電気設備の知識と技術 > 電気の基礎知識 > 電気カーペット・ホットカーペットの仕組み
電気カーペットは、カーペットに織り込まれた電熱線に通電することで、電気的な発熱を発生させる暖房器具の一つである。電気カーペットは、一般に販売されているカーペットと同じ形をしているが、端部に操作用コントローラーが付属しており、温度調整やタイマー設定ができる。
電気ストーブやエアコンのように部屋全体を暖めることなく、人体に対して直接暖房効果を与えるので、高い暖房効果を得られ、かつ消費電力を低く抑えられる。
エアコンと電気カーペットを組み合わせると、エアコンの温度設定を低く抑えても暖かさを十分に感じられるので、全体的な消費電力の削減を見込める。
電熱線を織り込んだ電気カーペットは、使い方を誤ると事故につながる。ここでは、電気カーペットによる効果的な節電方法や、安全な使用方法なども含めて解説する。
電気カーペットは単体でも高い暖房効果を持っているが、違う暖房器具と併用したり、使い方を工夫することでより消費電力を抑えたり、暖房効果を高められる。
エアコンや電気ストーブなど、電気カーペット以外の暖房器具と併用することで暖房効果を高める。エアコンや電気ストーブの設定温度を低く抑えても、電気カーペットが直接人体を暖めるため、総合的に省エネルギーとなる。
電気カーペットには温度センサーを内蔵しているため、他の暖房器具から一定の離隔を確保する。一般的には1m以上離すのが良い。
電気カーペットの上に、ひざ掛けや「やぐらこたつ」を併用することで、カーペットから発生する熱を逃さず、より暖房効果を高められる。こたつを併用する場合、こたつがカーペットの温度センサーに影響し、カーペットの温度が上がらないことがあるので、カーペット中央にこたつを配置し温度設定を低く設定するのが良い。
低温やけどを防止する観点から、ひざ掛けやこたつを長時間使用するのは避けると良い。就寝用に使用するのは厳禁である。
コンクリートや石張りの床に電気カーペットを敷いた場合、床に発熱が奪われてしまい暖房効果が大きく失われる。フローリングシートなどを併用し、熱が床から逃げないように対策すると効果が高まる。
熱に弱い敷物を使用すると、電気カーペットの熱で溶けてしまったり、付着してしまうことがある。電気カーペット用として使用できる断熱シートや、シーツや毛布の布を使用することが望まれる。
製品によって機能の有無が違うが、室温センサーによる温度調整機能や、高温に昇温することでダニ退治を行う機能など、単純に温度を高くするだけでなく、省エネや清浄度を高める工夫がなされている。
電気カーペットを自動でオフにする機能である。電気を用いた暖房器具でほとんどが対応されているが、オンにした状態で放置し火災につながらないよう、通常使用であっても6~8時間程度でオフを行うよう安全装置が組み込まれているが、これを短縮する機能としてタイマー機能がある。
室温に合わせて、電気カーペットの温度を自動調整する機能である。室温が高い場合、電気カーペットの温度を下げて消費電力を小さく抑え、省エネルギーを図る。室温センサーはコントローラーに内蔵されているため、これを別の暖房器具で温めたり、上から覆っていたりすると正しく働かないため注意が必要である。
通常利用する温度よりも高い温度に昇温し、電気カーペットに付着したダニ等の微生物の対策を行う機能である。ダニ対策機能運転完了後は、両面に掃除機を掛けると良い。
電気カーペット全面を一様に発熱させず、部分発熱が可能となった製品である。カーペットは2~3帖の製品が多く、ひとりで使用する場合に全面を暖めるのは電力の無駄となるため、部分的に暖めることで省エネルギーを図る。
電気カーペットの消費電力はエアコンや電気ストーブよりも小さく、定格出力で約500W程度、省エネ運転機能や低温設定があれば、約200W程度の小さな消費電力で使用できる。電気ヒーターであることに違いはないため、高い温度設定で長時間使用すると、電気代も高くなっていく。
定格出力500Wのこたつを使用した場合を計算すると、1時間あたり500Whの電力量となるため、1kWhあたりの電気代を22円とした場合、0.5kWh × 22円/kWh = 11円 の電気代が発生する。
電気カーペットは人体に直接接触する暖房器具であり、使い方を誤ると低温やけどによる重篤な被害につながる。取扱説明書に記載されている安全事項を守ることが重要である。
電気カーペットは表面温度が40℃を超えるため、長時間接触していると低温やけどである。接触温度が45℃の場合、約3時間で低温やけどになるとされているため、中~高温設定にした場合、長時間の使用で低温やけどの危険性が高くなる。
温度設定を低くしていても、ひざ掛けやこたつによって保温され、思いがけず高い温度になる。長時間の利用は避けるのが良い。就寝用に使用するのは厳禁である。6~8時間という長い時間の接触が継続し、かつ布団によって保温されていると、低温やけどや脱水症状を誘発するおそれがあり危険である。
電気カーペットには電熱線が織り込まれているため、折り曲げたまま使用すると内部ヒーターを損傷し、故障や火災の原因となる。段差のある場所で使用すると、一部分に強い圧力が掛かってしまうおそれがあり危険である。しわが残ったままで使用するのも、同様の危険性がある。
電気カーペットに強い圧力を掛けると、内部の電熱線が破損し故障の原因となる。テーブルやソファーを置く場合、取扱説明書に準じて足の太さと重さを確認する。足が細いテーブルやソファーでは、集中的に荷重が掛かってしまい電熱線を破損するため、当て板などで荷重を分散する。たんすやピアノの重量物を上に乗せるのは厳禁である。
イスを上に乗せる場合も、足の太さと重量を確認するだけでなく、キャスターがないか確認すると良い。キャスターは接地面積が小さいので、カーペットを痛める原因となる。
座布団やクッションを同じ位置に置いたままにすると、その部分だけ熱が蓄積され、部分的な表面の変色を引き起こす。部分的に高温になることで、それ以外の部分の温度調整に不具合を生じたり、本体故障につながる。
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