W(ワット)とVA(ボルトアンペア)の換算・計算

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ワットとボルトアンペアの違い

電力を示す単位に、W(ワット)とVA(ホルトアンペア)があります。どちらも電気設備の分野では一般的に使用する単位です。単位の違いと使い分けを解説します。

ワットという単位は、空調機や照明器具のカタログでも良く使用されている単位で、例えば「エアコンの消費電力13kW」「Hf蛍光灯の消費電力32W」というように表記されています。ワットを用いた数値は、電気機器の消費電力を示す数値となります。

電力には、有効電力・無効電力・皮相電力という3種類があります。身近で使用している電力は「有効電力」と呼ばれるもので、実際に仕事を行うエネルギーとなるものです。下記、3種類のエネルギーの違いについて解説します。

有効電力

有効電力はW(ワット)という単位で表現され、実際に電気機器で使用される電力を表します。ワットで表現される数値は、電力のロスを含んだ数値ではないため、実際に必要となる電力(皮相電力)は若干大きくなります。

有効電力は、電力会社からの料金請求の元となるものです。一般家庭や高圧需要家の受電点に設置される電力メーター(電力量計)は、有効電力を計測できるものが設置されており、有効電力分を計測し電気料金を請求します。

高圧や特別高圧など、大電力を使用するような施設の場合、無効電力の数値は電気料金に大きく影響します。高圧以上の需要家は電力消費量が非常に大きく、電動機など無効電力を必要とする機器を多数設置する可能性があることから、高圧受電または特別高圧受電を行う需要家に対し、進相コンデンサーなどを用い、負荷側で無効電力を補償してもらうことができれば、電気料金を割引くという施策を行っています。

無効電力が著しく大きくなると、電力会社が用意する発電機や変電施設は、無効電力を十分に供給できるような大規模な施設を用意しなければなりません。無効電力は負荷側に電動機がある場合必ず発生し、電圧維持に対して一定量を必要とするものです。

なお、一般家庭や小規模施設など低圧受電の場合は、無効電力がどれだけ多く含まれていても、電気代には関係が有りません。

無効電力

無効電力は、var(バール)という単位で表現され、電力会社から供給される電力のうち、実際に何の仕事もせずに発電設備に戻ってくる電力を示しています。無効電力は、負荷と電源の間を往復しているだけの電力であり、負荷のコイル成分やコンデンサ成分の有無によって大きさが変化します。無効電力は何の仕事もせず、熱消費の伴わない電力とされています。

コイル成分が多く電圧に対し電流が遅れている場合、進相コンデンサなどの容量性の機器を設置することによって、遅れている系統の電流を押し進める事ができます。コイル成分で遅れた電流をコンデンサ成分で打ち消すことができれば、送電効率を向上させることができますので、特に高圧以上の需要家では進相コンデンサ設備を受電設備に設置してもらい、無効電力を補償する措置を講じるよう求めています。

通常、一般需要家に設置されている電気機器のほとんどがコイル成分のため、誘導によって電圧に対し電流が遅れた状態になり、無効電力の供給が必要となります。白熱電球や電熱器など、電力を熱として使用する設備は無効電力がほぼ0となりますので、最も効率良く電力を消費している状態といえますが、電熱機器だけが設置される需要家などは有り得ず、大小様々な電動機が設置されるのが通常です。

無効電力は電力会社から供給することも可能ですが、前述のように発電・変電設備を過大にしなければいけません。無効電力は負荷の末端で調整することが可能であり、需要家で無効電力を補償してくれれば電力会社にメリットがありますので、このように無効電力を調整する設備を設ける対価として、電気代の基本料金低減を行っています。

力率の考え方

電気機器の消費電力の計算には、力率という指標が影響します。力率とは交流電源における「皮相電力」と「有効電力」の比率を示したものであり、1に近いほど無効電力が小さく、皮相電力と優子電力が同じ値に近いことになります。

白熱電球など電気エネルギーを熱と光に直接変換する機器や電熱器など、コイル成分を持たない負荷であれば、交流電源であっても電流の遅れや進みが発生しないために、力率は1となります。

力率の良し悪しは、電路にある「コイル成分」と「コンデンサ成分」の量が影響します。国内に流通している電気機器はそのほとんどがコイル成分であるため、電流が電圧よりも遅れてしまい、遅れた分の無効電力が必要となります。

遅れている分だけコンデンサ成分を入れれば、電流の遅れを進ませることができ、無効電力を低減させることでWとVAの数値差を小さく抑えられます。電流の遅れを改善することで、効率の良い電力消費を行うことができるため、力率改善と呼ばれています。

例えば電熱器など、消費する電力の全てが熱に変えられる電気機器の場合を考えて見ます。電熱器には無効電力が存在しないため、力率は1.0になります。「有効電力/力率 = 皮相電力」という式で皮相電力を算出してみた場合、1,000Wの電熱器を計算すると、

1,000[W] / 1 = 1,000[VA]

という計算式で表すことができ、有効電力と皮相電力は同じ数値になります。これに対して、モーター類や空調機など、力率が悪い機器で算出をする場合を考えて見ましょう。モーターなどの回転機械は力率が悪いため、無効電力が発生しますので、皮相電力が有効電力よりも大きくなります。例えば、消費電力1,000Wで力率0.94の空調機で計算した場合、

1,000[W] / 0.94 = 1,064[VA]

となります。1,000Wは機器を運転させるために有効に消費されている電力ですが、64VAの電力ロスが発生しています。消費電力1,000Wと表現されていても、実際はそれ以上の電力を供給しなければならないことがわかります。先程計算した64VA分が無効電力に該当し、電気機器の運転に寄与しない無駄なエネルギーとなります。

無効電力と電力会社の対策

電力会社にとって、無効電力を発電機から供給するのは設備増大を伴うため避けたいものです。無効電力を少なくすれば、電力会社の配電線や送電線の持つ本来の性能を発揮することができます。無効電力を少なくするためには、送電先の需要家が動かしている電気機器の力率に左右されてしまうので、需要家が対策しなければ無効電力を削減することができません。

電力会社では、無効電力を小さくするために、電気料金の割引施策を採用しています。需要家側が積極的に力率改善してくれれば、電気料金を割引するという手法です。例えば、進相コンデンサの設置によって力率を改善をしてくれれば、電気料金を改善力率の分だけ安くするというような方法です。

電力会社の発電・変電・送電・配電設備全ては、皮相電力以上の設備容量が求められますから、無効電力が大きいほど、電力会社が用意すべき発電・変電設備の規模が大きくなってしまい経済面で不利となります。需要家側で無効電力を小さくしてくれれば、電力会社側の発電・変電設備の規模を小さくすることができるため、コストメリットが生まれます。

高圧需要家では、進相コンテンサなどを導入し、需要家内の無効電力を低く抑えることに協力してくれた需要家に対して、電気料金を割引します。基本力率を85%とし、1%増減するごとに基本料金が1%割増・割引されます。このような電気料金の契約方式により、需要家側での力率改善を促し無効電力を小さくしています。

力率による基本料金の増減は、高圧以上の受電を行っている需要家のみとなりますので、一般家庭や小規模事業所など、低圧受電を行っている需要家では、割引対象となりませんので注意しましょう。