HIDランプの種類と特徴

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HIDランプとは

HIDランプは、高輝度放電灯( High Intensity Discharge Lamp )の略称で、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀灯などを総称したものを示しています。

特に大光束、長寿命で、ランプ交換の頻度を抑制することが出来、経済的な照明設計を可能にしています。コンパクトなHIDランプも多数開発されているため、小型スポットライトに採用し、器具が目立たない照明器具が多数製作されています。

HIDランプの発光原理は蛍光灯とほぼ同様であり、ランプを点灯させるためには安定器やイグナイタを必要とします。蛍光灯との大きな違いは、即時点灯と再点灯に時間がかかることです。

HIDランプを点灯させるためには、内部に充填されている水銀を完全に蒸発させるための時間が必要であり、数分から十数分の時間が必要です。また、一度HIDランプを消灯させてしまうと、再度点灯させるまでには点灯に要した以上の時間が必要になります。

例えば、電圧が低下するなどしてHIDランプが消灯してしまうと、再点灯まで十数分の時間を要してしまいます。このような特性を持っているため、停電時の非常灯などに使用するのには適していません。

HIDランプの用途

HIDランプは多様な場所で使用されていますが、多くは大光束が必要な用途です。道路照明、公園などの庭園照明、高天井の大空間になる工場や倉庫、スタジアムやプールなどのスポーツ照明などが代表的です。広告や看板などのライトアップにも広く使用されています。

HIDランプは、演色性と発光効率を調整することが可能な特徴があります。同じ消費電力でも、演色性を犠牲にして大きな光束を得ることができますし、逆に光束が低くなりますが、太陽光や白熱電球に近い、高い演色性を求めることも可能です。

全般照明として使用するだけでなく、紫外線照射用のランプとして使用し、塗装や印刷などへの利用、殺菌や洗浄、植物の育成用という使い方もされており、HIDランプの応用分野は、多岐に渡り広まっています。

HIDランプの発光原理・構造

HIDランプの発光原理は、蛍光灯と類似した方式となっています。放電によって、発光管の内部に充填された金属蒸気の光放射が利用されており、始動時には加熱された電極から熱電子が放出され、電子が発光管内の金属蒸気に接触して、可視光線となりますす。

蛍光灯と違い、HIDランプは金属蒸気圧や温度が高く、可視光線の量を多くできるという特徴があります。蛍光灯では、高効率インバーターを利用したHf照明でも、5,000〜6,000lm程度の光束を確保するのに留まりますが、HIDランプでは数万〜数十万を超える光束を得ることが容易となっています。

HIDランプは、セラミックや石英ガラスを用いたメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀ランプに分類されます。メタルハライドランプは、タリウム・インジウムといった金属とヨウ素の化合物が充填されます。高圧ナトリウムランプは名称の通りナトリウムが充填されており、水銀ランプも同様に水銀が充填されており、これら金属原子に熱電子が衝突することで、可視光線を得ることができます。

HID照明の寿命・耐用年数

HID照明は安定器が内蔵されており、安定器の寿命は8年〜10年です。耐用年数を超過した安定器は絶縁性能が低下し、発火・発熱を発生するおそれが高くなり、不点灯や焼損事故の原因となります。また、安定器口出線の劣化、配線劣化による絶縁性能の低下、ソケットの劣化などが考えられます。

HID照明は広範囲に照度を確保するため、鋼管照明ポールに設置されていることが多いですが、ポール本体にも寿命があります。気象条件や設置場所によって大きく変化しますが、腐食、金属疲労などによって劣化し、ポールの倒壊や照明器具の落下など、大きな事故につながることがあります。

通常のメンテナンスを実施したポール照明においては、5年程度では大きな腐食を発生することはありませんが、6年〜10年以上経過してくると、劣化が進行し腐食が広がります。ポールの再塗装などを実施するなど、安全性能を満足できる管理が必要です。

安定器の仕組み・仕様

安定器は、HID照明を安定して点灯させるために必要な照明器具の付属機器で、ランプの放電を開始し、ランプ点灯後は放電を安定させるために必須です。点灯させるHIDランプの種類に応じて、適合する安定器を選定する必要があります。安定器には、一般型安定器、低始動電流安定器、パルス始動形安定器などがあり、高性能な安定器ほど本体価格が上がりますが、電源装置や配線の負担を低減させることが可能です。

一般型安定器

一般型安定器は回路が簡単で安価ですが、比較的入力電流が大きく、始動電流が高くなる傾向にあります。低力率と高力率の製品がありますが、高力率を選定するのが通常です。高力率の安定器は、低力率の安定器に比べて、入力電流が60%程度まで低減することができるので、配線への負荷を軽くし、経済性や安全性を高めることができます。

水銀灯の点灯に使用するのが一般的ですが、メタルハライドランプや、高圧ナトリウムランプの点灯に使用することも出来ますので、メーカーの適合表などを参考に、照明設計を行うのが良いでしょう。

低始動電流型安定器

始動時の入力電流を小さくした安定器です。通常、安定時の電流に対し始動時電流は1.6〜1.8倍の大電流が、安定して点灯するまで流れますが、低始動電流安定器を使用することで、始動電流が1.4倍程度まで低減されます。これにより、電源設備や配線の負担を小さくし、設備費の低減を図ることが可能になります。既存改修工事などで、既存配線の電気容量に余裕がない場合、多数の照明器具を点灯させる場合などに適しています。

定電力型安定器

定格電圧から外れた電圧でも、安定した点灯を維持することができる安定器で、電圧変動に対して、一般型よりも電力変動が小さいため、明るさの変化を小さくすることができます。電源容量が大きな設備を設置している工場など、電圧が大きく変化する環境に適しています。

安定器の定期的通電による保全

安定器は、長期間通電せずに放置すると、空気中の水分を吸収して絶縁劣化を引き起こします。定期的に通電するのが理想ですが、通電が困難な場合は、出来る限り湿気が少なくなるよう換気を行い、絶縁劣化を防ぐ配慮が必要です。

安定器の安全装置

安定器は、天井裏、屋上など過酷な環境に設置されることが多く、故障が発生しても気付かれないことがあり、発火や焼損による事故が火災に繋がるおそれがあり危険です。よって、安定器本体には多重に安全装置が組み込まれており、発火事故を防止しています。

安定器では「サーマルプロテクタ」と呼ばれるヒューズ保護が一般的です。安定器のヒューズには、異常電流の発生で動作する電流ヒューズと、異常温度で動作する温度ヒューズが直列に接続されており、どちらのヒューズが溶断しても、電源回路が遮断されるよう構成されています。

安定器内蔵のヒューズは、溶断した瞬間に電路が遮断され、以降は異常電流・異常温度がなくなっても、復帰することがありません。安定器本体は交換となります。

HIDのランプ・安定器のトラブル

HIDランプはワット数やランプ種別に合わせて安定器が作られているため、適合しないランプと安定器を組み合わせると、ランプ破損、寿命低下、焼損などの事故につながります。

ランプと安定器の誤使用

安定器よりもランプのワット数が小さい場合、安定器が大容量なためランプが過負荷点灯状態となり、ランプが破損することがあります。安定器よりもランプのワット数が大きい場合、ランプを調光して使用しているのと同じ状態となり、ランプの点灯異常、光色異常、ちらつきなどが発生します。また、ランプ寿命が短くなります。

周波数の間違い

周波数50Hzの電源に60Hz用の安定器を接続すると、安定器の温度上昇につながり、寿命が短くなります。逆に、周波数60Hzの電源に50Hz用の安定器を接続すると、ランプの安定点灯までの時間が長くなり、ランプが暗くなります。また、寿命が短くなります。

過電圧・不足電圧電源の供給

過電圧の電源を安定器に供給すると、ランプが極端に明るく点灯し、短寿命になります。また、安定器の温度上昇につながります。不足電圧電源を供給すると、安定点灯までの時間が長くなり、ランプが暗くなり、立ち消える可能性が高くなります。ランプの寿命は短くなります。

水銀灯・メタルハライドランプの種類と特徴

水銀灯

水銀灯は、発光管内に水銀とアルゴンを封入し、水銀蒸気圧を数気圧以上に高めて発光させるHIDランプの一種で、可視光を多量に放出するため照明用ランプとして広く普及しています。

ランプ種別が非常に多く、汎用性が高いHIDランプです。12,000時間の寿命を持ち、60lm/Wの比較的良好な効率を持っています。保守率が良く、寿命に近づいても70〜80%の光束を確保しています。

反面、演色性はRa40前後のため、展示照明や演出照明としては不向きな特性があります。また通電から発光まで数分の時間を要し、瞬時停電などによって消灯してしまうと再度発光するまで数分かかります。このような特性から、頻繁な入切をする部屋や場所には使用することができません。これは他のHIDランプでも同様です。

3900K、4200Kの白色を示す「蛍光水銀灯」と、5800Kの昼白色を示す「透明水銀灯」があります。透明水銀灯は特に演色評価数が低く、Ra14程度となっていますので、色を忠実に再現するという用途には使用することができません。

水銀灯のうち、安定器をランプ内に内蔵し、外付け安定器を不要とした「バラストレス水銀灯」という製品もラインナップされています。バラストレス水銀灯は色温度3700K程度の温白色を示し、青と赤を混ぜあわせたような色合いとなります。ただし、発光効率が非常に低く、20lm/W前後の値しかありませんので、大光束を得たい場合には注意が必要です。

色温度が4,000K前後と6,000K前後という中途半端な数値なので、HIDランプを蛍光灯や白熱灯と合わせて使うと色違いが発生します。うまく計画しないと色ムラが発生するので、単独で使用することも考慮します。

水銀灯の発光原理、構造、LED照明への交換メリットについては水銀灯・バラストレス水銀灯で、より詳細に解説をしています。

メタルハライドランプ

発光管を外管に収容した二重構造となっており、ガラスを石英ガラスを使用することで高温に耐える構造としています。外管は硬質ガラスが採用されており、発光管の保温、酸化防止などの役割があります。発光管内部には、タリウム・インジウムなどの金属ハロゲン化物が封入されており、単体金属よりも蒸発しやすく高い光束を得ることが可能で、寿命を長くできるというメリットがあります。

添加する金属体の種類を選定することで、放電ランプの特徴に変化を持たせることができます。ハロゲン化金属にはヨウ化ナトリウム、ヨウ化スカンジウムなども用いられており、色の見え方の改善が図られています。水銀灯と似た発光原理と性質を持っています。

メタルハライドランプには、外管の破損防止を図った三重管タイプがあり、発光管の破損による外管の破損を防止します。これにより、全面ガラスなどが付属していなくても、照明用途として使用することができます。通常は、発光管の外側に外管のある二重管方式となっていますが、全面にガラスや金網が付属した照明器具で使用するため、ガラスが破損しても悲惨することがありません。

投光照明としては、スタジアム照明や、撮影用照明として、1kW〜6kWといった大容量ランプが使用されています。寿命は一般用途よりも短く、1,000〜3,000時間となっています。一般照明用途よりね、より高光束で高演色なランプとして設計されているのが特徴です。

白熱電球やハロゲンランプとちがい、電圧を印加するだけでは点灯せず、安定器など点灯装置が必要になります。メタルハライドランプを安定放電させるためには、蛍光灯のように、ランプ電極間の電子の移動を促進させ、ランプ電圧の変動に伴った制御を行い、ランプが安定放電した時点で電力を一定にするという複雑な制御が求められます。

光学機器用としては、プロジェクターやOHP、光ファイバー照明などの光源として使用されますが、一般照明用途よりも寿命が短くなる傾向にあります。400W程度の出力を持つメタルハライドランプが、主に採用されています。

ランプ寿命は比較的長く、9,000〜12,000時間を確保しています。また、水銀灯用の安定器で点灯することができるため、ランプを交換するだけで、容易に照明環境を変更することが可能です。

マルチハロゲンランプ

水銀灯と同じ安定器が使用可能で、発光効率や演色性を改善したHIDランプです。メタルハライドランプのカテゴリに分類されます。水銀灯よりも高い光束を得ることが可能ですが、寿命が3,000時間〜6,000時間程度短くなってしまい、かつ保守率が良くないため、初期照度と末期の照度に差が大きく、点灯直後には明るく感じ、数ヶ月も使用すると暗く感じてしまうというおそれがあります。

金属そのものは蒸気圧が低いですが、ヨウ化物のようなハロゲン化物として水銀蒸気内に封入することで、高い蒸気圧を示します。高圧放電ランプの中心部では、アークによって発生する熱の影響でハロゲン化物が解離し、石英ガラス管の表面に近づくと、ハロゲンと再結合して金属ハロゲン化物に戻るという、ハロゲンサイクルが利用されています。

ナトリウムなどのアルカリ金属は、高い蒸気圧を維持できる性質がありますが、石英ガラスを侵食してしまうおそれがあります。しかし、ハロゲン化物にすることで石英ガラスの侵食が無くなり、ガラス管内に支障なく封入することが可能になります。

メタルハライドランプと同様に、発光管の内部に複数の金属原子を封入し、金属上記の放電による発光を利用したHIDランプです。複数のハロゲン化金属を利用しているため、マルチハロゲンという名称が付けられています。主に、さわやかな白色の光を放ちます。照射する対象の色を表現する性能となる演色評価数は65〜70を示し、水銀灯より比較的高い数値を示します。

マルチハロゲンランプは、一般の水銀灯安定器で点灯できるものと、専用安定器で点灯させるものがありますので、選定には注意が必要です。また、点灯方向もランプによって定められており、下方向、上方向、水平方向、全方向の四種類を、照射角度に応じて使い分けます。

また、寿命が短いことから、稼働時間の長い工場などでは、長時間点灯によりランプの交換頻度が多くなるため、経済性が悪くなることがあります。ランプ毎に照明の点灯方向の制限があるので、下向きに使う場合・横向きと言った条件でランプが適合しない場合がありますので、器具選定の際には注意しましょう。

マルチハロゲンランプやメタルハライドランプを設置する場合、照射角度に注意する必要があります。全周360度どの方向を向けても良い照明器具というのは稀で、一般的に、放熱性能などを維持するため、照射角度がランプによって定められています。ランプを傾ける場合は適合する方向とし、適合外の方向に向けないよう注意しましょう。適合外の方向に向けて照射すると、異常発熱などにより期待寿命を満足できなかったり、焼損事故が発生する危険性があります。

SC形マルチハロゲンランプ

SC形は、マルチハロゲンランプの内部にスカンジウムやナトリウムのヨウ化物を封入したランプです。高効率で寿命が長く、3,800〜4,600Kの白色光を放つ方式です。大出力で長寿命を実現することができ、競技場など大光束が必要な場所に適しています。色ばらつきが少なく、ライトアップに向きますが、50Hz地区ではランプのチラツキが発生することがあります。水銀灯に比べ、高い発光効率を持っています。

大出力のランプが製造されており、400〜1000W級の大光束ランプがラインナップされているため、屋外競技場や景観照明などに適しています。色温度は3,800〜4,300Kの、昼白色・温白色に近い白色を放ちます。

標準形マルチハロゲンランプ

ヨウ化ナトリウム、タリウム、インジウム、リチウムを封入し、それぞれが放つ発光スペクトル「赤・緑・青・紫・橙」を混光することで、強い白色を出す方式です。比較的低出力で問題ない、工場の天井や屋内競技場などに適しており、高照度でもちらつきの発生が少ないと言われます。

水銀灯と比べて高い発光効率を持ちますが、SC形のマルチハロゲンランプよりも効率が悪いという欠点があります。SC形よりも出力が小さい商品が主力で、100〜400W程度となるため、屋外スタジアム照明等には適していません。色温度はSC形と同様、4,300K程度のさわやかな白色を示します。

低温環境における点灯

マルチハロゲンランプは低温環境に強く、周囲温度-40℃でも点灯させることができます。ただし、周囲温度が著しく低い環境では、期待寿命を維持できなかったり、所定の光束を確保できないといった問題が発生するため注意が必要です。一般的に-40℃の環境でマルチハロゲンランプを使用した場合、寿命が20%程度短くなると言われています。

また、光束も20%程度低減しますので、照度計算を行う場合は、計算上の光束を20%減じて計算しなければ、所定の照度が確保できないことが考えられます。照度や寿命の低下が懸念される場所では、高圧ナトリウムランプを使用するなど、他の光源の採用を検討することも良いでしょう。ただし、高圧ナトリウムランプは演色性が悪く、照射対象をオレンジ色に見せてしまいますので、照明環境の用途によっては、採用できないことに注意が必要です。

イグナイタ

ランプ電極間の絶縁を破壊し、放電経路を作るためにイグナイタという装置が使われます。イグナイタは、電極の余熱を行わずに放電ランプを始動させるためのパルス電圧を発生させる装置のことです。イグナイタの働きにより、放電経路にパルス電圧を印加し、電子の移動を促進させます。イグナイタにはコンデンサとトランスが内蔵されており、高いパルス電圧を発生させる仕組みがとられています。イグナイタは、蛍光灯のスターターなどと違い、電極に余熱を与えずにランプを点灯させます。

ただし、ランプに放電経路が確立しても水銀蒸気は完全蒸発の状態ではないため、ランプ電圧が低く所定の輝度・光束・演色性が確保されていません。点灯後15〜20秒経過すると、ランプ内部の水銀蒸気が上昇しランプ電圧が高くなります。2〜3分経過すると、ほぼ安定した電圧を維持することができます。安定状態となったランプは、ランプ電力が一定になるよう安定器を用いて制御され、消灯までの間、一定の電力・電圧・光束を維持します。

HIDランプの一般的な特徴ですが、電圧が変動することによる立ち消えが発生することがあるため、電源回路の電圧管理に注意が必要です。5%異常の急激な電圧変動が発生すると、ランプが立ち消えるおそれがあります。

照明器具には、安定器にイグナイタが内蔵されているものと、照明器具にイグナイタが内蔵されているものの二種類があります。安定器にイグナイタが内蔵されている器具は、ランプ直近でパルス電圧を発生させるため、安定器から照明器具までの配線にパルス電圧が印加されず安全です。また、配線長を長くできるという利点があります。

安定器にイグナイタが内蔵されている場合、安定器から照明器具までの配線に高いパルス電圧が印加されるため、配線長の制限、絶縁体にキズが付いている場合の絶縁破壊の危険性など、施工によって安全性が左右されます。ただし、設備費は安価になる傾向があります。

セラメタの種類と特徴

発光管にアルミナセラミックが使用され、発光管の温度を非常に高くできるため、発光効率がより高くなっています。ランプ効率は 100lm/W程度という高効率を示し、わずかな電力でより多くの光束を確保することが可能です。

メタルハライドランプにありがちな点灯方向の制限は、セラメタには存在しません。よって上向き、横向き、下向きと、自由に角度調整することが出来るため、ライトアップ用としても有利なランプです。演色評価数も非常に良く、70W形ではRa90程度、150W形ではより良くRa95程度を示します。商品などの色を忠実に見せるのに適したランプと言えます。

色温度は3,000K(電球色)、3,500K(温白色)、4,300K(昼白色)から選択でき、多様な用途に適合します。また、寿命も12,000〜16,000時間と長いので、2年〜3年はランプ交換が不要となり、メンテナンス費の削減にもなります。

セラメタの欠点として、ランプ単価の高さがあります。セラメタはランプ1本の価格が比較的高く、一般的なセラメタ70Wで15,000円程度、セラメタ150Wでは17,000円程度の定価設定がされています。

また、HIDランプを点灯させるためには安定器が必要ですから、これもコストアップとなります。電子安定器は30,000円〜40,000程度が定価設定されていますので、大量発注によるいくらかの割掛があったとしても大きな予算を必要とします。

HIDランプの共通特徴ですが、不点灯、点灯・消灯の繰り返し(立ち消え)、極端な照度低下、光色の変化などが発生した場合、ランプの寿命と判断することが出来ます。また、ランプの外管内面が茶色に変色するなど、消灯時に視認することができる寿命現象も発生し始めます。

セラメタプレミア

セラメタプレミアは、従来のセラメタと比較してランプ効率が110lm/Wと高く、サイズがコンパクトであり、セラメタを使用した照明器具よりも、本体を小型化することができます。

主に、ダウンライトとしての利用が多く、店舗照明等で広く使用されています。製品ラインナップとして、35形、70形、100形の3種類があり、小型器具から大型器具までカバーされています。

ダウンライト以外にも、小型スポットライトなどにも広く利用されており、商品への投光や建築物のライトアップなど、多彩な用途に適合します。セラメタ同様、ランプ単価が高い点には注意が必要です。

セラメタH

水銀灯と同様の形状をしたセラミックメタルハライドランプです。ランプ効率が110lm/Wと非常に高いのが特徴です。例えば水銀灯は55lm/Wしかありませんので、単純比較して倍の性能を持っており、水銀灯と同一の照度を得るために必要な電力を、およそ半分まで削減することが出来ます。

また、ランプ寿命も18,000時間と長く、ランプ交換に掛るメンテナンス費を低く抑えることが可能です。色温度は4,100Kの昼白色のみとなります。セラメタHは一般水銀灯やマルチハロゲンランプを点灯させるための水銀灯安定器を利用できるため、ランプ交換だけで大きな省エネ効果を発揮することができます。

定電流始動型の安定器を利用すると、始動時の電流を小さく抑えることが出来るため、多数のランプを接続することができることになり、配線コストの低減にもつながります。

ただし、セラメタやセラメタプレミアと違い、セラメタHは点灯方向の制限があり、下方向の照射しか適合しません。よって、セード型の吊り照明やダウンライトなどしか使用できませんので、ランプ選定には注意が必要です。また、色温度は4100Kの白色1種類しか選択できないため、既存照明の色温度を変更できない場所では、採用が制限されます。

セラメタHの製品ラインナップは、190形から360形の比較的大型サイズが揃えられており、工場や倉庫、体育館など、大空間を大光束によって照射する用途で、広く用いられています。

セラミックメタルハライドランプ(コンパクトHIDランプ)

メタルハライドランプの一種で、発光管の材料にセラミックを使用したものは、セラミックメタルハライドランプとして普及しています。演色性が高く、ランプ効率も良好で、ダウンライトやスポットライト等に使用されています。封入されている金属ハロゲン化物との反応が少なく、発光管内の温度維持が良好なため、蒸発量の確保が容易となり、発光効率の向上や寿命の延長、演色性の向上などが期待でききます。

また、ランプによる個々の特性のばらつきが小さいため、多数の器具を並べて使用するような環境や、ライトアップなどの用途にも良好な特性と言えます。

セラミックメタルハライドランプは、70W・150W・250Wといったラインナップがあり、小型器具でも大光束を得ることができます。演色性もRa90以上を確保することが出来、寿命は12,000時間以上確保されているため、オールマイティなHIDランプです。一般的には、セラメタという名称で呼ばれています。

セラミックメタルハライドランプは、商業施設のベース照明やライトアップ用のスポットライト照明として、非常に広く普及しています。ランプは直視できないほどの強い輝度を示し、室内を昼間のように明るくすることができます。ランプ・安定器の単価は比較的高価で、ランプ1本で15,000円前後、安定器は30,000円前後になります。

2008年から、パナソニック電工にてセラメタプレミアランプという製品が販売されており、ランプ単価は非常に高価ですが、ランプ形状が非常に小型・軽量で、従来のセラミックメタルハライドランプよりも小型の器具を作ることが出来るようになりました。

特に、ダウンライトにおいては従来、セラミックメタルハライドランプを使用すると150φの口径の製品がほとんどでしたが、セラメタプレミアランプでは100φや125φの小型器具を製作することができるため、天井に設置するダウンライトが目立たなくなり、スポットライトの場合も器具サイズが小さくなるため、デザインの幅が広がったと感じています。

なお、ランプ点灯時や点灯後は、ランプ本体が非常に高熱になることに注意が必要です。消灯した直後はランプ表面が数百度の高熱になっていますので、十分に放熱するため約30分は触ってはいけません。高熱状態のまま、軍手やウエスでランプを触ると、発火するおそれがあります。また、高温のランプを床に置いたりすると、仕上げ材が発火したり焦げたりするので、必ず30分程度は放置して、冷ましてから取り扱うようにしましょう。

CDMランプの種類と特徴

CDM-Tランプ

35W〜250WまでのHIDランプで、コンパクトな形状をしているため、外壁のライトアップやスポットライトによる投光など、大光束が欲しい場合で、かつ器具を小型にしたい場合に使用されます。演色性はRa80以上を確保しており、照射対象の色表現は良好です。口金はピンタイプで、G12口金となっています。

セラメタと似た性質を持っており、メーカーの製品によりますが、セラメタと同じ安定器で点灯することができ、口金のサイズも同じです。ただしこの場合、同じ色温度・出力の製品を選んでも若干色味が違うので、混在させると色違いがはっきりわかりますので、統一させるようにしましょう。

CDM-Rランプ

35Wまたは70WのHIDランプで、ランプに反射板を持たせ、光の角度を選択できるようにしたものです。スポットライト用として使用されます。ダイクロイックミラー付きハロゲンランプと似た形状をしていますが、同一光束を得る場合も大きな省エネルギーを図ることができます。演色性はRa90以上を確保しており、照射対象の色表現は良好です。他のHIDランプと比較すると、寿命が若干短い傾向にあります。

ランプを変えるだけで、光の大きさや角度までを変えられることができるため、照射対象の形状や距離によってランプを使い分け、最適な光効果を得ることが可能になります。一般的なスポットライト照明器具では、灯具の反射板によって光の角度が決められてしまいますが、CDM-Rランプが使える灯具であれば、ランプを変更するだけで様々な配光を得ることができます。

光の照射角度によって、PAR10・PAR20・PAR30といった表記がされています。PARとは( Parabolic Aluminum Refrector )の頭文字を取った言葉で、パラボラのように湾曲したミラーに、アルミニウム製のリフレクター(反射板)を設けたものです。ステージ照明に極めて広く使用されている「パーライト」も、このPARを意味しています。

ナトリウムランプの種類と特徴

ナトリウムランプはHIDランプの一種で、セラミック発光管内部にナトリウムを封入し、ナトリウム蒸気内の放電を発光利用した電球です。発光管の内部圧力によって、高圧ナトリウムランプと低圧ナトリウムランプに分類されます。

ナトリウムランプは色温度2,000K前後の赤みの強い光を放ち、その光は霧や粉塵の透過性が良いため、道路照明やトンネル照明として多用されています。発光効率と寿命を重視した「効率本位形」と、演色性を高めるために発光効率と寿命を犠牲にした「演色改善形」「演色本位形」のナトリウムランプが広く使用されています。

公園、道路、トンネルなどの照明として広く普及しており、消費電力に対して得られる光束が多く、煙や霧を透過する強い光の性質が、安全確保のための照明として適しています。演色性を高めると、効率が悪くなり、寿命が短くなるという性質もあるため、用途によって製品を使い分ける必要があります。

高圧ナトリウムランプ

オレンジ色の光を放つHIDランプです。概ね2,200K前後の光で電球色よりも赤みが強く、たき火に近い色味の光と言えます。道路照明等に使用することを目的とした「効率・寿命」を重視したタイプ、商業施設等で使用することを目的とした「演色性」を重視したタイプなど、用途に応じて数種類が販売されています。

効率重視形のナトリウムランプは、全ての照射対象物の色をオレンジに見せてしまう、演色性の低さがありますので、演出用として使用する場合はその特性を十分に理解しましょう。高圧ナトリウムランプの光は霧やほこりなどを良く通すため、道路照明用として採用されています。寿命は約24,000時間を確保しているため、ランプ交換の煩雑さを低減することが可能で、所定の照度確保に最適であることが理由です。

効率重視形高圧ナトリウムランプ

効率重視形高圧ナトリウムランプは、HIDランプの中でもトップクラスの高効率なランプです。ランプ内部に始動器が内蔵されているため、一般水銀ランプの安定器で点灯させることが可能です。主に、道路照明やトンネル内照明などに利用されています。

点灯効率や寿命の長さを最優先しており、効率は非常に良好ですが、演色性は極めて悪く、照射対象を全てオレンジ色にしてしまう特性があります。よって、照射対象物の色を再現するための光としては、まったく適していないランプです。

しかし、少ない消費電力で大光束を得ることが出来、寿命が長く、排気ガスや霧などの透過性も良好ですので、安全を求める照明としてはとても良好な性能を持っています。演色性は悪いですが、強いオレンジ色の光を放ちますので、オレンジ色の暖かみのある色合いを求めたライトアップに使用することも可能です。

演色改善型高圧ナトリウムランプ

効率本位型高圧ナトリウムランプよりも大きく演色性を改善していますが、定格寿命が短く、発光効率が悪くなっています。効率本位型と同様、赤みの強い光色で発光します。

水銀灯の安定器でランプを点灯させることができますので、水銀灯からナトリウムランプに交換することで、同等の明るさでも省エネルギーを図る事が可能です。経済性を求めるだけでなく、作業などで一定の演色性が必要な場合に使用するのが良いでしょう。

ただし、メタルハライドランプやセラミックメタルハライドランプなど、高効率で演色性の良い、光束の大きな白色光源も販売されていますので、演色改善型の高圧ナトリウムランプを使用する機会は限定されます。

大空間の照明手法として、体育館など天井が高く広い空間では、白系のメタルハライドランプと赤色の高圧ナトリウムランプを組み合わせたカクテル照明として照射すると、演色性の改善が図れる上、自然な光色を演出することができます。

演色本位形高圧ナトリウムランプ

演色本位形高圧ナトリウムランプは、色温度を2,500〜2,800K程度まで高め、かつ演色評価数Ra85という高い演色性を確保することにより、照射対象の本来の色を再現することができます。高い演色性をもとめられる、店舗のベース照明としての可能性を持つ高圧ナトリウムランプです。ロビーやホールの照明としても利用可能です。

高い演色性を確保しますが、効率本位形の高圧ナトリウムランプと比べ、発光効率と平均寿命が非常に悪いという欠点があります。光束維持率も、効率本位形より劣っており、光束と寿命という点からすると性能は劣っています。

演色本位形は専用安定器で点灯させるタイプの高圧ナトリウムランプなので、寿命が長く高い演色評価数を持つ、セラミックメタルハライドランプの方が設置しやすく、効率本位形の高圧ナトリウムランプを新規案件の照明設計に含むことは少ないと言えます。

低圧ナトリウムランプ

低圧ナトリウムランプは、光源の中でも最も高い効率を持ち、水銀灯の3倍、蛍光灯の2倍とも言われる高効率な照明用ランプです。温度の影響を受け難く、煙や霧の透過率が高い、照射対象のコントラストがはっきりするなどの理由から、道路灯やトンネル灯の光源として適しています。ただし、低圧ナトリウムランプは欠点がいくつかあるため、設置場所が限定されます。

寿命が9,000時間と短いのが難点です。また、色温度は1,700Kという非常に低い値を示しオレンジイエロー色に発光しますが、照射対象の色は全てオレンジ・イエロー色になります。照射対象の色を表現する事は不可能で、演色評価数Raはマイナスとなっています。

ランプは二重管構造となっており、ナトリウム蒸気が蒸気圧0.1〜0.5Paで封入されています。始動補助としてネオンやアルゴンが混合されており、これにより始動電圧が低下します。

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