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電気設備の知識と技術 > 電気設備設計の基礎知識 > 電気工作物の種類と法的規制の違い

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電気工作物とは

電気工作物とは「発電、変電、送電、配電または電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物」と定義されている。この内、船舶、車両、航空機に設置されるものは除かれるので、一般的には建築物に設置される発変電・送配電設備等が、電気工作物として定義される。

電気工作物は、設置される場所や条件により「一般用電気工作物」「電気事業の用に供される電気工作物」「自家用電気工作物」の3種類に分類されており、建築物の内部や、敷地内に設置されている電源を用いて動作する電気機器は、いずれかの電気工作物に該当することになる。

なお、電圧30V未満の電気的設備で、電圧30V以上の電気的設備に接続されていないものは、電気工作物から除外されている。30V未満のように電圧の低い設備は、安全性が高いため電気事業法による規制が掛からないと考えれば良い。

一般用電気工作物

一般用電気工作物は「600V以下の電圧で受電し、受電のため以外に構外にわたって電線路を有しないもの、または構内に設置する小出力発電設備で、発電された電気を600V以下の電圧で他の者の構内において受電する場合、そのため以外に構外にわたって電線路を有しないもの」と定義される。一般用電気工作物は、電気工作物の分類上、電圧が低く安全性が比較的高い電気設備が含まれている。

低圧で受電している建築物における電気設備は一般用電気工作物に該当する。発電設備であっても小出力のものであれば安全性が高いため、一般用電気工作物にて分類される。

ここで、小出力発電設備とは、電圧600V以下の発電用電気工作物で、太陽光発電設備では出力50kW未満、風力発電所及び水力発電所(ダムを伴うものを除く)では出力20kW未満、内熱力を原動力とする発電設備では10kW未満のものであり、このような小規模なものは一般用電気工作物に該当となる。

例として、10kWの太陽光発電設備、15kWの風力発電設備、8kWのコージェネレーションシステム用発電機など、小規模な発電設備を設ける事例は多いが、これらは全て一般用電気工作物として分類される。

新エネルギーの幅広い普及を促すため、安全性が高いとされる発電設備については規制緩和が行われ、電気事業法の改正により太陽光発電設備は50kW未満、水力発電所(ダムを伴うものを除く)では20kW未満の規模を、一般用電気工作物として扱うようになった。

事業用電気工作物

事業用電気工作物は、一般用電気工作物以外の電気工作物で、電気事業の用に供する電気工作物(事業用電気工作物)と、電気事業の用に供する電気工作物以外として「自家用電気工作物」に分類される。

電気事業の用に供する電気工作物

電気事業の用に供する電気工作物とは、電気事業者が電気の供給を行うために設置される電気工作物で、発電、変電、送電、配電、電力用保安通信のための電気工作物、またはこれら設備を設置する事業所に設置される電気工作物が該当する。

主に、日本各地の電力会社が運用している電気供給用設備が該当し、発電所や変電所といった大規模施設も、事業用電気工作物となる。

事業用電気工作物は、福利厚生のための施設や研究施設は除外される。電気事業者が所有している研究所・病院・従業員社宅などは、電気事業の用に供する電気工作物ではないとされる。

自家用電気工作物

一般用電気工作物、または電気事業の用に供する電気工作物以外の電気工作物は、自家用電気工作物として定義される。一般需要家の高圧変電設備など、民間施設に関わる電気設備設計者が設計する案件は、その多くが自家用電気工作物として分類される。一般電気工作物よりも大規模で電圧も高くなり、危険性が高い電気設備となる。

運用する設備の電圧に応じて、電気主任技術者による維持・管理・運用が必要となるため、各種安全に関わる試験項目も増え、運用コストも大きなものとなる。

自家用電気工作物として取り扱われる範囲

自家用電気工作物は、他のものから600Vを超える高圧、または特別高圧で受電するもの、構外にわたる電線路を有するもの、小出力発電設備以外の発電設備(非常用を除く)が同一構内にあるものは、全て自家用電気工作物に分類される。

電力会社から高圧で受電を行う場合、3,300Vや6,600Vといった電圧が、一般的な受電電圧として設定されており、「600Vを超える電圧」という分類になる。これらは自家用電気工作物に該当する。

600Vを超えない低圧受電の需要家であっても、構内に小出力発電設備以外の発電設備がある場合は自家用電気工作物に該当する。太陽光発電設備は50kW未満であれば一般用電気工作物となるが、50kW以上の規模が導入されれば、自家用電気工作物に該当し、電気主任技術者による維持・運用が必要となるため注意が必要である。

 
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