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電気設備の知識と技術 > 電気設備設計の基礎知識 > タイムスイッチ・タイマースイッチの種類と特徴

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タイムスイッチとは

タイムスイッチとは、所定の時間が到来したタイミングで接点をオンオフするもの、または所定の時間に接点を開放または閉止するための信号を送信する制御機器である。

タイムスイッチ本体に大きな電気容量を確保し、照明や換気扇を直接オンオフできるタイプのものと、マグネットスイッチなど別の継電器をオンオフさせるための信号を送信するものの二種類が代表的である。

直接負荷をオンオフできる機種は、大きな電流を流すため、比較的大型にできている。対して、遠隔操作するためのタイムスイッチは、分電盤や制御盤に組み込むのに都合が良いように、小さな形状である。大きな電流をオンオフすることがないため、小型に製作できる。

タイムスイッチの種類として、毎日同じ動作をする24時間タイムスイッチ、週間の動作設定を行う週間タイムスイッチ(カレンダータイムスイッチ・ウイークリータイムスイッチ)、一年を通して動作設定ができる年間タイムスイッチ、日出と日入りの時刻が記録されており照明制御に都合が良いソーラータイムスイッチなど、タイムスイッチにも各種仕様があり、用途毎に使い分けがされている。

タイムスイッチの専門メーカーとしては、制御盤に組み込むなどする場合、オムロンなどが代表的である。

盤内に組み込まれたタイムスイッチの写真

タイムスイッチの種類

電子式タイムスイッチ

電子機器を内蔵し、1分単位のきめ細かい制御が可能なデジタルタイムスイッチである。停電補償機能も標準的にもっており、きめ細かな設定が可能であるが、タイムスイッチの中では高価である。

クォーツモーター式タイムスイッチ

水晶の発振によってモーターを動かす機構を内蔵するタイムスイッチである。クォーツモータ式には停電補償機能をもっているため、停電しても時間設定が狂う事がない。

同期モーター式タイムスイッチ

交流電源の周波数に同期して動作するモーターを内蔵したタイムスイッチである。停電補償機能をもっていないため、停電後には時間の再設定が必要である。構造が簡易なため、コストはもっとも安価である。

24時間タイムスイッチ

24時間タイムスイッチは、設定した時刻にオンオフするタイムスイッチで、毎日同じ動作を繰り返し行う。負荷を直接入切できる簡易なタイムスイッチでは、15分を最小目盛とした時間設定が可能で、オンオフ動作をセットピン(爪)の位置などで設定するものが多く流通している。最近ではデジタルタイムスイッチも多く販売されており、押しボタンなどで1分からの設定が可能な製品もある。

繰り返しオンオフできる回数は、タイマーのグレードによって数多くあり、2回程度のものから、100回近い回数をオンオフできるものまで多岐に渡る。

直接負荷をオンオフするタイムスイッチは、1,000Wを超えるような負荷をオンオフできないことが多く、300Wから600Wなど、比較的小規模な照明回路などで使用される。タイムスイッチの接点容量はメーカーの機種毎に数値に開きがあるので、採用する予定のタイムスイッチ仕様を確認し、過負荷にならないように負荷を振り分ける。接点容量以上の負荷をタイムスイッチに流すのは、異常発熱の原因となるばかりか、オンオフ時に制御部が焼損するおそれがある。

週間タイムスイッチ

週間タイムスイッチは、一週間のオンオフ動作を記録しておき、日毎に違う動作ができる。1週間の動作を記録しておき、繰り返し動作をさせるタイムスイッチであるが、曜日ごとにオンオフ設定できる製品もあり、月曜日から金曜日までの設定と、土曜日・日曜日の設定をしておけば、平日と休日で照明の点灯時間を変えるといった制御が可能である。

電源を直接オンオフする簡易な週間タイムスイッチの場合、週の1日に多くのオンオフ設定を記録できないため、セット可能なポイント数に注意が必要である。

ソーラータイムスイッチ

タイムスイッチ内に、地区毎の日出と日没の時刻が記録されており、タイマーに月日を設定することで、太陽が昇り始めた頃に照明をオフにしたり、逆に太陽が沈んだ頃に照明をオンにするの制御が可能である。

従来は24時間タイムスイッチに自動点滅器を組み合わせ、日出や日没の時間と、自動点滅器への日射有無を同時に適用したAND制御の回路とするのが一般的であるが、ソーラータイマーを使用して時間制御をする方法も広く普及している。

ソーラータイムスイッチを使用した場合、日出と日没の時間によってオンオフするため、精度の良い照明のオンオフが可能である。24時間タイムスイッチと自動点滅器を組み合わせた制御回路の場合、自動点滅器が経年劣化などで汚れが蓄積すると、正常な受光ができなくなり、点滅時間が狂う可能性がある。

タイムスイッチの機能

停電補償機能の有無

停電補償機能とは、停電や異常な電圧降下に対しても、内蔵するリチウム電池等の別系統からの電源供給により、時間設定・動作設定を維持する機能である。多くのタイマースイッチが、10年程度の停電補償機能を持っている。

タイムスイッチを電気設備として計画する場合、停電補償機能が不可欠である。万が一の事故停電の他にも、年に数回の停電を伴うメンテナンスなどでも、電源供給が途絶えることは考えられる事態であり、停電補償機能を持つタイムスイッチを選定することが望まれる。

停電補償機能を持たないタイムスイッチを使用した場合、停電時にはタイムスイッチの記録が消えてしまったり、時間がずれてしまうことになるため、計画時の自動運転に支障が出る。

内線規程でも、タイムスイッチには停電補償機能を付与することが推奨事項として記載されているため、選定する場合、原則として停電補償機能付きとするのが良い。

回路数

タイムスイッチには、回路数の設定がある。1回路は、タイムスイッチひとつに対し、1系統の回路をオンオフできるタイムスイッチである。多回路型のタイムスイッチは、ひとつのタイムスイッチに複数の接点があり、接点ごとに時間設定を変えて、オンオフするプログラムを組むことが可能である。

タイムスイッチの接点容量と突入電流

タイムスイッチは、定常時の電流と突入電流の両方を検証して計画する。電動機、蛍光灯や白熱電球は、負荷をオンにした瞬間に突入電流が流れ、その大きさは定格電流の7倍から10倍に達する。

タイムスイッチの接点容量に対して、単純に電流×電圧で電力を求めることはできず、突入電流を考慮して余裕ある接続台数を設定しなければならない。

タイムスイッチに突入電流による過負荷が発生した場合、接点が融着し外れない。タイムスイッチに表記されている電気容量は、突入電流や始動電流を考慮していない電熱負荷であることが多いため、水銀灯や蛍光灯など、過渡電流が発生する機器の場合、記載されている接点容量よりも小さな負荷しか制御できないことがある。

容量を超えた負荷をオンオフすると、制御機器を焼損するおそれがあるため、必ず接点容量以下の負荷を接続するようにし、超過しないように計画することが重要である。水銀灯や蛍光灯照明が多い場合には、器具台数と電気容量には細心の注意を払う必要がある。

タイムスイッチの設置場所の温度

タイムスイッチに内蔵する時計は、周囲環境によって精度が変わる。タイムスイッチを寒冷な場所に設置したり、直射日光の当たる屋上など、温度が極めて高くなるような場所に設置すると、内蔵時計が狂い、正常なオンオフができない。

オンオフ回数と寿命

タイムスイッチは接点のオンオフを行う駆動部を内蔵しているため、規定の回数を超えると、正常に動作しない。メーカーごとに推奨期間が違うが、概ね50,000回~100,000回のオンオフ、期間にして5年~7年程度使用する頃に寿命が来るので、新しいタイムスイッチに交換する。

 
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