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電気設備の知識と技術 > 照明設計・電球の知識 > ハロゲン電球の種類と特徴

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ハロゲン電球の特徴

ハロゲン電球は、シリカ電球やクリア電球、電球型蛍光灯と比較して、非常に小さいのが特徴である。ランプが小さいことから、照明器具を小さく製作できる。輝度が非常に高く、点光源といえるような光の性質を持っている。スポットライトやダウンライトとして、光に指向性を持たせられるので、演出照明に多用される電球である。

蛍光灯には及ばないが、シリカ電球やクリア電球の2倍から3倍の長寿命なので、ランプ交換の手間を軽減できる。性質は一般の白熱電球と同様であり、電圧を変えることにより配光制御・光束制御・寿命制御が容易というのも特徴である。

ハロゲン電球は電球単価が高く、概ね1,500円程度が相場である。シリカ電球やクリア電球が100円で購入でき、電球型蛍光灯も800円程度で購入できることを考えると、単価の高さには注意が必要である。

ハロゲン電球を手に持った写真

ハロゲン電球の構造と原理

バルブ内にガスを充填し、内部のフィラメントを発熱、発光させる仕組みは白熱電球と同様の仕組みである。封入ガスにハロゲン系のガスを入れることで、フィラメントの蒸発を抑制し、シリカ電球等の白熱電球よりも高温にさせることで光束を大きく確保している。

バルブ温度が白熱電球よりも上昇するため、高熱に耐えられるようにバルブに石英ガラスを使用している。石英ガラスは耐熱性が良く、900℃から1,200℃という高温にも耐えられる素材であり、フィラメントの発熱を高めて光束を上昇させられ、かつ器具を小型しても問題ないという特徴がある。発光効率が向上し、寿命末期まで明るさがほとんど変化しないことも特長である。

ハロゲン電球は白熱電球よりも小さなサイズで、大きな光束を確保できるため、照明器具本体を小さく製作でき、建築計画や照明計画においてより器具を目立たせず、高い意匠的効果を狙うことが可能である。

商業施設やテナント内装では非常に多く普及し、多くの場所で使用されている電球である。輝度が極めて高いので、スポットライトの展示照明として、多用されている。白熱電球と同様の発光原理を持つ電球であるため、調光によって大幅に寿命や光束を変化できる。白熱電球系の電球であり、配光制御も容易であり、店舗照明や演出照明に多用されている。

ハロゲン電球は、LED照明によって同様な光の質を生み出すことがまだできないため、白熱電球の生産中止に該当していない。しかし、今後LED照明の生産技術が向上し、LEDによって同様な光の質が生み出せるようになれば、随時生産が縮小していくものと思われる。

ハロゲン電球の110V定格と100V定格

ハロゲン電球には、100V定格の電球と、110V定格の電球がある。基準とする電圧が違うそれぞれの電球であるが、ワット数を合わせれば、互いの器具で使用できる。100V表示のランプを使用していた器具で、110V表示のランプを使用すると、光束が若干少なくなるが、寿命を延ばして使用できる。

ハロゲンサイクルによる高効率化

ハロゲンランプは、ハロゲンサイクルの効果に高い発光効率を維持できる。

ハロゲンサイクルとは

ハロゲンサイクルとは、ハロゲンランプ内部に浮遊しているハロゲン化タングステンが、フィラメントに電流が流れた際の高温により蒸発し、ハロゲン原子とタングステン原子に分離する。

分離したタングステン原子はフィラメントに戻り、残されたハロゲン原子はフィラメント部で再度タングステン原子と結合し、ハロゲン化タングステンを形成する。

この一連の反応がハロゲンサイクルであり、このサイクルが回ることにより、管壁の黒化が抑えられ、シリカ電球の白熱電球よりも高効率・長寿命とできる。

フィラメントに戻るタングステン原子は、常に一定の場所に戻ることはなく、フィラメントの中でも温度が低い部分に戻る性質がある。常に高温となる部分は細くなるため、一定の期間の点灯を経て、断線する。これがハロゲン電球の寿命である。

ハロゲンサイクルを効率よく行うためには、一定の温度以上を維持することが必要である。調光のために電圧を下げすぎると、ハロゲンサイクルが成立せず、管壁の黒化を防ぐ効果が損なわれる。低電圧にしすぎた場合、寿命の低下を引き起こすので注意が必要である。

ハロゲン電球の種類と使用場所

ダイクロハロゲン電球

円錐形状の小型ハロゲン電球で、スポットライトや小型ダウンライトに使用する。約3,000時間の寿命を確保し、ランプ交換頻度を抑えられる。光の指向性を数種類から選べ、角度が狭いほど高照度を確保できる。

光の指向性を変化させたい場合、一般的には灯具本体を交換するのが常であるが、ダイクロイックミラーを持つハロゲン電球の場合、ランプを交換するだけで何種類もの光の指向性を選択でき、演出の仕方にあわせて簡単に調整ができる。製品に赤外線カットを施しているものや、食品照射に適したものなど、いくつもの製品が生産されている。熱を嫌う照射物へのライトアップ用電球として適している。

ミニハロゲン電球

形状が極めて小さなハロゲン電球で、口金がE11の製品やピンタイプの製品があり、片口金形となる。輝度が高く、多くはスポットライトに使用されている。寿命は2,000~3,000時間が確保されており、白熱電球の2~3倍の寿命がある。20W程度の小さなものから250Wの大出力なものまで製品化されており、HIDランプ系の器具よりも小型に器具を製作できるため、店舗などで使用されるスポットライトに多用されている。

ミニハロゲン電球の形状として、マルチレイアとマルチレイアPROがある。マルチレイアは円筒形をしており、赤外反射膜が塗布されたガラス管により、フィラメントから発生した赤外放射を帰還される役割があり、ハロゲンサイクルを効率良く行うが、マルチレイヤPROは発光管が楕円形状に膨らんでおり、赤外放射がさらに効率良く帰還する。マルチレイアPROを採用した電球は、同出力のマルチレイアより25%程度の省エネルギーが測れている。

ハロゲン電球は電球自身の発熱が非常に大きいため、電球点灯中はもちろんのこと、電球を消灯してもしばらくの間は放熱させると良い。すぐに電球に触れると火傷する。床に置いたりすると仕上材を焦がす。

ローボルトハロゲン電球

一般的に使用されている100V電圧ではなく、12Vという低い電圧に降圧して点灯させるハロゲン電球を、ローボルトハロゲン電球と呼ぶ。電圧を変更して点灯させるため、変圧器を設置しなければならないためあるが、そのコストに見合うだけの大きなメリットがある。

ローボルトハロゲン電球は、電球の小型化と長寿命化が図られており、器具を小さくすることで意匠性の向上が期待でき、ライフセレクトトランスを使用すれば、蛍光灯と同等の10,000時間程度の寿命を持たせることが可能である。

ライフセレクトトランスは、ランプへの電源供給を3段階程度で切り替え、光束と寿命を調整できる機能を持っている。演出上、長時間点灯させ続ける必要がある場合、かつ蛍光灯では表現できない、輝度の高さが要求される場合に適している。HIDを設置する予算がない場合にも適している。ローボルトハロゲン電球を調光したい場合、調光対応の電子トランスを選定する。

スタジオ用ハロゲン電球

スタジオ照明は、テレビカメラの感度に最適化されたハロゲン電球で、色温度が高く高効率な電球となる。寿命の末期まで色温度や効率が変化しないよう設計されている。寿命が短く、200~1,000時間でランプが不点灯となるうえ、ランプ単価が高いという特徴がある。

ハロゲン電球の価格と寿命

ハロゲン電球は白熱電球と比較して、電球単価が10倍以上違う。シリカ電球は100円程度で購入できるが、ハロゲン電球は大抵が1,000円以上、ダイクロイックミラー付きハロゲン電球は、2,000円近い金額のものもある。

寿命について考えた場合、白熱電球と比較して3倍程度(シリカ電球が1,000時間であるのに対して、ハロゲン電球は2,500~3,000時間程度)しか違いないため、光束あたりの単価で考えると、ハロゲン電球は相当割高である。

一般家庭用、住宅用としてハロゲン電球を使用する場合、電球単価の高さがランニングコストに極めて大きく影響するので、調光して寿命を延ばしたり、限られた時間のみ点灯するなどして、省エネルギーを図ることも重要になってきる。省エネルギーの観点から、使用場所と演出方法を十分吟味し、照明計画をすることが望まれる。

ハロゲン電球の寿命

ハロゲン電球は通常、2,000~3,000時間の寿命をもっており、ローボルトハロゲン電球では4,000~10,000時間の長寿命となる。ライフセレクトトランスを使用すれば、光束と寿命を自由に設定でき便利である。

ハロゲン電球の寿命は、定格寿命を迎えた瞬間にフィラメントが切れることではなく、連続点灯試験での残存率が50%となった時間を定格寿命と設定している。残存率とは、試験中に残存しているランプ数のうち、試験ランプ総数に対する割合としている。同時期に設置したハロゲン電球は、定格寿命の時間が経過したとき、理論上約半数が不点灯となる。

ハロゲン電球の品名表示

ハロゲン電球は「JDR110V40WKN/5E11」といった品名が付与される。それぞれの数字・記号にはハロゲン電球の定格や仕様が表現されている。上記品名では「J(種類)・D(コイル種類)・R(反射鏡有無)・100V(定格電圧)・40W(定格電力)・(バルブ仕上)・K(保護シールド)・N(ビーム角)・5(反射鏡の径)・E11(口金)」という区分で、ハロゲン電球の仕様を表現する。下記はハロゲン電球の品名表示の見方である。

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