キュービクル受変電設備の基礎知識

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高圧受変電設備の設置目的・役割

建築物に供給される電気は、一部自家発電による電気の供給を除き、ほとんどが電力会社から供給されています。電力会社が保有している発電設備や変電設備は、多くが都心部から離れた場所にあり、電気を使用する都心部までは数十km~数百kmを送電しなければならず、電圧を高めて送電ロスを小さくしています。

数万ボルト~数十万ボルトの電圧をそのまま需要家で使用することが出来ないため、照明やコンセント、空調動力などで使用できる低い電圧に変換しなければいけません。高圧受変電設備は、電力会社から6.6kVや3.3kVという高い電圧で供給される電力会社からの電力を、負荷設備の使用電圧である100Vや200Vに降圧し、負荷設備で使用可能にするための変換装置として機能します。

受変電設備は「区分開閉器、断路器、遮断器、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、低圧配電設備」で構成されていますが、これらを全て鉄箱に一括収容したのが「キュービクル」と呼んでいます。

受変電設備が持つべき機能と条件

受変電設備は生産施設ではないため、建設費を出来る限り低く抑えることが求められます。数多くの保護設備を設ければ、電気事故に対しての被害を小さくできますが、イニシャルコストが増大します。建設費を低く抑え、かつランニングコストを低減した計画が望まれます。多くの機器をキュービクルに収容すると、サイズが大きくなります。設置スペースの縮小も重要な検討項目です。下記は、キュービクルに求められる条件です。

  • 設置面積、設置高さが軽減されていること
  • 長寿命・高信頼性かつ省エネルギーな機器が使用されていること
  • 感電・火災の危険性がないこと
  • 過剰設備でなく、経済的であること
  • 保守点検が容易であること
  • 周辺環境に配慮されていること
  • 建設費・維持費が安価であること

設置面積、設置高さが軽減されていること

受変電設備は建物に対して、利益を生み出す施設ではなく、居住性が改善される設備でもありません。出来る限り設置面積を小さく抑えることが求められます。屋上などは、空調室外機や排気ファンなども設置されることが多く、キュービクルとスペースの取合いが発生します。

建築物の外観に対しても悪影響を及ぼします。多くの建物で、キュービクルをそのまま見せないよう、フレクサラムなどルーバー系の目隠しをして、建物の意匠性を阻害しないよう配慮します。目隠しコストが大きくなるため、コストアップにつながります。

長寿命・高信頼性かつ省エネルギーな機器が使用されていること

自家用電気工作物に分類される受変電設備であり、かつ6,600V以上の高電圧が印加される設備です。故障などで停電を引き起こした場合、施設全体の停電につながりますし、感電事故は重篤な負傷となりますので、機器類は高品質かつ高信頼性な製品が求められます。

頻繁な交換は。メンテナンス費用に直結しますから、長寿命な製品を選択するのも計画上重要です。

感電・火災の危険性がないこと

高電圧が印加されている電気機器ですから、感電事故は重篤な負傷につながります。高電圧が印加されている部分は、堅牢な絶縁体でカバーし、日常点検時に人体が接触しないよう、保護措置を行います。当然ながら、低圧部分も同様に保護します。

許容以上の電流が流れた場合に、即時電路を遮断するための装置を組み込むのも重要です。電力会社側の配電線路に影響を及ぼさないよう、保護協調を考えて継電器を設置しなければいけませんが、火災防止の観点もあります。

過剰設備でなく、経済的であること

受変電設備を構成する機器は、安全性、寿命、操作性など、グレードに応じて多様な部品が選択できます。小規模な事務所と、超高層ビルでは、受変電設備にもとめられる信頼性、安全性、操作性が違います。

法的な基準を満たした最低限度の設備とするか、自動化を含む高性能な設備とするか、施設グレードに応じた計画が求められます。例えば、小規模であっても、病院など人命に直結するような施設では、より安全な受変電設備を計画することもあります。高信頼性な設備計画は、コストアップにつながりますので、バランスの取れた設計を行う事が重要です。

保守点検が容易であること

受変電設備は設置後、放置したままで運用することを禁じられています。電気主任技術者の責任のもと、保安規定を策定し、日常点検や年次点検を行い、安全に動作することを確認しながら運用しなければいけません。

容易に保守点検ができるよう、停電時に通れる中廊下を設けたり、クランプメーター等を挟みやすいケーブルの取り回しがなされていれば、保守点検に必要な時間を短縮できます。近年は設備点検をする電気主任技術者も高齢化が進んでいますので、計器類の取り付け位置を低くしたり、開閉しやすいハンドルキーにするなど、保守点検に危険を伴わない設備とすることが求められます。

周辺環境に配慮されていること

キュービクルは無骨な鉄の箱です。意匠性が高いものではありませんので、多くの建築計画でキュービクルを目隠しの内側に配置し、その存在を隠そうとします。屋上に設置する場合、フレクサラムやフェンス、ルーバーなどで隠し、意匠性が阻害されないよう計画します。

キュービクルに内蔵されている変圧器やコンデンサから、一定のうなり音と振動が発生します。マンションやホテルなど、深夜に人が就寝する用途の施設では、十分な防振性能を確保しなければ騒音クレームにつながるため注意を要します。

建設費・維持費が安価であること

多くの配慮がなされたキュービクルは、高コストになりがちです。高信頼性の設備を安価に製作できるよう、過剰な機能を削り、VEを図ります。例えば、キュービクルの周辺を目隠しルーバーで覆っていれば、キュービクルを指定色とする必要性が薄まります。

施設規模に応じて、過剰な機器を取りやめ、コストダウンを図ることも設計者に必要な技量の一つです。

キュービクル受変電設備とは

高圧受変電設備として最も代表的な設備として、キュービクル受変電設備があります。単にキュービクルという略称でも呼ばれています。海外ではCubicles(Electric Switchboard Equipment)という名称で呼ばれ、立方体の小部屋という意味があります。

キュービクルは、電力会社の変電所から供給される高電圧の電力を、需要家で使用できる低い電圧に変圧する設備であり、各種の保護装置や計測装置、配電装置を内蔵しています。電力会社と50kW以上の契約が見込まれる場合、低圧での供給はケーブルサイズが過大となるため、電力会社は高圧での電力供給を求めます。電力の供給を受ける需要家は、キュービクルなどの受変電設備を構内に設置して、高圧電力を受け入れます。

電力会社から供給される電源は、50kW以下の電気容量であれば、100Vや200Vの低圧供給が可能です。例えば50kWの電力供給を受ける場合、流れる電流は150A~200Aのため、CVTケーブルを用いれば60sq~100sqというサイズで供給可能です。50kWを超える電力要望が需要家からあった場合、ケーブルサイズが大きくなりすぎてしまい、電力会社にとって経済性も施工性も悪くなります。

電力会社は設備負担を小さくするため、高圧のまま需要家に電源を引き込むことで配電線側のケーブルサイズを小さくしています。大きな電力を必要とする需要家では、構内に受変電設備を設け、高圧のまま受電します。

キュービクルの仕様と種類

受変電設備は原則として、屋内に設けることが望まれます。屋外に設置すると、塩分を含んだ風や雨に晒されるため耐候性を高めなければならず、小動物や虫の侵入による事故を防止するための追加投資が必要です。寒冷地では積雪による荷重対応や、内部結露防止のヒーター取付なども求められ、イニシャルだけでなくランニングコストも大きくなります。

しかし、屋内に電気室を設けると、それだけ建築面積や延床面積の増となり、オフィスなどではレンタブル比の低下を引き起こすおそれがあります。よってキュービクルの多くは、屋上などに設置されています。

特殊環境で使用する場合、それぞれに対応する耐候性や耐久性のあるキュービクルを選定しなければいけません。屋外に設置するのであれば、内部に水が侵入しないよう防雨・防湿対応を行います。塩分を含んだ風を受ける湾岸部であれば、耐塩害仕様を施します。湾岸に300m以内に近接している場合、重塩害対策として塗装をさらに厚くし、除塩フィルターを設けるといった追加対策も検討します。

高圧母線方式の種類と信頼性

受変電設備は、母線方式によって信頼性・コストが大きく変化します。最も単純な方式である「単一母線方式」で比較した場合、「母線連絡遮断器なし」「母線連絡遮断器あり」「母線連絡遮断器2台あり」の3種類があります。変電所などでは、「二重母線4遮断器(4ブスタイ)」と呼ばれる方式を採用していますが、需要家にそのような設備は過剰であり、単一母線方式が一般的です。

母線連絡遮断器なし方式

高圧発電機を設けない小規模な需要家で採用される方式です。母線区分の系統が存在しないので、事故時には全停電となります。メンテナンスで母線を点検する場合も、区分する系統がないので全停電で行います。発電機は低圧に接続することが多く、部分停電する必要がないような小規模需要家に適しています。

構成が非常にシンプルでわかりやすく、イニシャルコストは最も安価です。

母線連絡遮断器あり方式

高圧母線に連絡用遮断器を1台設けた構成です。高圧の非常用発電機を設けた場合に採用される方式で、商用電源利用の変圧器と、非常電源利用の変圧器の系統を分離できます。母線区分を行うことができるため、部分停電で点検ができます。

母線連絡遮断器本体を点検するためには、全停電にしなければいけません。引出式の高圧遮断器を用いれば遮断器点検も可能です。引出式遮断器は、真空遮断器としての機能を持ちつつ、遮断器を引出すことで電路から分離できますので、断路器を開放したのと同じ状態を作れます。

構成は比較的シンプルであり、保守点検にも利点があります。イニシャルコストは、点検用の高圧遮断器が追加されるため高くなります。

母線連絡遮断器2台あり方式

母線連絡遮断器を2台設ける方式です。点検時には遮断器本体を片側ずつ点検できます。最も有利な方式ですが、母線連絡遮断器の数だけコストアップとなります。片側の遮断器を断路器(DS)にすることでも代用可能です。この場合は断路器が開放されないようインターロックを組み込み、負荷電流が流れている電路を開放しないように計画します。

前述したように、母線連絡遮断器を引出式とすれば、2台設けずに全系統を点検できます。

キュービクルの組立方式ごとの特徴

受変電設備の組立方式は、キュービクルの他に「開放型の受変電設備(オープン式受変電設備)」や「閉鎖・開放併用の受変電設備(セミオープン式受変電設備)」があります。キュービクル方式と比較して、設置面積が大きくなるため、工場などでなければあまり採用されることはありません。近年ではオープン変電所の施工ができる技術者の減少もあり、工場で一括製作するキュービクル式の受変電設備がほとんどです。

オープン変電所は増設や点検が容易であり、敷地や建物面積に余裕のある建物や、頻繁に受変電設備を増設・変更する用途の建築物であればキュービクル式よりも採用メリットが大きくなる可能性があります。しかし、充電部が数多く露出しているため、保守点検時の危険性が大きいというデメリットもあります。

閉鎖型受変電設備(キュービクル)の特徴

キュービクルは閉鎖型の受変電設備であり、低圧配電盤、遮断器、母線、変圧器、各種計器類などの全部、または一部を金属製の箱内に収容した方式です。非常に普及率が高く、ほとんどの需要家でキュービクル式の受変電設備を採用しています。

キュービクル方式の受変電設備は、接地された金属製の箱に収容されているため、電気事故時に感電の危険性が少ないという利点があります。内部機器は配置密度を高く構成しており、非常にコンパクトで小面積に製作できますので、設置スペースに対して有利です。

ただしキュービクル式は、箱内に過密に機器類を収容していることにより、既存箱内への増設や改造が難しいのが欠点です。キュービクル内部で事故が発生した場合、充電部に近接している継電器やメーター類に短アークが飛散し、事故が拡大するおそれがあります。

キュービクル内に点検通路を設けることができますが、キュービクル内部は密閉空間であり、余裕あるメンテナンススペースを確保することは困難です。充電中に内部に入ることは非常に危険なため避けるべきです。

開放型受変電設備(オープン式受変電設備)の特徴

開放型受変電設備は「オープン変電所」とも呼ばれます。電気室内にフレームパイプを組み、変圧器、遮断器、継電器類を配置し、点検面と充電部をフェンスで区画するのが一般的です。ケーブルや電線は変電所上部に敷設することになるので、ケーブルラックを敷設したり、がいし引き、バスダクトなどを使用して接続します。

開放型の受変電設備は、設備の追加・変更に容易に対応できるため、工場等では一般的な受変電設備です。計測機器や配線が直接目視できるため、点検が容易であること、変圧器や遮断器などサイズの大きな機器の更新が容易であることなど、特に増設や変更に対して柔軟性があります。

しかし、オープン変電所には下記のように、いくつかの欠点がありますので、新規案件でオープン変電所を構築する事例はほとんどなく、キュービクル式の受変電設備が主流となっています。

  • 充電部が数多く露出しているため感電の危険性が高い
  • 設置面積が大きく必要
  • じんあいの影響を強く受ける
  • 現地組立による工事負担が大きい
  • 技術者不足により施工費が高い

キュービクルの寿命と耐用年数

キュービクルは電気設備の一つですから、耐用年数や寿命を考慮した管理が必要です。屋外設置と屋内設置で大きく寿命が変動しますし、電流の流し方、使い方によっても大きく変動します。

キュービクルの外箱は単なる鋼板です。清浄な屋内環境で、再塗装、補修、清掃をしっかりと行っているなら50年~60年は問題なく維持できます。しかし、屋外設置の場合は雨、潮風、酸化ガスなどの影響を受けるため、数年で錆が発生するおそれがあります。頻繁なメンテナンスを実施しても、20年~30年で全面が腐食しますので、定期的な保守が行われないようであれば交換が必要となります。

内部に収容されている高圧機器については、外箱とは別に、個別管理を行う必要があります。負荷開閉器、遮断器は、短絡電流など事故電流を経験していなければ、15年~20年は問題なく使用できますし、実際に30年近く運用し続けている高圧機器もあります。しかし、大きな負荷電流を繰り返し開閉していたり、事故電流の遮断などを経験している遮断器などは、短期間で故障します。

長期間使用した高圧機器は、交換部品が手に入りにくくなります。交換部品が手配できない機器が故障してしまうと、新規品への交換に時間を要し長期間の停電になりますので、交換部品の手配が困難になった機器は、すぐに新品に交換するよう計画します。

事故の前兆を早期発見し交換する

定期点検で、異常な絶縁低下や、異音異臭・焦げ跡などの発生が確認された場合は、運用年数に関わらずすぐに交換すべきです。不良が発生している開閉器、遮断器を使用していると、負荷開閉時や遮断時にアークを消弧できず、短絡事故などが発生します。

電気事故により波及事故を起こした場合、経済産業省への電気事故報告の義務があり、「なぜ事故が起きたのか」の詳細を報告しなければいけません。絶縁低下を引き起こしている機器を放置していたことがわかれば、法的責任を問われることになります。

高圧ケーブルや母線は、屋内であれば30年~40年程度、屋外であれば20年~30年で使用限界となり、交換が必要です。ケーブルや母線は、目視で異常を発見することが困難ですから、絶縁抵抗、絶縁耐力の試験を定期的に行い、事故の前兆が発見された場合は早期に交換するよう手配しましょう。

キュービクルの設置場所と安全対策

キュービクル設置における建築計画

キュービクル奥行き・高さともに2.5mほどにもなる大型の鉄箱ですから、その設置位置は建築計画に大きな影響を及ぼします。キュービクルを設置する場所に関する建築計画も重要であり、階高や有効高さ、梁の位置と高さ、扉寸法などを考慮し、搬入計画もスムーズに行えるように計画します。

特に、工事中には搬入据付が可能でも、運用開始後にキュービクルの内部機器が交換できないのは問題です。運用開始後のメンテナンスも含めて、「いつでも交換ができる」計画をすることが望まれます。

キュービクル内には電力会社支給のVCTが取り付けられ、21年に1度交換が必要とされています。変圧器の交換と同様、容易に点検や交換が可能なよう、搬入や搬出のスペースを確保することが重要です。原則として、キュービクルは毎日点検しなければならないものですから、垂直はしご(タラップ)による計画は避け、しっかりとした階段を設けましょう。

幹線計画におけるキュービクル設置位置

キュービクルは電力拠点となる設備であり、建物へ供給する電力全ての起点となります。設置場所によって幹線ボリュームが大きく変動します。キュービクルを設置する場所は、負荷の中心にできる限り近くするか、大容量の負荷設備の近辺に設けることが望まれます。

幹線ケーブルは長ければ長いほど電圧降下を引き起こしますので、低圧ケーブルを長距離敷設するのは出来る限り避けた計画とします。幹線は細いほど、かつ短いほど建設費を圧縮できますので、発電機や蓄電池、空調機などの近くにキュービクルを配置できれば、関連する設備との連携が容易になり、かつ幹線ケーブルのサイズを細く短くできます。

計器類の設置高さ

キュービクルは日常点検として、電力量計等に表示されている数値を記録することになります。これは雨天時であっても行う必要があり、扉を不用意に開放して雨が侵入すると、汚染により絶縁抵抗の劣化を引き起こします。扉を開けずに計器類を読める計画とするのが安全ですから、検針窓をキュービクルの外側に設けるのが良いでしょう。計器が高過ぎると読むのが難しいですから、計器の取付高さは床面から1.2m~1.8m程度に抑え、目視しやすい配置としましょう。

キュービクルの高さは2,300mm程度が一般的ですが、配線を下部から引き込む場合、基礎高さを加算するとキュービクルの設置高さが想像以上に高くなり、計器が読みづらくなることが考えられますので、検針窓の高さが適正であるか確認しましょう。

設置場所の建築要素

キュービクルの基礎や架台は、雨の吹き込むような屋外等に設置する場合、下部からしか入線できません。基礎が低すぎると入線できませんので、最低でもH=600程度の基礎高さが必要になります。キュービクル上部から入線できるのであれば、基礎高さは固定アンカーのみ込み分があれば良いので、H=200程度で問題ないと言えます。

寒冷地や多雪地帯では、足元が雪に埋もれてしまう可能性がありますので若干高くして積雪に配慮すると良いでしょう。融雪のためのヒーティングを設置するのも一案ですが、イニシャルコスト、ランニングコストともに増大しますので注意が必要です。

安全維持に必要な照度・施錠

キュービクルには高圧電源が供給されていて危険なので、電気管理者以外が容易に触れられる場所に設置すべきではありません。鉄箱に納められているとはいえ、給気口などがあるため完全に密閉されているわけではなく、いたずらなどをされた場合、大事故に繋がる危険性があります。

原則として、ネットフェンスなどでキュービクルの外周を囲ったり、不特定多数が近寄ることが出来ない電気室内や、屋上などにキュービクルを設置します。さらに、電気設備管理に関係のない者が容易に扉を開放しないように、施錠しておきます。

キュービクルは鉄箱そのもので保護されていますので、フェンス設置は法的規制ではありません。しかし、キュービクル外周にフェンスを追加設置することで、例えば車両などが誤って接触するようなことがあっても、フェンスが一次ガードとして働きますのでキュービクルへの被害を予防できます。キュービクル用のフェンスは、容易に乗り越えられないよう1.1m以上とすればより安全です。

キュービクルと建築物の離隔確保

キュービクルは、建築物の外壁や隣地境界から、3m以上の離隔を確保して設置しなければいけません。狭小な敷地であり、建築物の外壁からの離隔を3m以上確保できなければ、建築物側への延焼を防止するため、外壁を不燃材料し、かつ開口部を設けないことで対応できます。

外壁の不燃化が不可能であれば、キュービクルの防火性能を高めるため「消防認定キュービクル」を採用するという方法もあります。ただし消防認定キュービクルは内部配線や変圧器容量を指定して認定を得ていますので、変圧器容量を変更したり、内部機器の改造を行うと認定失効となります。改修工事が発生しないような建築物での採用に限られます。

必要照度の確保

キュービクルを電気室内に設置する場合、労働安全衛生規則により、配電盤計器面で300ルクス以上、その他の部分で70ルクス以上の照度を確保します。キュービクルの内部に照明を設置し、扉を開けたときにスイッチがオンになり、照明が点灯するという方法が一般的です。

キュービクル内部に照明器具を設ければ、計器面の照度は問題になることがありません。キュービクル内部に照明を設ける場合、通電したままランプが交換できるよう、アクリル保護カバーの外側に照明器具を設けましょう。照明器具から発する光が反射し、計器が読みにくくならないように配慮することも重要です。

キュービクルを設置する廊下への照度規定がありますので、通路の照明計画に注意しましょう。

施錠方式とハンドルキー

キュービクルのハンドルキーは、タキゲンの200番と呼ばれるキーが広く普及しています。タキゲン200番は、国内に普及している盤のほとんどを開けることが出来る汎用キーであり、セキュリティの高さを期待できません。

セキュリティ強度を高めたい場合、「TAKシリーズ」と呼ばれる上位互換キーが標準化されましたので、これを選定するのも一案です。TAKは数字ごとにセキュリティ強度が違い、TAK60は60通り、TAK70は1,000通り、TAK80は118,000通りの鍵番号が設定されています。

キュービクルの納入仕様書の確認事項

キュービクルに必要な機能が搭載されているかどうかを確認する場合、納入仕様書のチェックを行います。納入仕様書は、電気機器の取付位置、形状、寸法などを記載した図面一式を示しており、納入する製品の性能や安全性のほか、設計図と整合しているかを確認するものです。キュービクルは外観・内部機器の仕様・騒音と振動への対策などへの配慮が必要で、これを満足する仕様となっているかを確認します。

外観の仕様確認

キュービクルの外観について、下記の内容が設計図に合致しているか確認します。設計図に記載のない部分については、電気設備技術基準やJIS、JEM、共通仕様書等に合致しているかをチェックします。

  • 寸法と重量
  • 塗装仕様・厚さ・色
  • ハンドルキーの位置・キー種別
  • 検針窓の位置と高さ
  • 感電防止アクリル保護板の位置と高さ
  • メンテ通路の幅・干渉の有無
  • ネームプレートの大きさ・フォント・文字の色
  • チャンネルベースの高さ・水抜きの有無
  • 換気ファンの位置と交換方法
  • 給気口とフィルタ位置・仕様

内部機器の仕様確認

  • 負荷開閉器・遮断器の容量
  • 変圧器の仕様・数量・台数
  • 変圧器の油抜き方向とコック位置
  • 保護継電器の設置場所・仕様とシーケンス
  • インターロック有無
  • コンデンサ・リアクトル容量と耐量
  • 接続ケーブルサイズ・端子台サイズ
  • 接地線の系統とサイズ
  • 絶縁監視装置など特殊機器の有無

キュービクルの寸法と重量(参考)

キュービクルの標準寸法は、内蔵する遮断器台数などによって若干前後しますが、変圧器のサイズによって左右されます。メーカーによってそれぞれ違いがありますが、参考寸法と重量は下記の通りです。

  • 受電盤・き電盤 W1,000×D2,300×H2,400 1,000kg
  • 変圧器盤100kVA W1,000×D2,300×H2,400 1,200kg
  • 変圧器盤200kVA W1,200×D2,300×H2,400 1,500kg
  • 変圧器盤300kVA W1,400×D2,300×H2,400 1,900kg
  • 変圧器盤500kVA W1,600×D2,300×H2,400 2,500kg
  • 変圧器盤750kVA W1,800×D2,300×H2,400 3,200kg
  • コンデンサ盤300kvar W1,000×D2,300×H2,400 1,500kg

キュービクル内部機器(変圧器)のメーカーである東芝産業機器システムのホームページに、変圧器毎の重量がPDFデータ等で公開されていますので、これを参考にすることもできます。なお2014年からトップランナー基準が改正され、より省エネルギーな変圧器を採用することになっていますが、従来よの変圧器よりも若干重量が大きくなっています。

建物内部や屋上にキュービクルを設置する場合、大きな荷重を建築物に負担させることになるので、構造的な補強が必要です。梁や柱だけでなく、建物を支持する杭にも影響しますので、早めに設備容量を計画し、構造設計者に資料を渡して設計に含めてもらいましょう。

キュービクルの騒音対策

キュービクルからの騒音は、変圧器本体やコンデンサ、リアクトルからが発生するうなり音が主体となります。遮断器の操作音なども騒音源のひとつですが、頻繁に発生するものではありません。キュービクルの騒音対策では、変圧器から発生する騒音に対して重点的に対策します。

変圧器は500kVA程度であれば、おおよそ40~45dB程度の騒音を発生し、負荷電流が大きいほど大きな騒音源となります。空気伝搬による騒音は、変圧器の外側を覆っている鉄箱によって減衰します。マンションなど、深夜の騒音が特に気になる環境であれば、キュービクル外部をコンクリート壁で囲い、グラスウールを貼り付けることで高い遮音性を得ることができます。

振動対策

変圧器やコンデンサ、リアクトルは、電磁力によって振動を発生させ、構造体を伝わって振動を与えます。空気伝搬による騒音対策と同様に、振動に対する対策が必要です。

変圧器本体の振動を躯体に伝えないよう、防振ゴムや防振スプリング防振架台を変圧器下部に挟み込むのが有効ですが、コンクリート躯体を浮床構造として、建物本体と完全に縁切りするという手法もあります。前述したようにもマンションなど集合住宅では、躯体伝搬による騒音がクリームになりやすいので、より高い防振性能が求められます。

キュービクルの耐震補強

キュービクルの耐震対策には「機器を振動させないこと」「機器が振動しても破損しないこと」「機器が振動することを前提にした補強」という3種類が考えられます。

機器を振動させない対策

機器を振動させないためには、アンカーボルトによる固定により、剛構造とするのが有効です。アンカーボルトで機器を固定し、配管や配線に振れ止めを行います。建築物の上部に設置するほど、揺れが共振を起こして大きくなるため、周波が小さくなる地上階や中間階にキュービクルを配置するなどの手法が考えられます。

ボルトで機器を固定する場合、ボルト強度を計算し、想定する地震力でもアンカーボルトが破損しないか検証しなければいけません。振れ止めは入れる方向によって、まったく効かないことがありますので、振れ止めの方向に注意して配置します。

機器が振動しても破損しない対策

機器が振動しても破損しない対策として「機器部材の強度を高めるため支持点を増やす」「駆動部を持つ機器を減らす」「造営材の強度を高める」という手法があります。

例えば、過電流継電器や電力量計は、誘導型とすると回転駆動部が地震によって損傷し、誤動作するおそれがあります。電子部品を用いた静止型を採用すれば、振動に対しての誤動作を防止できます。誘導型の計測機器は総じて振動に弱く、過電流継電器では遮断器の誤作動を引き起こしますし、電力量計では計測不良といった問題を引き起こします。

機器が振動することを前提とした対策

機器が振動することを前提条件とし、揺れを吸収する対策が考えられます。接続配管にフレキシブル継手を採用して振動の吸収させたり、防振ゴムや防振架台で振動を食い止めることも可能です。どちらの場合で、アンカーボルトでコンクリートに強固に固定し、地震力が集中しても破損しないことが前提です。

キュービクル本体に対しては、下記のような対策を講じることで、地震に対して強くなります。

  • 継電器類は盤の下部に配置する
  • 誘導形の継電器や電力量計を使用せず、静止形とする
  • 基礎コンクリートは躯体と一体施工する
  • 端子接続・立上げ立下げ部・変圧器接続部はフレキを使用する

なお、受変電設備だけでなく、電力会社からの引込ケーブルも損傷しないよう対策が必要です。

  • ハンドホール下部を転圧し、沈下を防止する
  • 建物際のハンドホールは躯体と一体化させる
  • 埋設鋼管はコンクリート根巻補強を施す
  • ハンドホール内のケーブルにゆとりを持たせる

キュービクルの風圧対策

キュービクルや分電盤は屋外に設置することが多く、突風や強風に晒されます。風を長期に渡って受けると、電気機器を固定するねじに緩みが発生し脱落のおそれがあります。風圧による不測の張力の発生により、接続部や内部電線に負担が掛かり、電線の抜けや被覆損傷が発生するおそれがあるため、風に対する対策も重要です。

電線の抜けや被覆損傷を放置すると、機器内部で露出した電線と機器が接触し、地絡事故となります。風によってキュービクルや分電盤に飛来物が接触したり、露出しているケーブルが飛来物によって切断されるなどすれば、これも電気事故につながります。

強風時にキュービクルを点検・操作しない

原則として、台風などの強風時は、分電盤やキュービクルを操作してはいけません。盤の扉を開けると、風にあおられて扉の丁番やストッパーが破損します。風が強いときに扉を開けることが必須条件の場合は、扉の強度を計算し、風を受けても破損しないよう厚い鋼板を使用する、観音開きとして扉面積を小さくする、ストッパーを強固な材料にするなどの対策が必要です。

風圧力の計算方法

扉を開いた盤類の強度計算をする場合、扉のストッパーに受ける「せん断応力」と「水平曲げ応力」が、盤を構成する鋼材の許容応力を満足するかを確認します。

日本建築学会の基準によれば、鋼材のせん断応力は13.5 × 10^7 [N/m2]、曲げ応力は24 × 10^7 [N/m2]となっています。

風が盤の扉に当たった場合、 P = 1 / 2 ρV^2Cp の風圧力が発生します。ρ : 空気密度(1.25)、V : 空気の速度[m/s]、Cp : 抗力計数(2)です。

扉に掛かる風圧力は、風向きに対して直角となった瞬間が最大になります。この場合、扉に掛かる力は FA = P × A1 です。P : 風圧力、A1 : 扉の受圧面積 [m2] として計算を行います。

扉ストッパーのせん断応力は FA / A [N/mm2] で示されます。FA : 扉に掛かる風圧力[N/m2]、A : 扉ストッパーの断面積[m2] です。この数値が 13.5 × 10^7 [N/m2] 以下になることを確認します。

扉ストッパーの水平曲げ応力を確認し、鋼材が破損しないように設計を行う必要があります。この他、扉本体の強度、ヒンジ強度などを確認し、風圧発生時に扉が破損しないような計画を行わなければいけません。

キュービクルや分電盤を製作するメーカーに対しては、所定の風圧条件を元に、扉強度やヒンジ・ストッパーの強度を算出してもらい、安全であることを確認します。

台風時の風圧力対策

台風時は、風速20[m/s]以上の強風が発生し、飛来物が屋外電気設備に接触することで破損する事例が多く、樹木の倒壊による破損などの事例もあります。電気設備の支持が弱ければ、風圧力によって支持材が外れたり、破損してしまうことも考えられます。

台風時の強風対策としては、屋外電気設備周辺の飛散物除去、電線類の地中化、電気設備の支持固定増強、防風壁・防風網の設置などが考えられます。

風による雨水侵入対策

分電盤やキュービクルは、内部収容機器の発熱を効率よく放出させるため、通気口を設けて放熱を促します。

通気口は一般的に下向きに設置されるので、無風状態では雨水が侵入することはありません。しかし、風が強い場合、空気の流通とともに雨水の侵入を許してしまいます。台風など特に風が強いときには、大量の雨水が盤内部に侵入するおそれがあります。

雨水が盤内部に侵入して電気機器が汚染すると、本来絶縁体である保護材などが絶縁劣化を引き起こし、内部漏電による地絡につながります。条件が悪ければ、短絡事故を引き起こす原因になります。

盤内部への雨水侵入を防止するには、通気口に水平仕切板を内蔵して雨水侵入を防ぐか、折返し付き仕切板を設けて雨水侵入対策を実施します。

通気口には一般的にフィルターが設置されますが、異物侵入防止に役立つとしても、雨水の侵入を防ぐことはできません。通気口に吹上げ防止ポケットを構成し、吹上げた雨水が直接フィルターに当たらないような措置を行います。

ただし、風の流通するルートを狭くすることは、静圧の増大に繋がり、換気量の低下によって発熱の除去が困難になることがあります。特に発熱が多い機器を盤内に収容する場合、屋外に設置せず、屋内設置することも計画の中で考慮が必要です。

基礎・架台からの雨水侵入対策

分電盤やキュービクルは、下部にコンクリート基礎やチャンネルベース架台を設け、その上部に盤類を設置します。

チャンネルベースに吸気口を設けた場合、吸気口から雨水が侵入し、枠内部に水が溜まることがあります。チャンネルベース枠内に水が滞留すると、蒸発した水分によって盤内部の湿度が上昇します。湿度が上がると結露の発生原因となり、水滴が付着した電気機器は絶縁性能が低下します。

チャンネルベース内部の水滞留を防ぐには、ベースになるコンクリート基礎に傾斜をつけて滞留した水を排出する方法や、ベース基礎に溝を切って排出する方法があります。

屋外盤の下部をゲタ基礎とした場合は、ゲタの内側に勾配を付けることにより、ゲタ基礎内部に水が滞留しないよう対策します。ゲタ基礎両端を塞ぐことで、風による雨水の吹き上げを防止しましょう。

キュービクルの結露対策

キュービクルの内部には発熱を伴う電気機器が多く収容されており、温度変化によって結露が発生します。例えば、外気温度が急低下することで盤の内面が結露したり、湿度の高い外気が盤内部に侵入し、機器表面に結露が発生するおそれがあります。

電気機器に結露が発生すれば腐食の原因となりますし、絶縁性能の低下による事故の可能性もあります。結露による事故を防止するため、対策の有無についても検討しましょう。

スペースヒーターによる結露対策の事例

盤内にスペースヒーターを設置し、盤内の温度を高めることで結露を防止する方法です。盤内温度を高くすることで、飽和水蒸気量の低下を予防し、盤内結露を防ぎます。外気の湿度が100%となっているとき、盤内湿度を結露防止が可能な85%に抑えるためには、概ね5℃程度の温度上昇を見込むと良いでしょう。

除湿装置を盤内に設置したり、乾燥剤を盤内に収容しておくという方法があります。ただし、乾燥剤を使用する方法の場合、定期的な乾燥剤の交換が必要となるため、大きなコストが発生します。乾燥剤を利用するのは、キュービクル運搬時の結露防止などはあっても、運用中のキュービクルに対して継続的に乾燥剤を投入するのは、現実的ではありません。

キュービクルの塗装

キュービクルの外箱は一般屋外、沿岸部、寒冷地などでも設置ができるように、数多くの塗装仕様があります。キュービクルを設置する環境に合わせて、仕様を決める必要があります。例えば、沿岸部など塩分による汚損被害が想定される場所に、一般屋外用キュービクルを納入してしまうと、数年で外箱が腐食し、内部まで浸食が進行してしまいます。

このような事故を防ぐため、キュービクルは板金を工場で全面塗装します。現地で塗装することはありません。キュービクルを現地搬入してしまうと、細部のタッチアップ程度しか対応できませんので、キュービクルの計画時から、外箱の塗装仕様についても注意しなければいけません。

キュービクル内の遮断器の組み換えなどは、改造コストを度外視すれば現地対応も可能ですが、全面塗装のやりなおしは不可能です。膜圧が全体的に薄かったり、塗装仕様が違っていたりすれば、工場に持ち帰って再塗装するしかありません。工程の延長や、余計なコスト発生の原因になりますので、設計者や施工者が工場検査に出向き、キュービクルの塗装仕様を十分確認することが望まれます。

キュービクルの塗装色についても、意匠性を考慮した計画が求められます。電気室内などの専用室であれば、2.5Y9/1(ベージュ)、または5Y7/1(グレー)といった標準色の採用が良いですが、見え掛かりとなるような場所では、標準色以外の塗装色を求められる場合があります。

塗装のツヤ指定

塗装色だけでなく、ツヤについても指定が必要です。ツヤは通常「全艶」「艶なし」「半艶」から選択します。「全艶」は汚れに強く、雨水によって表面の汚れが良く落ちるという利点がありますが、光の反射が強いため眩しさを感じたり、目立ってしまうおそれがあります。

「艶なし」は、まったくツヤがない仕様です。汚れに弱く、屋内で使用するのが前提です。ロッカーやキャビネット棚と似たツヤなので、見え掛かりに分電盤を設ける場合に適しています。

「半艶」は、全艶と艶なしの中間であり、屋外・屋内のどちらでも適用可能です。これらツヤを指定する際、電気設備のみで決定せず、機械設備や建築と調整し、隣接する盤類と色合わせをしなければいけません。ベージュやグレーといった「色だけ」を合わせてしまい、列盤のツヤが違うという不具合につながりますので、綿密な打ち合わせが必要です。

キュービクルの仕様と保護形式

キュービクルは、規模によってCB形(サーキットブレーカ形)とPF・S形(パワーヒューズ・スイッチ形)に分けられます。300kVA以下のキュービクルであれば、PF・S形を採用する方がコスト的には良いと言えます。

PF・S形キュービクルの特徴

PF・S形キュービクルは、負荷開閉器と高圧ヒューズで保護を行う構成の変電設備です。300kVA未満の小規模受変電設備として採用されます。負荷開閉器は負荷の流れている充電電路を切り離すことはできますが、短絡などの事故電流を遮断する機能を持っていません。

負荷開閉器にヒューズを設け、事故電流はこのヒューズが溶断することによって、事故電流を遮断します。高圧ヒューズは使い捨ての設備なので、事故電流でヒューズが切断された場合、新しいヒューズに交換します。

PF・S形キュービクルは、真空遮断器(VCB)を設置しないことでコストダウンを図っています。CB型キュービクルは300kVAを超える受電設備の場合に採用するもので、VCBを設けることにより、信頼性・安全性が向上しています。

なお、PF・S形キュービクルは、負荷設備に高圧電動機があると採用できません。高圧電動機を含む場合は、VCBを設置したCB形キュービクルを選定しましょう。

CB形キュービクルの特徴

CB形キュービクルは、高圧遮断器を内蔵した高信頼の変電設備です。事故電流は過電流継電器によって検出し、VCBを動作させて事故電流を遮断します。ヒューズと違い、繰り返し遮断を行うことができます。300kVAを超え、4,000kVAまでの受電設備に適用でき、施設規模が比較的大きい場合に採用されます。

しかし、事故電流全てをVCBで遮断するわけではありません。真空遮断器の二次側には多数の変圧器が設けられますので、VCBが動作すると、複数の変圧器を巻き込んだ大規模停電となりますので、高圧ヒューズ付き負荷開閉器がを設け、変圧器毎に負荷開閉器で保護します。

高圧ヒューズによる保護と、高圧遮断器による保護を併用することで、事故による停電範囲を限定的とするのが一般的な設計手法です。

高圧饋電盤(高圧き電盤)

キュービクルの受電盤と併設して設けられているもので「き電盤」と呼ばれる盤があります。

「饋」という文字には「送る」という意味があります。高圧幹線を分岐して必要場所へ送電するための盤なので、き電盤には真空遮断器が複数取り付けられているのが一般的です。単に「高圧分岐盤」と呼ぶ場合もあります。

き電盤には、前述のように高圧幹線を分岐する高圧遮断器を内蔵し、他の必要場所へ電源分岐するために設置されます。過電流継電器や地絡継電器、各種メーターを併設し、分岐幹線の保護や計測を行うこともあります。

き電盤内は遮断器と各種継電器・計器のみ収容するため、盤内にある程度のスペースが確保できます。このスペースの有効活用として、絶縁監視装置や遠隔検針装置を設けると、スペースの有効活用を図れます。小型のキュービクルでは進相コンデンサなどを入れ込むのも一案です。

キュービクル設置に関わる法規

キュービクルは、変電設備として消防法によって制限されます。隣地境界や既存建物から3m以上の離隔が確保できなければ、消防認定キュービクルとします。認定キュービクルにしてしまうと、増改築などで電気容量が増加した場合でもキュービクルの改造ができませんので注意します。

なお、消防認定品だから高性能であるということはありません。汎用性が低いため、認定キュービクルの採用はできるだけ避けるのが望ましいと言えます。

その他、操作面は1.0m以上、点検面は0.6m以上、点検しない面は0.2m以上の保守空間を確保するなど、設置場所の環境や周囲離隔についても細かく規定されているため、関係法規の見落としが無いように計画します。消防法だけではなく、火災予防条例や労働基準法にもキュービクル関連の条文があります。自治体例規や専門書を確認し対応しましょう。

地方自治体の条例を確認したい場合、インターネット検索で「○○市 例規」と入力すれば、自治体が公開している例規集を参照できます。火災予防条例なども確認でき、設計作業の効率が向上します。

火災予防条例による変電設備の規制

20kWを超える変電設備は、火災予防条例によって各種の規制があり、キュービクルを設置する際にはこれらの条例に準拠しなければいけません。

キュービクル設置場所の環境として、水が浸入、浸透するおそれのない措置を講じた位置に設けること、可燃性・腐食性蒸気やガスの発生する室や滞留する室に設けないことが定められています。

不燃材料で造った壁、柱、床、天井で区画され、窓や出入口に防火戸を設けた室内に設けることが原則です。この区画をダクトや電線管、ケーブルが貫通する場合、貫通部分に不燃材料を充填し、延焼防止を図ることも明記されています。

その他、屋外に通じる換気設備を設置すること、変電設備であることを表示すること、係員以外の者を立ち入らせないこと、定格電流以内で使用することなどが定められています。特に、変電設備である表示は、表示方法(白地に黒、寸法など)が自治体によって各種決められていますので、所轄消防に確認を取る必要があります。

キュービクルの冷却方式と冷却計算

キュービクル内には変圧器、進相コンデンサ、場合によって蓄電池設備などが配置され、これらの機器は電圧の変換や充電による損失で、常時発熱しています。電気室内の温度を40℃以下に抑え、さらに十分な換気や冷房を行うことで電気機器の効率を高め、寿命を最大限に維持できます。

キュービクル内に設置される電気機器の発熱量を計算する場合、「変圧器」「コンデンサ」「蓄電池」の3つの熱量を合算します。特に変圧器は最も発熱量が大きく、冷房負荷が大きくなる傾向にあります。

キュービクルを屋外設置する場合は、キュービクル内部の熱量を算出し、冷却のための冷房能力や換気計算を行います。電気室内にキュービクルを設置する場合は、キュービクル内部の計算と、電気室全体の冷却計算を行います。

発熱源のワット数がわかればキュービクルの冷却計算が可能です。盤本体からの放射熱量やキュービクルの開口寸法など、製作する盤メーカーでなければ正確な数値が出ないこともあるため、製作メーカーに冷却計算を依頼するのも良いでしょう。

変圧器の発熱量

変圧器の発熱量はメーカーカタログを参照し、効率を変圧器容量で計算して熱量を算出します。例えば単相500kVAの変圧器で効率が98%の場合、2%の10kVAが熱として発生することになります。

変圧器の熱量計算は原則として全負荷によりますが、全負荷になることがあり得ない場合は、実負荷で計算します。例えば、300kVAの変圧器を設置した場合でも、実負荷は200kVAしかなく、今後増量することがないとわかっていれば、実負荷で計算しても支障はありません。もし負荷増設が発生した場合は、冷却措置を追加しなければいけません。

進相コンデンサ・蓄電池の発熱量

進相コンデンサは蓄電時のロスがあるため、本体から発熱しています。メーカーへの問い合わせやカタログ値から、発熱量をチェックします。

蓄電池もコンデンサ同様、蓄電時のロスが熱として放出されるため、発熱量に合算します。進相コンデンサ同様に、メーカーやカタログ値から数値を抽出し、合算します。

キュービクル内で発生する熱量がわかれば、次は冷却方法を選定します。冷却方式には大きく「換気方式」「冷房方式」の二種類があります。

換気方式による冷却

大風量ファンで電気室内やキュービクル内部を強制換気し、外気温と同等の温度まで冷却する方法です。コストは安価ですが、夏季は冷却のための温度差を確保しづらく、換気風量が膨大になる可能性があります。基準温度は40℃として計算しますので、外気温が40℃に近ければ年どれだけ多くの外気を取り入れても冷却効果はありません。

風力が大きければ、ファン、ガラリなど付帯設備も全て大きくなります。ファンの騒音対策やガラリ等の建築対応はもちろんのこと、雨水侵入対策によるコストも発生しますので、コストアップにつながります。ファンによる換気量算出は、下記計算式で行います。

  • 換気量[m3/h] = 発熱量[W] / 0.33×(許容温度40[℃] - 外気温度[℃])

例えば、変圧器などの発熱量が20kW、外気温度30℃を最大とした場合、20000 / 0.33 ( 40 - 30 ) = 6061[m3/h] が、外気温30℃時における冷却に必要な換気風量になります。

エアコン冷房による冷却

電気室などにキュービクルを設置している場合、電気室内をエアコンで冷却する方式が有効です。外気温に影響されず効率良く、冷却することが可能です。変圧器や蓄電池、進相コンデンサなどから発生する熱量を冷房に必要な負荷として、それ以上の能力を持つ空調機を設置します。

冷房による冷却では、エアコン室内機からのドレン水の処理方法が重要になります。電気室内にドレン水の流れる配管を敷設することになるため、配管ルートは電気機器の上部を通さないようにルート設計します。もし配管ルートが電気機器の上部になってしまう場合、漏水検知装置付きのドレンパンを設けます。

ただし、ドレンパンが埃や汚れで詰まったり、漏水検知装置の故障のおそれがあるため、ドレンパンによる防水は完全ではありません。電気機器の上部に水配管をそもそも通さないことが望まれます。

冷房方式と換気方式とを比較すると、冷房方式の方がコストアップ傾向になります。ただし、能力的な観点から見れば、冷房方式による冷却が確実です。

キュービクル受変電設備の代表的メーカー

キュービクルを製作しているメーカーは多数あり、標準仕様として多くの実績がある「河村電器産業」「日東工業」、特注により大規模かつ複雑なシーケンスに対応する「中立電機」「かわでん」「古川電気工業」などが代表的です。

キュービクルは建物の用途や、要求される負荷密度などによって大きく変動するため、建築物毎の特注品となりがちです。小規模建築物では同じような変圧器容量となることが多いため、既製品や標準設計品を選定するとコストが安くなります。

小規模なキュービクルを標準設計化しているメーカーでは、極限までコンパクトに仕上げたキュービクルを選定できるため、設置スペースが確保できない場合はこれらメーカーで検討すると良いでしょう。

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