、沸騰によって蒸気に変化させている。水を煮沸消毒するため、クリーンな加湿ができる。

病院の空調設備の設計指針には「加湿器は蒸気式が望ましい」とされている。蒸気式加湿器は水を蒸発させられるため、常に殺菌状態を維持できる。最もクリーンな加湿を求めるのであれば、蒸気式の加湿器を選択するのが良い。

蒸気式加湿器の火傷防止と使用時の注意

蒸気式加湿器は、高温の蒸気が本体から発生するため、放出口の近くの蒸気に触れると火傷するおそれがある。加湿の能力が高いため、湿度制御されていない蒸気式加湿器の場合、加湿のし過ぎによる窓の結露や、壁紙へのカビ発生など、思いがけない事故が発生する。加湿器本体で湿度検知が可能な、自動湿度調整機能を持っている加湿器を選ぶのが安全である。

蒸気式加湿器は水を常に沸騰させているため、水垢が硬いスケールとなって電熱装置に付着する。水垢の付着は熱効率の悪化による加湿能力の減少や、異常発熱、電気代の増加の原因になるため、定期的清掃が重要である。

スケールは、水道水に含まれている蒸発残留物のことで、カルシウム、鉄分、マグネシウムなどを含んでいる。定期的にスケールを除去することで、加湿器の寿命を期待通りの長さで得られるので、一週間に一度は加湿器を清掃することが望まれる。スケールは水質によって発生量が左右されるため、地域によって差がある。

暖房装置としての能力

蒸気式加湿器は、消費電力の大きさに応じた熱負荷となる。ヒートポンプ的な動作はしていないため、電気ヒーター等と同様、冷暖房平均エネルギー消費効率(COP)1の暖房器具と見立てる事が可能である。

高気密な鉄筋コンクリート造のマンションなどで、100W/㎡程度の暖房能力を必要と考えた場合、300Wの加湿器を使用することで、2畳程度の部屋であれば、加湿器だけで暖房できる。加湿器は暖房器具ではないため、部屋を暖める用途に使うものではないが、若干ながら暖房負荷を緩和することが可能といえる。

ハイブリッド式加湿器の特徴

ハイブリッド式加湿器は、気化式加湿器にヒーターを内蔵しており、湿度が低下した際には、電熱装置を稼働させ、高い加湿効果を発揮させる機能を持った加湿器である。蒸気式加湿器の利点である加湿能力の高さを、気化式に組み込んだ形状となっており、加湿開始時の必要加湿量を十分補い、湿度が十分保たれた時点でヒーターを停止し、電気代を抑えた運転が可能である。

気化式ほど冷たい風ではなく、蒸気式加湿器ほど熱い蒸気ではない風が放出されるため、室温に対する影響が小さく、湿度だけを調整することに適した加湿器である。

ハイブリッド式加湿器の電気代

ハイブリッド式加湿器は、気化式加湿器と蒸気式加湿器の両方の機能を持った製品である。電熱装置を内蔵しているため、気化式加湿器よりも加湿能力が高いが、消費電力が高くなる。純粋な蒸気式加湿器よりも消費電力は小さいが、150W~200W程度の消費電力を要する。

200Wの消費電力を持つハイブリッド加湿器を1時間運転した場合、電気料金単価を32円/kWh、消費電力を200Wとすると、1時間あたり6.4円、10時間運転させた場合64円の電気代となる。ハイブリッド加湿器は、自動的に蒸気式加湿運転と気化式加湿運転を切り替える事が可能なので、湿度が高ければ蒸気式となって消費電力が高くなるが、湿度が上昇すれば、気化式加湿運転に切り替わり、消費電力を抑えられる。つまり、効率よく湿度を調整しつつも、電気代を低減させられる。

ハイブリッド加湿器は高価傾向

ハイブリッド加湿器は、蒸気式加湿器と気化式加湿器の両方の利点を持ち、効率のよい運転が可能であるが、機能が複雑なため機器本体が高価になる傾向にある。単純な蒸気式加湿器よりも性能に劣る場合があるため、大容量の加湿を求める場合には同容量の蒸気式加湿器と比較し、より高価になる。

ハイブリッド加湿器は、電熱装置を内蔵しているためクリーンなイメージがあるが、常に電熱装置が運転しているわけではない。運転環境によっては気化式と同じ状態になることも考えられる。タンクの水は毎日交換することはもとより、フィルターの定期的な清掃を行わないと、臭気が発生するので注意を要する。

超音波式加湿器

超音波式加湿器は、水を超音波の振動によって微細な粒子にし、気中に吹く方式である。水タンクと振動装置を主体とした簡易な構造となっており、安価で手軽な加湿器として利用できる。消費電力が小さいという利点もある。

超音波式は数々の欠点・デメリットがあるため使用には注意が必要である。加湿用の水は加熱されていないし、気化させた水分でもない。水に含まれるミネラル成分や細菌類を全て振動によって撒き散らすことになるため、ミネラル成分の室内付着による白い粉の発生と付着が懸念される。水に含まれた雑菌が空気中に飛散するという欠点がある。

長時間貯水した水など、レジオネラ菌が繁殖していた場合、飛散した水分を肺に含むことで、肺炎の原因となる。新生児や高齢者が居住している環境での使用は、厳しく避けるべきといえる。

超音波式加湿器は、安価で扱いやすい加湿器であるが、安全性、性能の面で劣り、健康被害の原因にもなるため、乳幼児や高齢者向けの加湿器としては、選択しないのが良い。純水装置などを内蔵した超音波加湿器もあるが、機構が複雑になり高価になる。簡素で安価なことを売りにしている超音波式加湿器の利点が失われるので、気化式加湿器を選定するとメリットがある。

超音波式加湿器の紫外線による殺菌

超音波式の加湿器は、水の汚れによる空気環境の汚染が心配であるが、これを安心して使用するための方策として、紫外線による除菌機能をもたせた製品が販売されるようになる。加湿用の水タンクに対して有効に照射できる位置に紫外線発生用のランプを取り付け、一定時間以上紫外線を照射することで雑菌類を死滅させるというのが一般的な手法である。

最近では、海外メーカーのダイソン社が超音波式の加湿器を国内販売するようになり、話題となった。この加湿器では、除菌率99.9%を表示している。紫外線ランプによる殺菌は一定時間以上の照射が必要であるが、この製品では加湿運転前に3分間の紫外線照射を行い、除菌する仕組みとなる。

紫外線ランプは通常、2,000時間程度の点灯で出力が70%程度まで落ちてしまうため、2,000時間経過毎にランプを交換する。照明用のランプと違い、殺菌用のランプは目視できる部分に設置すると危険なため密閉されている事が多く、ランプが切れていたり、出力が低下していることを判別するのが困難である。運転時間を知らせるランプや警報によって交換時期を確認する。

安価で扱いやすいという製品ではなく、気化式や蒸発式よりも高価になる。紫外線では水垢などを除去できないため、タンクの清掃は定期的に行う必要がある。

加湿器の選び方

超音波式の加湿器を選択対象外とし、気化式と蒸気式のどちらを選択すれば良いかまとめる。

電気代を抑える場合は気化式加湿器

電気代を抑えたい場合、気化式加湿器がお勧めである。強力な加湿はできず、フィルター清掃の手間がある。加湿能力を求める場合はハイブリッド式加湿器を選択するという方法もある。

クリーンで強力な加湿が必要な場合は蒸気式加湿器

清潔かつ強力な加湿が必要な場合は、蒸気式加湿器がお勧めである。電気代が高くなる。水垢を放置すると、硬くなり取れなくなるため、定期的清掃が必要である。

加湿時の注意点

加湿器を使用した場合、使用方法を誤ると、雑菌の繁殖やカビの付着など多くの弊害が発生する。

レジオネラ菌

加湿装置を備える場合、加熱式とするのが最も安全である。家庭用の加湿器は、給水配管から直接水を供給しているわけではなく、ポータブルの給水タンクに水を貯め、概ね一日程度はその水を使用する。長時間水を貯めると、雑菌の繁殖、水垢の付着、生物膜層の形成など、健康を害するおそれが高くなる。

水が日光にさらされた場合、タンク内部の残留塩素が無くなり、細菌が異常繁殖する。長期間貯めた水は使用しないことを徹底し、給水タンク内部の洗浄にも注意する。

家庭用で普及している加湿器は、気化式・蒸気式・ハイブリッド式・超音波式があるが、レジオネラ菌の発生が最も多いとされる超音波式の加湿器は、高齢者や新生児がいる部屋での使用を避けるのが望まれる。

加湿器によるカビの発生

加湿のし過ぎはカビの発生につながる。冬季は外気温による窓に結露が発生するだけでなく、暖房していない部屋が隣接している場合、冷えた壁で結露を発生させるおそれがあり、濡れた状態のまま放置するとカビが繁殖する。冷蔵庫や洗濯機の背面など、空気の流通が悪い場所ではカビの繁殖が著しくなり、気がつけば背面が真っ黒になっていた、という事例もある。

カビを発生させないよう上手に加湿する方法として、冬季は室内の温度を18~22℃程度とし高くし過ぎないこと、湿度を40%程度で抑えると良い。室内側の湿度が60%にもなると、窓辺は結露で水浸し、室内も濡れているような状態となる。

気化式の加湿器では室温に合わせて適度な加湿が行われるが、蒸気式の加湿器では際限なく加湿が行われてしまい、湿度の過剰な上昇につながる。

加湿しても湿度が上がらない

加湿をする部屋の出入口や窓を開けていると、加湿された空気が外部の乾燥した空気と混合してしまい、湿度が一気に低下する。換気扇やレンジフードを運転させた場合も、屋外の空気を室内に導入してしまい、室内空気が乾燥する。

加湿器を使用する場合、部屋の出入口、窓を閉めると良い。キッチンでレンジフードを運転させる必要がある場合は、加湿器の効果が失われるため、レンジフードの運転を停止した後で使用する。

加湿効果が低くなるからと言って、部屋を密閉し、換気を完全に停止すると、シックハウス症候群の原因となる。高気密高断熱の鉄筋コンクリートマンションでは、部屋を密閉すると空気の流通が完全に止まってしまうため、必要最小限の換気量が確保できるように、給気レジスターを開けておくことに注意を要する。

加湿器使用による結露の問題と対策

室内外の窓面結露が発生する場合

加湿をする場合に、注意したいのが結露対策である。空気は温度が高いほど、含める水分の量が多くなる。室温を高くし、加湿を行った空間は、冷たいものがある所で結露する。夏の暑い時期に、氷を入れたコップに水滴が付着する現象が、住宅の部屋と窓という環境で再現され、窓面にガラスのコップのように水滴が付着する。

結露の原因には「室内と室外の温度差」「室内の湿度の高さ」の2点がある。室内の湿度を高くし過ぎると、室内外の境界である窓ガラスの部分で空気が冷やされ、空気中に含まれている水分の行き場がなくなり、窓面で液体となって付着する。冬期の場合は室内湿度を60%以上上昇させると、危険域である。

やかんに水をいれて沸騰させる方法で加湿した場合、湿度が上昇し60%を超える。湿度が高くなりすぎると、窓面など急に温度が下がる部分で水蒸気が水に変化する。加湿のし過ぎに注意し、冬季は40%程度の湿度を上限とするのが良い。外気温が低くなっている場合や、室内温度を上げすぎている場合、境界面での温度差が激しくなり、結露のおそれがある。

隣接室間の結露が発生する場合

加湿を考える場合、寒い部屋が隣接している際に、室内に結露が発生する。木造住宅の2階建てで、1階のリビングを加湿し、2階の部屋に何の対処もしていないと想定すると、2階で結露が発生する。

加湿している1階のリビングは、通常の場合暖房も一緒に行う。リビングは室温と湿度が高い空間になり、リビングの天井を介してつながる2階の部屋にリビングの湿気が流入する。

室温が低く、湿度が高くなった2階の部屋は、空気中に含める水分が少ないため、リビングと同様の水蒸気量が流入すると、水蒸気は行き場をなくして、床にあるフローリング表面で水滴となって現れる。湿度が異常に上昇した場合は、フローリングだけでなく、壁などで結露が発生することもある。

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