キュービクル受変電設備の基礎知識

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高圧受変電設備の設置目的・役割

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建築物に供給される電気は、一部自家発電による電気の供給を除き、ほとんどが電力会社から供給されています。電力会社が保有している発電設備や変電設備は、多くが都心部から離れた場所にあり、電気を使用する都心部までは数十km〜数百kmを送電しなければならず、電圧を高めて送電ロスを小さくしています。

数万ボルト〜数十万ボルトの電圧では需要家で使用することが出来ないため、このような高い電圧で供給される場合、照明やコンセント、空調動力などで使用することができる低い電圧に変換しなければいけません。高圧受変電設備は、電力会社から6.6kVや3.3kVで受電し、負荷設備の使用電圧である100Vや200Vに変成し、負荷設備に配電するための設備を示しています。

受変電設備は「区分開閉器、断路器、遮断器、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、低圧配電設備」で構成されており、電力会社から供給される電気を、安全かつ確実に負荷へ配電するように計画する必要があります。

受変電設備が持つべき機能と条件

受変電設備は生産施設ではないため、建設費が高価になることは避けなければいけません。建設費を低く抑え、ランニングコストを低減させることが望まれます。また、設置スペースの縮小も重要な検討項目です。下記は、キュービクルに求められる条件です。

  • 設置面積、設置高さが軽減されていること
  • 長寿命・高信頼性・省エネルギー機器が使用されていること
  • 感電・火災の危険性がないこと
  • 過剰設備でなく、経済的であること
  • 保守点検が容易な機器配置であること
  • 周辺環境に配慮されていること
  • 建設費・維持費が安価であること

キュービクル受変電設備とは

高圧受変電設備として最も代表的な設備として、キュービクル受変電設備があります。単にキュービクルという略称でも呼ばれています。海外ではCubicles(Electric Switchboard Equipment)という名称で呼ばれ、立方体の小部屋という意味があります。

キュービクルは変電所から供給される高い電圧の電力を、需要家で使用できる低い電圧に変圧する設備であり、各種の保護装置や計測装置、配電装置を内蔵しています。電力会社と50kW以上の契約が見込まれる場合に、高圧での供給を求められるため、需要家内に受変電設備としてキュービクルを設置することがあります。

電力会社から供給される電源は、50kW以下の容量であれば、100Vや200Vなど低圧による供給が可能です。例えば、50kW程度の電力であれば、流れる電流は150A程度のため、ケーブルサイズもCVTケーブルであれば60sq〜100sq程度で供給することが可能です。しかし、これを超える電力の要望があった場合、ケーブルサイズが大きくなりすぎてしまい、電力会社にとって、経済性も施工性も悪くなります。

このように、一定の電力を必要とする需要家では、高圧のまま需要家に電源を引き込み、需要家側にキュービクルなどの受変電設備を設置して低圧に変換することで、引込ケーブルのサイズを小さくしています。このように、高圧の電源供給が必要になれば、需要家側で受変電設備を設置する必要があります。

また、一般屋内使用キュービクルの他、屋外で使用する、潮風を受ける、風雪を受けるなど、特殊環境で使用する場合は、それぞれに対応する耐性能をもったキュービクルを指定しなければいけません。屋外使用では防雨・防湿対応が必要ですし、潮風を受ける場所では耐塩害仕様とする必要があります。風雪を受ける場所では結露防止・断熱・ヒーター内蔵などが考えられます。

高圧母線方式と信頼性

受変電設備は、母線方式によって信頼性・コストが大きく変化します。一般的な単一母線方式では「母線連絡遮断器なし」「母線連絡遮断器あり」「母線連絡遮断器2台あり」の3種類があります。

母線連絡遮断器なし方式

単一母線であり、母線区分ができないので、事故時には全停電となります。母線点検の場合も、区分することができないため全停電にしなければいけません。発電機給電もできないため、部分停電によるメンテナンスも不可能です。

しかし、構成が非常にシンプルでわかりやすく、イニシャルコストは最も安価です。給電を絶やすことが出来ないような重要負荷がなければ、合理的な構成と言えます。

母線連絡遮断器あり方式

母線区分を行うことができるため、停電範囲を小さく留めることが出来ます。保守点検時には母線連絡遮断器を開放することで、片側ずつ点検することができます。ただし、母線連絡遮断器本体を点検するためには、全停電にしなければいけません。構成は比較的シンプルであり、保守点検にも利点があります。イニシャルコストは遮断器が追加された分だけ高くなります。

母線連絡遮断器2台あり方式

母線連絡遮断器1台の方式と同様、停電範囲を小さくし、保守点検時には片側ずつ点検することができます。母線連絡遮断器本体を点検する場合は、2台のうち1台を遮断することで、給電を停止させます。保守点検には最も有利な方式ですが、母線連絡遮断器の数だけコストアップとなります。

キュービクルの組立方式ごとの特徴

受変電設備の組立方式は、キュービクルの他に「開放型の受変電設備(オープン式受変電設備)」や、「閉鎖・開放併用の受変電設備(セミオープン式受変電設備)」があります。キュービクル方式と比較して、設置面積が大きくなるため、工場などでなければあまり採用されることはありませんが、増設や点検が容易であり、敷地や建物面積に余裕のある建物や、頻繁に受変電設備を増設・変更する用途の場合には、キュービクルよりも採用メリットが大きくなります。

閉鎖型受変電設備(キュービクル)の利点・欠点

キュービクルは閉鎖型の受変電設備であり、低圧配電盤、遮断器、母線、変圧器、各種計器類などの全部、または一部を金属製の箱内に収容した方式です。非常に普及率が高く、ほとんどの需要家でこの方式を採用しています。

キュービクル方式の受変電設備は、接地された金属製の箱に収容されているため、感電の危険性が少ないという利点があります。また、機器の配置密度を高く構成するため、受変電設備としては非常にコンパクトかつ小面積に計画することができます。

ただしキュービクルは、箱内収容であることや、容積をコンパクトに抑えていることにより、機器の増設や改造が難しいのが欠点です。また、キュービクル内部で事故が発生した場合、機器類が箱内に密集しているため事故が拡大するおそれがあります。

キュービクル内に点検通路を設けることができますが、キュービクル内部は機器が密集した密閉空間であり、余裕あるメンテナンススペースを確保することが難しいのが実情です。よって、通電したまま内部点検することは困難と言えます。

開放型受変電設備の利点・欠点

開放型受変電設備は、屋内の電気室内にフレームパイプを組み、変圧器、遮断器、継電器類を配置する方式です。電線は上部にケーブルラックを敷設したり、がいし引き、バスダクトなどを使用して接続します。

開放型の受変電設備は、設備の追加・変更に容易に対応できるため、工場等では従来から現在まで広く使われています。機器や配線が直接目視することができるため、点検が容易であること、変圧器や遮断器などサイズの大きな機器の更新が容易であることなど、いくつかの利点があります。

しかし、充電部が数多く露出しているため感電の危険性が高いこと、設置面積が大きく必要になること、じんあいや腐食の影響が大きくなること、現地組立による工事負担が大きいことなどの欠点があるため、開放型受変電設備を新規に採用することは少なく、キュービクル式の受変電設備の採用が主流となっています。

キュービクルの寿命と耐用年数

キュービクルは電気設備の一つですから、耐用年数や寿命を考慮した管理が必要です。屋外設置と屋内設置で大きく寿命が変動しますし、電流の流し方、使い方によっても大きく変動します。

キュービクルの外箱は単なる鋼板です。清浄な屋内環境で、再塗装、補修、清掃をしっかりと行っているなら50年〜60年は問題なく維持することができます。しかし、屋外設置の場合は雨、潮風、酸化ガスなどの影響を受けるため、各所に錆が発生するおそれが高くなります。頻繁なメンテナンスを実施しても、20年〜30年で全面が腐食しますので、交換が必要となります。

内部に収容されている高圧機器については、外箱とは別に、個別管理を行う必要があります。負荷開閉器、遮断器などは、短絡電流など事故電流を経験していなければ、15年〜20年は問題なく使用することができますし、実際に30年近く運用し続けている高圧機器を確認したこともあります。しかし、負荷電流の繰り返し開閉、事故電流の遮断などを経験していれば、短期間で耐用年数を超過してしまうことがあります。

長期間使用した高圧機器は、交換部品が手に入らなくなることがあります。このような機器が故障してしまうと、長期間の停電になるなど問題になりますので、交換部品がなくなった場合は、すぐに新品に交換するよう計画します。

定期点検などで、異常な絶縁低下が発生している場合、異音異臭、焦げ跡などが発生している場合は、運用年数に関わらず交換することが望まれます。不良が発生している開閉器、遮断器を使用しすると、負荷開閉時や遮断時にアークを消弧することができず、短絡事故などが発生することがあります。

高圧ケーブルや母線は、屋内であれば30年〜40年程度、屋外であれば20年〜30年で使用限界となり、交換が必要です。ケーブルや母線は、目視で異常を発見することが困難ですから、精密点検などで異常が確認できた場合、すぐに交換するようにしましょう。

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キュービクルの設置場所と安全対策

キュービクルの設置位置は、幹線計画や建築計画に大きな影響を及ぼします。キュービクルを設置する場所は、負荷の中心にできる限り近くするか、特に大容量の負荷設備の近辺に設け、大容量幹線のサイズを小さく、または短くするように計画します。

発電機室や蓄電池室、空調機械室などの近くにキュービクルを配置することで、関連する設備との連携が容易になり、かつ幹線ケーブルのサイズを小さく、短くすることが可能になります。キュービクルを設置する場所に関する建築計画も重要であり、階高や有効高さ、梁の位置と高さ、扉寸法などを考慮し、搬入計画もスムーズに行えるように計画する必要があります。

特に、工事中には搬入据付が可能でも、施設運用開始後にキュービクルの内部機器が交換できないのでは問題です。運用開始後のメンテナンスも含めて、総合的な計画をすることが望まれます。

キュービクル内に設置される、電力会社支給のVCTが交換できることや、変圧器の交換が可能なように、搬入・搬出スペースを確保することが重要です。原則として、キュービクルは毎日点検しなければならないものですから、垂直はしご(タラップ)による計画は避けます。

計器類の設置高さ

キュービクルは、計器を読んだり、検針を行うために電力量計の数値を読む必要があります。雨天時に行わなければならないこともあり、扉を開ける頻度を低く保つため、検針窓をキュービクルの必要箇所に設けます。計器の取付高さは床面から1.2m〜1.8m程度とし、視認しやすい配置としましょう。

設置場所の建築要素

キュービクルの基礎や、キュービクル架台は、屋上などに設置する場合など、下部からしか入線できない時には、H=600程度が必要になります。キュービクル上部から入線できるのであれば、基礎高さは固定アンカーのみ込み分があれば良いので、H=200程度で問題ないと言えます。ただし、寒冷地や多雪地帯では、基礎高さを単純算定すると、足元が雪に埋もれてしまう可能性があります。融雪のためのヒーティングを設置したり、基礎をさらに上げたりするなど、建築計画にも影響するため、十分な検討を行いましょう。

安全維持に必要な照度・施錠

キュービクルには高圧電源が供給されていることから、電気管理者以外が容易に触れられる場所に設置すべきではありません。鉄箱に納められているとはいえ、給気口などがあるため完全に密閉されているわけではなく、いたずらなどをされた場合、大事故に繋がる危険性があります。

原則として、ネットフェンスなどでキュービクルの外周を囲ったり、不特定多数が近寄ることが出来ない電気室内や、屋上などにキュービクルを設置します。さらに、電気設備管理に関係のない者が容易に扉を開放しないように、施錠しておきます。

キュービクル外周にフェンスを設置することにより、車などが誤って接触するようなことがあっても、フェンスが一次ガードとして働きますので、キュービクルへの被害を予防することができます。

キュービクルが建築物の外壁から3m以上の離隔を確保して設置するのが原則です。狭小な敷地などで、建築物の外壁から3m以内の場所にキュービクルを設置しなければならない場合、建築物の外壁を不燃材料とするか、外壁を不燃材料で覆い、開口部を設けないことで対応することができます。もしくは、消防認定キュービクルを採用するという方法も考えられます。

必要照度の確保

キュービクルを電気室内に設置する場合、労働安全衛生規則により、配電盤計器面で300ルクス以上、その他の部分で70ルクス以上の照度を確保する必要があります。キュービクルの内部に蛍光灯を設置し、扉を開けたときにスイッチがオンになり、照明が点灯するという方法が非常に一般的です。計器面照度は問題になることが少なく、ランプ交換も安全に行うことができます。ただし、廊下通路に規定がありますので、照明計画に注意しましょう。

また、照明器具から発する光が反射し、計器が読みにくくならないように配慮することも重要です。キュービクルの高さは2,300mm程度が一般的ですが、配線を下部から引き込む場合、基礎によってキュービクルの設置高さが高くなり、計器が読みづらくなることが多々考えられます。

施錠方式とハンドルキー

キュービクルのハンドルキーは、タキゲン200番が一般的です。ただし、このキーはどの盤でも開けることが出来る汎用キーですから、セキュリティの高さを期待することができません。特別にセキュリティを高めたい場合、TAKというキーが標準化されましたので、これを選定することも一案です。TAKは数字ごとにセキュリティ強度が違い、TAK60は60通り、TAK70は1,000通り、TAK80は118,000通りの鍵種類があります。

キュービクルの納入仕様書確認事項

納入仕様書は、電気機器の取付位置、形状、寸法などを記載した図面一式を示し、納入する製品の性能や安全性、設計図と整合しているかを確認するものです。キュービクルは外観・内部機器の仕様・騒音と振動への対策などへの配慮が必要で、これを満足する仕様となっているかを確認することが重要です。

外観の確認

キュービクルの外観は、配電盤の寸法、塗装仕様・色、ハンドルキーの位置と鍵仕様、検針窓の高さ、感電防止アクリル保護板の位置と高さ、メンテ通路の幅と干渉の有無、ネームプレートの大きさ・フォント、チャンネルベースの高さ・水抜き、換気ファンの位置、給気口とフィルタ位置・仕様など、設計図や特記仕様書と合致しており、設計図に記載ない項目についても安全な仕様となっているか、確認します。

内部機器の仕様確認

キュービクル内部機器は、変圧器の仕様・数量・台数、負荷開閉器・遮断器の容量、保護継電器の仕様、インターロック有無、コンデンサ・リアクトル容量、接続ケーブルサイズ・端子台サイズなど、機器類のスペックが設計図に準拠しているかを確認します。

寸法と重量

キュービクルの標準寸法は、内蔵する遮断器台数などによって若干前後しますが、多くは変圧器の容量によって左右されます。メーカーによってそれぞれ違いがありますが、参考寸法と重量は下記の通りです。

  • 受電盤・き電盤 W1,000×D2,300×H2,400 1,000kg前後
  • 変圧器盤100kVA W1,000×D2,300×H2,400 1,200kg前後
  • 変圧器盤200kVA W1,200×D2,300×H2,400 1,500kg前後
  • 変圧器盤300kVA W1,400×D2,300×H2,400 1,900kg前後
  • 変圧器盤500kVA W1,600×D2,300×H2,400 2,500kg前後
  • 変圧器盤750kVA W1,800×D2,300×H2,400 3,200kg前後
  • コンデンサ盤300kvar W1,000×D2,300×H2,400 1,500kg前後

また、キュービクル内部機器(変圧器)のメーカーである東芝産業機器システムのホームページに、変圧器毎の重量がPDFデータ等で公開されていますので、これを参考にすることもできます。

建物内部や屋上にキュービクルを設置する場合、大きな荷重を建築物に負担させるため、構造検討をしてもらう必要があります。梁や柱・杭に影響しますので、早めに設備容量を計画し、構造設計者に資料を渡す必要があります。

騒音対策

キュービクルからの音の発生は、変圧器やコンデンサ、リアクトルからが発生する常時騒音が主で、間欠的に遮断器の操作音等が発生します。特に、変圧器の振動については、躯体伝播音として大きな騒音を発生させるため、特に集合住宅ではクレームになりやすい部分です。

対策として、変圧器の据付時に防振ゴムを挟んだり、スプリングを内蔵した防振架台を採用するなどし、躯体伝播音を低減させると良いでしょう。

振動対策

変圧器やコンデンサ、リアクトルは、電磁力によって振動を発生させ、構造体を伝わって振動を与えます。騒音対策と同様に、防振ゴムやスプリング防振架台が有効です。

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キュービクルの耐震補強

キュービクルの耐震対策には、機器を振動させないこと、機器が振動しても破損しないこと、機器が振動することを前提にした補強の3種類が考えられます。

機器を振動させない対策

機器を振動させないためには、剛構造とする必要があります。ボルト類で機器を固定する、振れ止めを確保する、共振を防ぐため、周波が小さくなる下階にキュービクルを配置するなどの手法が考えられます。

ボルト類で機器を固定する場合、ボルト強度を計算し、想定する地震力に耐えられるかを検証しなければいけません。また、振れ止めは入れる方向によって、まったく効かないことがありますので、振れ止めの方向、支持対象の構造強度に注意します。

機器が振動しても破損しない対策

振動しても破損しないようにする対策としては、機器部材の強度を高めるため支持点を増やす、駆動部を持つ機器を少なくする、取付相手の強度を高めるなどの手法があります。

例えば、過電流継電器や電力量計において、誘導型の製品を採用せず静止型の製品を使用することで、振動に強いシステムとすることができます。なお、誘導型の計測機器は総じて振動に弱く、過電流継電器では誤作動、電力量計では誤計量の原因となります。

機器が振動することを前提とした対策

機器が揺れることを前提条件とし、揺れを吸収する対策が考えられます。フレキ配管採用による振動の吸収や、防振ゴム・防振架台による機器の振動吸収が手法として考えられます。

電力会社からの引込部分では、下記の対策が、地震に対して有効です。

  • ハンドホール下部を転圧し、沈下を防止する
  • 建物際のハンドホールは躯体と一体化させる
  • 埋設鋼管はコンクリート根巻補強を施す
  • ハンドホール内のケーブルにゆとりを持たせる

キュービクル本体に対しては、下記のような対策を講じることで、地震に対して強くなります。

  • 継電器類は盤の下部に配置する
  • 誘導形の継電器や電力量計を使用せず、静止形とする
  • 基礎コンクリートは躯体と一体施工する
  • 端子接続・立上立下・変圧器接続部はフレキを使用する

キュービクルの風対策

キュービクルや分電盤などは、屋外に設置することがあるため、突風や強風に晒されることが多くなります。風を長期に渡って受けると、電気機器を固定するねじに緩みが発生し脱落のおそれがあります。また、不測の張力の発生により、接続部や内部電線に負担が掛かり、電線の抜けや、被覆損傷が発生することがあります。放置すると、機器内部で露出した電線と機器が接触し、地絡事故に移行することがあります。また、風によってキュービクルや分電盤に飛来物が接触したり、露出しているケーブルが飛来物によって切断されるなど、電気事故につながります。

原則として、台風など特に風が強いときには、分電盤やキュービクルを操作してはいけません。盤の扉を開けると、風にあおられて扉が破損することがあります。風が強いときに扉を開けることが必須条件の場合は、扉の強度を計算し、風を受けても破損しない措置を講じておくことが望まれます。

風圧力の計算方法

扉を開いた盤類の強度計算をする場合、扉のストッパーに受けるせん断応力と、水平曲げ応力が、盤を構成する鋼材の許容応力を満足するかを確認します。

日本建築学会の基準によれば、鋼材のせん断応力は13.5 × 10^7 [N/m2] 曲げ応力は24 × 10^7 [N/m2] となっています。

風が盤類の扉に当たった場合、 P = 1 / 2 ρV^2Cp の風圧力が発生します。ここで、ρ : 空気密度(1.25)、V : 空気の速度[m/s]、Cp : 抗力計数(2)となります。

扉に掛かる風圧力は、風向きに対して直角になった瞬間が最大になります。この場合、扉に掛かる力 FA = P × A1 となります。P : 風圧力、A1 : 扉の受圧面積 [m2] として計算を行います。

扉ストッパーのせん断応力は FA / A [N/mm2] で示されます。FA : 扉に掛かる風圧力[N/m2]、A : 扉ストッパーの断面積[m2]となります。この数値が、前述した 13.5 × 10^7 [N/m2] 以下になることを確認します。

また、扉ストッパーの水平曲げ応力を確認し、鋼材が破損しないように設計を行う必要があります。この他、扉本体の強度、ヒンジ強度などを確認し、風圧発生時に扉が破損しないような計画を行わなければいけません。

キュービクルや分電盤を製作するメーカーに対しては、所定の風圧条件を元に、扉強度やヒンジ・ストッパーの強度を算出してもらい、安全であることの証明を受けるのが良いでしょう。

台風時の風圧力対策

台風時は、風速20[m/s]以上の強風が発生し、飛来物が屋外電気設備に接触することで破損する事例が多く、樹木の倒壊による破損などの事例もあります。また、電気設備の支持が弱ければ、風圧力によって支持材が外れたり、破損してしまうことも考えられます。

台風時の強風対策としては、屋外電気設備周辺の飛散物除去、電線類の地中化、電気設備の支持固定増強、防風壁・防風網の設置などが考えられます。

風による雨水侵入対策

分電盤やキュービクルは、内部収容機器の発熱を効率よく放出させるため、通気口を設けて放熱を促します。

通気口は一般的に下向きに設置されるので、無風状態では雨水が侵入することはありません。しかし、風が強い場合、空気の流通とともに雨水の侵入を許してしまいますし、台風など特に風が強いときには、大量の雨水が盤内部に侵入するおそれが高くなります。

雨水が盤内部に侵入し、電気機器を汚損させると、本来絶縁体である保護材などが、絶縁劣化を引き起こしてしまい、内部漏電による地絡、条件が悪ければ短絡事故を引き起こす原因になります。

盤内部への雨水侵入を防止するには、通気口に水平仕切板を内蔵して雨水侵入を防いだり、折返し付き仕切板によって雨水侵入対策を実施します。

通気口には一般的にフィルターが設置されますが、異物侵入防止に役立つとしても、雨水の侵入を防ぐことはできません。このような場合、通気口に吹上げ防止ポケットを構成し、吹上げた雨水が直接フィルターに当たらないような措置を行います。

ただし、風の流通するルートを狭くすることは、静圧の増大に繋がり、換気量の低下によって発熱の除去が困難になることがあります。特に発熱が多い機器を盤内収容する場合は、屋外に設置せず、屋内設置することも計画の中で考慮が必要です。

盤基礎・架台からの雨水侵入対策

分電盤やキュービクルは、下部にコンクリート基礎やチャンネルベース架台を配し。その上部に盤類を設置します。

チャンネルベースに吸気口を設けた場合、吸気口から雨水が侵入し、枠内部に水が溜まることがあります。チャンネルベース枠内に水が滞留すると、蒸発した水分によって盤内部の湿度を上昇させるため、結露の発生原因となり絶縁性能の低下に繋がります。

チャンネルベース内部の水滞留を防ぐには、ベースになるコンクリート基礎に傾斜をつけて滞留した水を排出する方法や、ベース基礎に溝を切っておくことで排出する方法があります。

屋外盤の下部をゲタ基礎とした場合は、ゲタの内側に勾配を付けることにより、ゲタ基礎内部に水が滞留しないようにすることや、ゲタ基礎両端を塞ぐことにより、風による雨水の吹き上げを防止しましょう。

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キュービクルの結露対策

キュービクルの内部には発熱を伴う電気機器が多く収容されており、温度変化によって結露を発生させる可能性があります。例えば、外気温度が急低下することで盤の内面が結露したり、湿度の高い外気が盤内部に侵入し、機器表面に結露が発生するおそれがあります。

電気機器に結露が発生すれば腐食の原因となりますし、絶縁性能の低下による事故の可能性もあります。このように、結露による事故を防止するため、対策の有無についても見当しておきます。

結露対策の事例

盤内にスペースヒーターを設置し、盤内の温度を高めることで結露を防止する方法です。盤内温度を高くすることで、飽和水蒸気量の低下を予防し、盤内結露を防ぎます。外気の湿度が100%となっているとき、盤内湿度を結露防止が可能な85%に抑えるためには、概ね5℃程度の温度上昇を見込むと良いでしょう。

また、除湿装置を盤内に設置したり、乾燥剤を盤内に収容しておくという方法があります。ただし、乾燥剤を使用する方法の場合、定期的な乾燥剤の交換が必要となるため、大きなコストが発生します。乾燥剤を利用するのは、キュービクル運搬時の結露防止などに実績が多いですが、乾燥剤を運用中のキュービクルに使用するという方法は、あまり採用されません。

キュービクルの塗装

キュービクルの外箱は一般屋外、沿岸部、寒冷地などでも設置ができるように、各種の板金・塗装仕様盤が製作されています。キュービクルを設置する環境に合わせて、仕様を決める必要があります。例えば、沿岸部など塩分による汚損被害が想定される場所に、一般屋外用キュービクルを納入してしまうと、数年で外箱が腐食し、内部まで浸食が進行してしまいます。

このような事故を防ぐため、キュービクルは板金を工場で全面塗装します。現地で塗装することはありません。キュービクルを現地搬入してしまうと、細部のタッチアップ程度しか対応できませんので、キュービクルの計画時から、外箱の塗装仕様についても注意しなければいけません。

例えば、キュービクル内の遮断器の組み換えなどは、改造コストを度外視すれば現地組み込みでも可能ですが、塗装仕様は対応することができません。全体の膜圧が薄かったり、塗装仕様が違っていたりすれば、工場に持ち帰って再塗装する必要があります。工程の延長や、余計なコスト発生の原因になりますので、設計者や施工者が工場検査に出向き、キュービクルの塗装仕様を十分確認することが望まれます。

また、キュービクルの塗装色についても計画しなければいけません。2.5Y9/1(ベージュ)、または5Y7/1(グレー)が標準色ですが、設置場所によっては、キュービクル外箱が見え掛りとなってしまい、標準色以外の塗装色を求められる場合があります。塗装の艶についても、全艶では光の反射が強いため、7分艶や5分艶を指定されることがあります。また、キュービクル外周を目隠し等で囲うことを計画する場合もあります。

キュービクルの仕様と保護形式

キュービクルは、規模によってCB形(サーキットブレーカ形)とPF・S形(パワーヒューズ・スイッチ形)に分けられます。300kVA以下のキュービクルであれば、PF・S形を採用する方がコスト的には良いと言えます。

PF・S形キュービクルの特徴

PF・S形キュービクルは、負荷開閉器と高圧ヒューズで保護を行う構成の変電設備です。300kVA未満の小規模受変電設備として採用されます。負荷開閉器は負荷の流れている充電電路を切り離すことはできますが、短絡などの事故電流を遮断する機能を持っていません。

PF・S形キュービクルは、真空遮断器(VCB)を設置しないことでコストダウンを図っています。CB型キュービクルは300kVAを超える受電設備の場合に採用するもので、VCBを設けることにより、信頼性・安全性が向上しています。

よって、負荷開閉器にヒューズを設け、事故電流はこのヒューズが切断されることによって、事故電流を遮断するという方式になっています。高圧ヒューズは使い捨ての設備なので、事故電流でヒューズが切断された場合、新しいヒューズに交換する必要があります。

PF・Sは、負荷設備に高圧電動機がある場合には採用することができないため、注意が必要です。高圧電動機を含む場合は、VCBを設置したCB形キュービクルを選定ししましょう。

CB形キュービクルの特徴

CB形キュービクルは、高圧遮断器を内蔵した高信頼の変電設備です。事故電流はVCBによって遮断されます。ヒューズと違い、繰り返し遮断を行うことができます。300kVAを超え、4,000kVAまでの受電設備に適用することができ、施設規模が比較的大きい場合に採用されます。

高圧遮断器の二次側に、多くの高圧ヒューズ付き負荷開閉器が内蔵されます。高圧ヒューズによる保護と、高圧遮断器による保護を併用することで、事故による所内停電範囲を限定的に留めることができます。

高圧饋電盤(高圧き電盤)

キュービクルの受電盤と併設して設けられているもので「き電盤」という盤があります。難解な名称になっておりますが、この名称では何が内蔵されているのか見当がつかないと考えられます。

「饋」という文字には「送る」という意味があります。高圧幹線を分岐して必要場所へ送電するための盤なので、この名称が付けられています。単に「高圧分岐盤」という言い方をする場合もあり、最近納入したキュービクルの盤名称にはあまり使われない感があります。

き電盤には、高圧幹線を分岐する高圧遮断器が内蔵され、当該変電所から別の高圧必要場所へ電源を供給するために設置されます。過電流継電器や各種メーター類を併設し、分岐幹線の保護や計測を行うこともあります。

き電盤内は遮断器のみと各種継電器・計器のみしかないため、盤内にある程度のスペースが確保できます。このスペースの有効活用として、絶縁監視装置や遠隔検針装置、小型のキュービクルでは進相コンデンサなどを入れ込んでしまうことも可能です。

キュービクル設置に関わる法規

キュービクルは、変電設備として消防法によって制限されます。隣地境界や既存建物から3m以上離隔を取らなければ、認定キュービクルとする必要があります。認定キュービクルにしてしまうと、増改築などで電気容量が増加した場合キュービクルの改造をすることができません。また、本体に認定のためのコストが追加されているので、製造に掛かる金額が高くなってしまいます。できるかぎり認定品を避け、標準品を使用する計画とするのが良いでしょう。なお、消防認定品だから高性能であるということはなく、むしろ汎用性が低くなってしまうため、認定キュービクルの採用はできるだけ避けるのが望ましいと言えます。

その他、操作面は1.0m以上、点検面は0.6m以上、点検しない面は0.2m以上の保守空間を確保するなど、設置場所の環境や周囲離隔についても細かく規定されているため、関係法規の見落としが無いように注意が必要です。消防法だけではなく、火災予防条例や労働基準法にも、キュービクル関連の条文があります。自治体例規や専門書を確認するのが重要です。

地方自治体の条例を確認したい場合、インターネット検索で「○○市 例規」と入力すれば、自治体が公開している例規集を参照することができます。火災予防条例なども確認することができますので、これを使用すると設計作業の効率が向上します。

火災予防条例による変電設備の規制

20kWを超える変電設備は、火災予防条例によって各種の規制があり、キュービクルを設置する際にはこれらの条例に準拠しなければいけません。

キュービクル設置場所の環境として、水が浸入、浸透するおそれのない措置を講じた位置に設けること、可燃性・腐食性蒸気やガスの発生する室や滞留する室に設けないことが定められています。

また、不燃材料で造った壁、柱、床、天井で区画され、窓や出入口に防火戸を設けた室内に設けることが原則です。この区画をダクトや電線管、ケーブルが貫通する場合、貫通部分に不燃材料を充填し、延焼防止を図ることも明記されています。

その他、屋外に通じる換気設備を設置すること、変電設備であることを表示すること、係員以外の者を立ち入らせないこと、定格電流以内で使用することなどが定められています。特に、変電設備である表示は、表示方法(白地に黒、寸法など)が自治体によって各種決められていますので、所轄消防に確認を取る必要があります。

キュービクルの冷却方式と冷却計算

キュービクル内には変圧器、進相コンデンサ、場合によって蓄電池設備などが配置され、これらの機器は電圧の変換や充電による損失で、常時発熱しています。電気室内の温度を40℃以下に抑え、さらに十分な換気や冷房を行うことで電気機器の効率を高め、寿命を延ばすことができます。

キュービクル内に設置される電気機器の発熱量を計算する場合、「変圧器」「コンデンサ」「蓄電池」の3つの熱量を合算します。特に変圧器は最も発熱量が大きいため、冷房負荷が大きくなる傾向にあります。

キュービクルを外部に設置する場合は、キュービクル内部の熱量を算出し、冷却のための冷房能力や換気計算を行います。電気室内にキュービクルを設置する場合は、キュービクル内部の計算と、電気室全体の計算を行います。

変圧器の発熱計算

変圧器の発熱量はメーカーカタログを参照し、効率を変圧器容量で計算して熱量を算出します。例えば単相500kVAの変圧器で効率が98%の場合、2%の10kVAが熱として発生することになります。

変圧器の熱量計算は原則として全負荷によりますが、全負荷になることがあり得ない場合は差し引いて計算することも可能です。例えば500kVAの変圧器を設置した場合でも、実負荷は200kVAしかなく今後増量することがないとわかっていれば、実負荷で計算しても支障はありません。負荷増設が発生した場合は、冷却措置を別途、行う必要があります。

進相コンデンサ・蓄電池の発熱計算

進相コンデンサは蓄電時のロスがあるため、本体から発熱しています。メーカーへの問い合わせやカタログ値から、発熱量をチェックします。

蓄電池もコンデンサ同様、蓄電時のロスが熱として放出されるため、発熱量に合算する必要があります。進相コンデンサ同様に、メーカーやカタログ値から数値を抽出し、合算します。

キュービクル内で発生する熱量がわかれば、次は冷却方法を選定します。冷却方式には大きく「換気方式」「冷房方式」の二種類があります。

換気方式

大風量のファンで電気室内やキュービクル内部を強制換気し、外気温と同等の温度まで冷却する方法です。コストは安価ですが、夏季の気温で計算するため、冷却のための温度差を確保しづらく、換気風量が膨大になる可能性があります。ファンの騒音対策やガラリ等の建築的対応、雨対策などでコストが発生することがあるので、各々の検証が重要になります。

必要換気量[m3/h] = 発熱量[W] / 0.33×(許容温度40[℃] - 外気温度[℃])で表されます。

例えば、変圧器などの発熱量が20kW、外気温度30℃を最大とした場合、20000 / 0.33 ( 40 - 30 ) = 6061[m3/h] が、冷却に必要な換気風量になります。

冷房方式

電気室などにキュービクルを設置している場合、電気室内を、エアコンによって冷却する方式で、外気温に影響されず効率良く冷却することが可能です。変圧器や蓄電池、進相コンデンサなどから発生する熱量を冷房に必要な負荷として、それ以上の能力を持つ空調機を設置するという方法です。

この方式を採用した場合、エアコン室内機からのドレン水の処理方法が重要になります。電気室内にドレン水の流れる配管を敷設することになるため、配管ルートは電気機器の上部を通さないようにルート設計します。もしルートが電気機器の上部になってしまう場合、漏水検知装置付きのドレンパンを設けるなどの措置を行います。ただし、ドレンパンの詰まりや、漏水検知装置の故障のおそれがあるため、出来る限り、電気機器の上部に水配管を通さないことが望まれます。冷房方式と換気方式とを比較すると、冷房方式の方がコストアップ傾向になります。ただし、能力的な観点からは、冷房方式の方が確実な冷却が可能です。

発熱源のワット数がわかればキュービクルの冷却計算が可能です。盤本体からの放射や、キュービクルの開口寸法など、盤メーカーでなければ正確な数値が出ないこともあるため、メーカーに依頼するのも一案です。設計状況に応じて、メーカーに依頼するかを判断することになります。

キュービクル受変電設備の代表的メーカー

キュービクルを製作しているメーカーには、河村電器産業、日東工業、中立電機などがあります。キュービクルは建物の用途や負荷密度等によって変動するため、建築物毎の特注品となりがちですが、小規模建築物では同じような変圧器容量となることがおおいため、既製品や標準設計品を選定するとコストが安くなります。

河村電器産業や日東工業では、小規模キュービクルを標準設計化しており、コンパクトなキュービクルを既製品として選定することが可能です。

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